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監督:リュック・ベッソン 製作年:2010年
原作:ジャック・タルディ 上映時間:107分
ニュー・ヒロイン「アデル」誕生!
幻の秘薬をもとめ、エジプト「王家の谷」から、パリ「ルーヴル」美術館へ…
【イントロ】

フランス映画界をエネルギッシュに牽引するリュック・ベッソンが、また新しいミューズを誕生させた。原作は1976年から続くフランスの国民的人気コミック「アデル・ブラン=セック」シリーズの実写映画化だが、ハリウッド映画ばりの冒険アクションと、フランス映画らしいオシャレな感性がスクリーンを彩っている。

女性版インディ・ジョーンズという感じの活劇に、ファッションとアートの香りが加味された作品である。主人公アデルを演じるのは新人のルイーズ・ブルゴワンという女優。フランスの若手女優のなかでも抜群の人気を誇る1人である。

2004年に美術大学を卒業したルイーズは、あるテレビ番組の娯楽コーナーを担当していたが、2006年に転機が訪れる。有料テレビチャンネル「CANAL PLUS」で、毎夜放送される「LE GRAND JOURNAL」の『Miss Meteo』(ミス天気予報)に大抜擢された。

2008年6月までの間、ルイーズはここで才能をいかんなく発揮。もともと美人なうえに、当意即妙かつ才知に長けたトークと、観客を沸かせる見事なセンスでたちまち人気者になった。ルイーズのエンタテインメント性はファッションにも象徴され、毎夜、趣向を凝らしたコスチュームに身を包み、彼女が登場すると、観客はヒートアップ! 拍手喝采で彼女を迎え、彼女はユニークなパフォーマンスでそれに応える。そしてスタンディングオベーションまでもが起きるほどの超人気コーナーとなった。


このルイーズのお天気予報を見なければ眠れないという「ルイーズ中毒者」が続出したという。また、ミス天気予報を卒業するまで、一度たりとも同じコスチュームはなく、独特のヘアスタイルやメイクも話題を呼んだ。瞬く間にフランス中を虜にしたルイーズは、早口の辛口瞬間書評や政治風刺コント(大物政治家や芸能人のものまね)もするなど、コメディエンヌの才能も備えていた。

監督のリュック・ベッソンに「異色のお天気お姉さん時代からルイーズには注目していた。様々なキャラクターを巧みに演じわけられるのが彼女の魅力。それは稀な才能で、次から次に変装するアデルという役にまさにうってつけだった。ルイーズに会ってすぐに、私はアデルが見つかったと確信した」と、言わしめたほどの逸材だ。女優の原石を発掘する名手リュック・ベッソンが見出したミューズは、「ニキータ」のアンヌ・パリロー、「レオン」のナタリー・ポートマン、「フィフス・エレメント」のミラ・ジョヴォヴィッチなどが有名だ。

彼のお眼鏡にかなったルイーズの才能を開花させた「アデル ファラオと復活の秘薬」も、ベッソンの女優開拓史に刻まれる1本となりそうだ。これからのルイーズの活躍には目が離せない。

ミス天気予報時代に毎回趣向を凝らしたコスプレを披露していただけに、この作品中も数多くのコスプレが登場する。ヒゲ面の看守やシスター、ナース、食事配給係など、個性的な変装を何パターンも演じ、観る者を楽しませてくれる。なお、コスプレ以外にも18種のコスチュームをまとっているので、衣装にも要注目だ。アドベンチャー映画としてはもちろん、彼女のコスプレ・ファッションが堪能できる映画としても、存分に楽しめる。

経済危機で暗い今の世の中、アーティストとしてどういう映画を撮ればいいかを考えた時、楽しくて軽やかな映画がいいんじゃないかと思って本作を撮ったと言うリュック・ベッソンは、なかなかマーケティングの上手い映画人である。最近はプロデューサー業ばかりで、ほかの誰かに監督をさせてばかりだったので、いかにこの作品に思い入れているかが伺える。

いつの時代にも人気のモチーフである、「エジプト」と「冒険」をミックスさせた作品の多くはハリウッドで製作されているが、フランス映画というのも珍しい。

ゴージャス極まりない羽飾りのついたつば広の帽子と、首に巻いたストールがトレードマークのアデル。動くたびにひらひらと揺れる羽根飾りは、何とも優雅で、クラシカルな顔立ちのヒロインによく似合う。

劇中のテニスシーンでは、活動的なコットンのドレスに黒いリボンがあしらわれたウエアを着用。合わせた麦わら帽子にも、ドレスに使われているのと同じ黒いリボンが使われており、ひじょうにキュート。日本でも、中折れストローハットや、パナマ帽、カンカン帽などが流行しているので、服と同じ生地を帽子にあしらう技は、オシャレに興味ある人には参考になるかも…

ほわ〜んとしたアドベンチャー活劇である。けっこうツッコミどころ満載のゆる〜いコミカル路線だが、案外観ていて楽しい映画だ。「なんでやねん」と、心で呟きながら楽な気持ちで鑑賞することをお勧めする。

