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監督:ニール・ブロムカンプ 製作年:2009年
製作:ピーター・ジャクソン 上映時間:1時間51分
   
シュールでシニカルな大人のファンタジー。
映画らしい映画の登場…
【イントロ】

比較的安い予算でも、アイデア次第ではひじょうに面白い映画を制作することが可能である…を実践したような作品だ。無名のキャストとスタッフであっても、第82回アカデミー賞では作品賞、脚色賞、編集賞、視覚効果賞にノミネートされたほどである。2009年8月14日に全米公開され、初週末には3735万4308ドルを稼ぎ、堂々の1位となった実力は本物だ。

語り口も視覚的にも極めて斬新だ。疑似ニュース映像を巧みに使用し、見事に観客を引き込み、果ては壮大なアクションを堪能させてくれる。実験的手法と大衆性を同居させたような、新鋭ニール・ブロムカンプの演出は秀逸である。アパルトヘイトを知っている者によって作られているのが、この作品の興味深いところだ。

南アフリカ出身の映画監督ニール・ブロムカンプは、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどの製作で有名なピーター・ジャクソンの秘蔵っ子。

また、主人公ヴィカスに扮する南アフリカ人俳優シャルト・コプリーはニール・ブロムカンプとは同じ高校出身の友人同士。CMやミュージックビデオ、短編映画など数々の映像作品の製作・監督を手掛ける一方で、VFXのスーパーバイザーを務め、手掛けた映像作品は南アフリカで多くの賞を受賞している。2005年にはニール・ブロムカンプ監督の短編映画で、本作のベースとなる『Alive in Jo 'Burg』をプロデュース。同作にはカメオ出演している。今回の作品では、能天気な小役人風で小市民的な演技が抜群で、いい味を出している。

キャットフード好きなエイリアンやエイリアンの体を食べてパワーを取り込もうとするギャングの親玉などの設定に面白味があり、オリジナリティを感じる。

ただ、通常のエイリアンが登場するSF映画といえば、敵対するか、友好的かの2タイプしかなかったが、この映画はそのどちらでもない。エイリアンは人間より下等な存在として、蔑まれているという設定が一番独創的である。

体が吹き飛んだり、手がちぎれたりする少々残酷なシーンも登場するが、気味悪いほどではないのでスプラッターシーンが苦手な人でも大丈夫だ。

先日公開された、クリント・イーストウッド監督の「インビクタス/負けざる者たち」も、南アフリカが舞台だったし、6月にはワールドカップが開催される。今、南アフリカが注目されている…かも。

 
【ストーリー】

28年前、正体不明の巨大宇宙船が突如、南アフリカ共和国に飛来した。

しかし、そのUFOは首都ヨハネスブルグ上空に浮かんだまま、まるで動こうとしない。

痺れを切らした南アフリカ政府はヘリコプターで偵察隊を派遣。船内で彼らを待ち受けていたのは、不衛生で弱り果てたエイリアンの群れだった。

彼らは故障した宇宙船に乗った難民だったのだ。処遇が決まるまで、エイリアンはヨハネスブルグにある第9地区の仮設住宅に住まわされることになる。だが、言葉も通じず、野蛮で不潔なエイリアンたちが一般市民と折り合いがつくはずもなく、彼らは下級市民として蔑まれる。

何の進展もないまま月日が流れ、エイリアンの管理事業は民間企業MNU(マルチ・ナショナル・ユナイテッド社)に委託されることになった。軍事企業でもあるMNUの傭兵部隊によって力による平和が訪れるかと思われたが、MNUが彼らの世界に介入することはなく、第9地区はスラムと化していく。市民とエイリアンの対立が激化したことを受けて、MNUは第9地区から郊外にある第10地区へ彼らの強制移住を決定。第10地区は第9地区よりもさらに劣悪な環境だったが、MNUは彼らの福利厚生に興味はなかった。

立ち退き作業を始めるにあたり、MNUはヴィカスを現場責任者に指名する。事情を把握していないエイリアンたちから、承認のサインを無理矢理取りつけるのが彼の任務だった。しかし、第9地区内の小屋を調査している際に、ヴィカスは謎のウィルスに感染する。

そして、ヴィカスの身体に変化が生じてくる…報告を受けたMNU上層部は、ヴィカス捕獲の指示を出す。

何の説明もなく執拗に追跡してくるMNUの行動にヴィカスは逃げ出すしかなかった。

第9地区に逃げ込むと、そこにクリストファー・ジョンソンと名乗るエイリアンが現れる。そして、ヴィカスはボロボロの小屋の地下で見たこともない科学技術を集結させた設備を目撃する…。

 

【インプレッション】

宇宙から招かれざる客がやってくる。もの凄い科学力があるはずなのだが、賢く思えない。凶悪ではないが、粗暴でマナーが欠如している。侵略者のようでもないが、友情を育める存在でもない。

我々の美的基準からすれば、かなり気味悪い醜悪な外見をしたエイリアンたちを、最初は人道的に援助していた地球人も、ルールを守ろうとしないエイリアンに差別意識を持ち始め、排斥しようと考えるようになる。

この作品は、価値観の違う者とのトラブルに対して、人間はどこまで寛容になれるかを提起しているようだ。格差社会と不寛容。これはエイリアンを差別の対象とした、もうひとつのアパルトヘイトである…と、考える評論家も多い。物語の舞台が南アフリカというのが、リアリティを感じさせる大きな要因になっていることは言うまでもない。

基本的に人間は平等を嫌う生き物かもしれない。ところが、第9地区の象徴のモニュメントが、エイリアンと人間が仲良く手を繋ぐオブジェだったりするところが、けっこう皮肉が効いたシニカルな演出である。

荒唐無稽な物語だが、あまり不自然な感覚ではなく、実際にこんなことがあるかのような錯覚に陥ってしまう。脚本が優秀なのか、演出力の勝利なのか、いずれにしても映画らしい映画という感じである。テンポの良い、歯切れのいい展開は、観ていてダレるところがなく、アクションあり、ユーモアもあり、少しホロリとするところも用意されている。いろんな要素がテンコ盛りのお買い得品といった作品だ。

考えようによれば、ひじょうにシリアスな題材だが、強いメッセージ性が突出しているわけではない。娯楽映画として、単純に楽しめる作品である。ただ、観終わった後に、人間の道徳性などの問題を、少しだけ考えるかも知れない…。

ラストの小さな花に込められたロマンティシズムには、半ば運命を受け入れた人間の哀愁が漂っているようだ。

続編が製作されるという話もあるようだ。これからの展開がどのようになっていくのか…今から楽しみである。

 
キャスト スタッフ
ヴィカス:シャルト・コプリー 監督:ニール・ブロムカンプ
クーブス大佐:デイウィッド・ジェームズ 製作:ピーター・ジャクソン/キャロリン・カニンガム
クリストファー:ジェイソン・コープ 製作総指揮:ケン・カミンズ/ビル・ブロック
タニア:ヴァネッサ・ハイウッド 脚本:ニール・ブロムカンプ
カトリーナマッケンジー博士:シルヴェイン・ストライク 撮影:トレント・オパロッチ

レ・フェルドマン:ジョン・サマー

音楽:クリントン・ショーター
ダーク・マイケルズ:ウィリアム・アレン・ヤング 編集:ジュリアン・クラーク
  美術:フィリップ・アイビー
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