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監督:阪本順治 製作年:2010年
原作:子母沢寛 上映時間:132分
愛と怒りと哀しみと。
抜いた仕込が咽び泣く、
これが最後の座頭市。
【イントロ】

勝新太郎主演でおなじみの「座頭市」シリーズが、主演・香取慎吾、監督・阪本順治のコンビで映画化。「THE LAST」と銘打つだけあり、今回が「座頭市」シリーズの最終作になる…予定。

映像化権を持つ中沢敏明氏は、「この先いかなるメディアでも『座頭市』を映像化することはない。」と発言しているのだが、原作者、子母澤寛の著作権は死後50年となる2017年までしか保護されないため、中沢氏の持つ権利もそれと同時に切れることになり、以後は誰でも自由に「座頭市」を映像化できる事になる。それゆえ、「最後の座頭市」という謳い文句が果たして正しいかどうかは定かではない。

豪華な共演者たちだ。そのキャラクターに合ったキャスティングがされているかどうかは別にして、有名どころが脇を固めている。監督は、本来のキャラクターとはあえて違ったキャスティングにした…と言っているが、この英断が吉とでるか凶とでるかは観客の感性次第である。

ヤクザの親分・天道を演じた仲代達矢の迫力は、人間離れした存在感を見せつけ、観るものを圧倒する。彼の登場シーンには独特の緊張感が漂い、さすが日本を代表する役者のオーラが光り輝いているようだ。しかし、映画としての欠点は、他の俳優がすべて霞んでしまうことである。主役の香取慎吾でさえ、太刀打ちできない力量の差を感じてしまう。

仲代達矢と直接対峙するシーンはないが、藪医者役の原田芳雄の存在がかなりいい味を出している。また、恐るべき8歳の名子役、加藤清史郎君の名演技に、不覚にも少しだけ涙腺が緩んでしまった。

山形県庄内地方に江戸時代の町並みを再現したセットを作って撮影は行われた。田んぼのあぜ道、海岸の小屋、村民の長屋、天道の屋敷など、背景となるセットや小道具には非常に手間がかかっており、詩的でリアルな世界観を表現した映像に大きく貢献している。

桜が咲き誇る情感溢れる風景、雪山で市と倍賞千恵子演じるミツとのシーンの凛とした美しさなど、監督のこだわりの映像が随所に見られる。

座頭市といえば、何といっても勝新太郎のイメージが強い。また、ビートたけしの座頭市もなかなかよかった。今までの座頭市は圧倒的に強かった。勝新太郎は爪楊枝を吹いて飛んでいる蠅に命中させ、ビートたけしは石灯籠も真っ二つに斬ってしまう。居合の技だけではなく、精神面も強い。正義感はあるが、ある意味、冷酷非情で迷いがない。ダークヒーローの典型だ。

香取慎吾の座頭市は、意外に弱い。その殺陣は居合というより、ヤクザの戦い方に近い。ある程度自分が斬られることで相手との距離を測りながら、刀を振るう。実にリアルである。監督はこうしたリアルな殺陣の特徴を生かすため、山中の斜面など、わざと足場の悪いところでアクションシーンを撮ったようだ。

また、今回の座頭市は、孤独なさすらい人ではない。結婚もするし、故郷に戻れば友達もいる。「生活者」としての面を見せている。

座頭市にリアル感を求めるか、お伽噺を期待するか…それは、観客によって好みの分かれるところだ。

 
【ストーリー】

タネという女性を妻に迎え、落ち着いた生活をしようとしていた座頭市。しかし、市を追うヤクザ者と決着を付けるため、最後の闘いに向かう。しかし、市を庇ってタネが殺され、市だけが生き残った。

心も体も傷ついた市は故郷の村に帰り、亡き妻との約束を守るため、友人・柳司の家に世話になりながら百姓として暮らすことに…

しかし、村の支配権は島地組から天道組に移り、理不尽な取り立てに村民が苦しんでいた。世話になった親友のためにも、一度捨てた杖を再び手にとり、立ち上がらなくてはいけなくなる座頭市。

 

【インプレッション】

ハンサムなアスリート体型の香取慎吾が座頭市を演じることに賛否両論があることは確かだ。勝新太郎やビートたけしは、どちらかというと容姿や顔が優れているというわけではなく(失礼!)、存在そのものに生きざまが感じられる役者である。

見た目は何処にでもいるようなオッサンが、抜群の居合いで悪人をばったばったとやっつける爽快感に観客はカタルシスを感じていた。そのギャップがいいのだ…

香取の座頭市が人間離れした居合いで悪人をやっつけても、そりゃ当然…という事になりかねない。

そこで、人間味に溢れ、比較的弱い座頭市が香取に用意されたのかも知れない。これまでとはまるで違う、新たな座頭市を創造することには一応成功しているように思う。

ただ、そんな座頭市を観客が望んでいるかという点においては、なんとも言えない。昔の座頭市ファンには、別物の時代劇を観ているような感覚だったかも…

イメージというのは本当に怖いものだ。バラエティ番組などで大活躍の香取慎吾は、爽やかで健康的な好青年である。

また、「慎吾ママ」「孫悟空」「こち亀の両津」「忍者ハットリくん」などの、キャラクターが頭から離れない。渋い演技のドラマ出演もあるが、どうも大口を開け、ガハハと笑っているイメージが強い。

そんな香取が自分の座頭市を真剣に演じている姿は素晴らしい。ただ、根本的な問題だが、香取慎吾を座頭市に起用することは本当に必要だったのか…という点が気にかかる。

仲代達矢や倍賞千恵子といったベテラン勢の演技が、香取の存在感を薄くしているのも気になるポイントである。仲代達矢の狂気を秘めたヤクザの親分・天道の迫力に主役を奪われた感が強い。ビッグネームの共演者が多数いるために、それぞれの扱いがけっこう雑な感じがするのも否めない。

しかし、ほんの少しの出演シーンだが、中村勘三郎の落ち着いた渋い演技が印象的だった。

阪本順治監督は以前、「ビリケン」の主演を勝新太郎にオファーしたことがある。脚本を読んだ勝は「これは俺の役じゃない」と断ったが、阪本の存在は快く受け入れたようだ。阪本も次の企画のチャンスを狙っていたが、勝は1997年6月21日に亡くなり、夢は叶わなかった。

勝新太郎が最後の最後までこだわった、彼の分身ともいうべき座頭市。その最終作のメガホンをとることになった阪本の胸に、いったい何が去来していたのだろうか。

 
キャスト スタッフ
座頭市:香取慎吾 監督:阪本順治
タネ(市の妻):石原さとみ 製作:亀山千広
柳司(市の親友):反町隆史 エグゼクティブプロデューサー:石原隆
ミツ(柳司の母):倍賞千恵子 脚本:山岸きくみ
五郎(柳司の息子):加藤清史郎 音楽:プロジェクト和豪
政吉(旅の博徒):中村勘三郎 撮影:笠松則通
天道:仲代達矢 原作:子母沢寛
高岡蒼甫 編集:蛭田智子
工藤夕貴 照明:杉本崇
岩城滉一 録音:橋本文雄
原田芳雄 美術:原田満生
豊原功補 殺陣:菅原俊夫
ARATA 装飾:太田哲
ZEEBRA 衣裳:岩崎文男
寺島進 メイク:豊川京子
宇梶剛士 床山:荒井誠治
柴俊夫 庄内担当プロデューサー:宇生雅明
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