 
【ストーリー&インプレッション】

1911年、エジプト。アデル・ブラン=セックは、いま砂漠を越えている。世界中の「不思議」を追い「秘宝」を集める彼女は、最新の冒険のルポタージュ「氷の怪物」を出版した後、インカ帝国の生き残りの謎を解明するためにペルーに向かうはずだった。

だが彼女は、不慮の事故で死に瀕している妹アガットを救うために、一刻も早く「復活の秘薬」を手に入れなければならなかった。灼熱の砂漠を越え、アデルはとうとう「ラムセス2世」に仕えたミイラを発見。だが、黄金を横取りしようと狙う盗賊の襲撃をかわしたのもつかの間、アデルは、いつも彼女の行く手を阻む惨忍で冷徹なマッドサイエンティスト、のデュールヴーに捕えられてしまう。

石室に閉じ込められたアデルは、隙を突いてミイラ制作室の油に火を放ち反撃する。火は瞬く間に広がったが、アデルはミイラの石棺に滑り込み、間一髪で炎に包まれた洞窟から脱出。石棺は地下水脈に落ち、アデルはナイル川に辿り着く。そして、無事にミイラと一緒にパリに戻ってきた。

同じころパリでは、謎の巨大な怪鳥が現れるという事件が起こっていた。パリの空を不気味に飛びまわり、政府の要人も車ごと襲われた…

人々は恐怖に陥った。メナール教授と助手のズボロフスキは、博物館に展示されていた卵の化石が割れているのを発見。

巷を騒がせている怪鳥は、ジュラ紀に絶滅した翼竜プテロダクティルスだった。事件を担当するカポニ警部は、メナールからジュラ紀の専門家エスペランデュー教授を紹介される。

だが、プテロダクティルを現代に甦らせたのは他ならぬエスペランデュー教授であった。「死後に生はあるか?」を著し、自ら蘇生法を試しているうちに、1億3500万年前の卵を孵化させてしまったのだ。

警部は「翼竜事件」を起こした張本人として、エスペランデューを逮捕し、死刑を言い渡す。政府はアフリカに遠征していた著名なハンター、サン=ユベールを呼び戻し、大々的に翼竜掃討作戦を開始する。

「復活の秘薬」を手に入れるには、ミイラを復活させる必要があり、エスペランデュー教授の協力がどうしても必要なのだ。アデルは教授を脱獄させようと何度も刑務所に侵入するが、そのたびに変装を見破られ外に放り出される。何度もトライし、やっと教授を奪還したアデルは、ミイラの蘇生に成功する。しかし、そのミイラはお目当てのミイラではなかった。

ちょうどルーブル美術館では「ラムセス2世」と従者たちのミイラ展が開催されていた。エスペランデュー教授の蘇生術はパワーが強く、美術館内のミイラたちも蘇らせていた事を知ったアデルは、ルーヴル美術館に駆けつける…

果たして、妹のアデットを無事助けることができるのか。アデルの冒険はクライマックスに突入する。

ストーリーからして荒唐無稽である。そこがいいのだ。この映画に小難しい講釈は必要ない。アデルの可愛らしさを堪能するだけでも十分価値ある作品だ。また、妹が植物状態になった原因には、笑わせてもらった。

アデルが翼竜の背中に乗って博士を救出したり、復活したミイラがパリの街を練り歩いたりと、どこかで観たようなシーンが登場するのも愛嬌だ。アデルとミイラのやりとりにはユーモアがあり、大いに楽しめる。

アデル以外の登場人物の設定や風貌も面白く、憎めないキャラのオンパレードだ。コルセットの入ったフルレングスの典型的なクラシカルスタイルのドレスに、大きな帽子というファッションは見ていて優雅だが、アデルのようなアクティブな女性にはやや窮屈そうだ。フランスで最も偉大なデザイナーの1人、ココ・シャネルがフランスにメゾンをつくり、ジャージ素材のドレスを発表して、女性たちをコルセットから解放するのが、この物語から約4年後のこと。きっと、アデルなら真っ先にシャネルの店に足を運ぶに違いない。本編の終わりでは、続編を予感させるシーンで終わっているので、次回作(もし、続編が製作されたなら…)で、彼女のファッションが大幅に変わるかも知れない…

ハリウッド映画ではあまりお目にかからない、ある種の脱力感とエスプリが感じられる面白い作品だ。肩の力を抜き、スクリーンの中で躍動するアデルの不思議な魅力の虜になってみるのも悪くない。

 

キャスト スタッフ
ルイーズ・ブルゴワン 監督:リュック・ベッソン
マチュー・アマルリック 製作:ヴィルジニー・ベッソン=シラ
ジャッキー・ネルセシアン 脚本:リュック・ベッソン
ニコラス・ジロー 音楽:エリック・セラ
ロール・ド・クレルモン 撮影:ティエリー・アルボガスト
ジル・ルルーシュ 美術:ユーグ・ティサンディエ
ジャン=ポール・ルーヴ  
   
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