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ランチア テーマ8・32
 
ランチア テーマ8・32
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ランチア テーマ8・32

今から20数年前、イタリア車だが地味なランチア「テーマ」というセダンに乗っていたことがある。当時、若い頃から国産車を数台乗り換えて、初めて所有した外車だった。

その頃気に入っていたマセラティには残念ながら手が届かず、価格的妥協でランチアにした記憶がある。価格差が国産車一台分くらいあったように思われる。もし、マセラティが購入できる状況なら、迷わずマセラティを選んでいたかといえば、そうでもないのだ。もう一台、どうしても気にかかるクルマが存在した。今回は、そのクルマについてお届けする。

ランチア テーマ8・32

そのクルマはランチア「テーマ8・32」。おや、同じクルマじゃんと思われるだろうが、「テーマ」の後の「8・32」という謎の数字が曲者なのだ。この数字「8気筒32バルブ」を表している。

つまり、2リットルの4気筒NA/ターボユニット、あるいはおとなしいPRV・V6が搭載される「テーマ」のエンジンベイに、なんと、フェラーリ308クアトロ・バルボーレ用のエンジンを詰め込むという、笑い話のような奇想天外なアイデアの下に製造されたモンスターサルーンなのだ。

エクステリアからノーマル「テーマ」との違いを判別できるヒントは、フェラーリのような格子のラジエターグリルに5本スポークのアロイホイール、そして任意で上下できる可動式リアスポイラー程度とひじょうに慎ましく、いかにも上品でセンスに優れるランチアらしい佇まいである。

しかし、その一方で、インテリアは大幅にモディファイされ、スポーティーかつ高級なものに設えられていた。フェラーリのように数字、指針共に赤く光るメーターは一個一個が独立して、ウッドのパネルに組み込まれ、ダッシュパネルも手縫いのステッチが美しいレザー張り。内装のトリム生地はイタリアの高級家具メーカー「ポルトローナ・フラウ社」製の上質な本革シートが標準装備されている。また、ボディサイドには職人の手書きによる2本のペイントストライプが施されている。

ランチア テーマ8・32

余談ながら、当時の「テーマ」クラスのセグメントには、メルセデスやBMWをはじめとするライバルがひしめき合っており、親会社フィアット社がランチア「テーマ」に優位性を持たせるために強力なフラッグシップカーの存在が待望されていた。そこで、販売戦略上のイメージアップ強化策として「フェラーリ」の持つ圧倒的なブランド力とネームバリューを利用したかったようである。

本来は「 テーマ・フェラーリ 」のネーミングを希望したが、今は亡きエンツォ・フェラーリがこれに承諾せず、車名にはおろか、その文字や跳ね馬のエンブレムをこのクルマに飾ることは一切許さなかった。実際には、エンジンヘッドに「LANCIA BY Ferrati」の文字があり、これのみを渋々と認めたらしい…という話が伝説のように語り伝えられている。苦肉の策として、8気筒32バルブを表わす「8・32」に落ち着いたという。ただ、エンツォ・フェラーリ御大は社用車として「テーマ8・32」に乗っていたという話もあるようだ。

エンジンヘッドに「LANCIA BY Ferrati」の文字

見た目は大人しい地味なセダン。しかし、その実態は…ってな感覚のクルマは羨望の的だった。ただ、ノーマル「テーマ」が2台くらい買えるほどの高嶺の花であったことは間違いない。ちなみに、ボディデザインは日本でもお馴染みのジョルジェット・ジウジアーロが手掛けている。イタリアでは「L'Auto dei Signori(紳士のクルマ)」と呼ばれ、絶大な人気を博したクルマなのだ。

今でも心に残る1台である。

 
 
 
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