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インビクタス/負けざる者たち
2009年の総括
イントロダクション
CINEMA Oh! PLEASE Top
監督:羽住英一郎 製作年:2010年
撮影協力:海上保安庁 上映時間:129分
愛する人に何を残すのか…。
【イントロ】

「海猿」は、週刊ヤングサンデーに連載された漫画作品である。これを原作として、ドラマや映画が製作されている。海上保安官である「仙崎大輔」を主人公として、海難事故を中心とした海上保安官の活躍を描いた物語で、漫画の中での事件や事故は、実際に起こった事件・事故を題材にして書かれているストーリーもある。

最初にNHKで2度ドラマ化され、その後、2004年にフジテレビ制作により伊藤英明主演で映画化された。映画「海猿」は大ヒットし、翌2005年にはその続編が映画と同じ主要キャストにより連続テレビドラマ「海猿 EVOLUTION」として放映された。2006年には映画「LIMIT OF LOVE 海猿」が公開され、その年の日本映画興行収入No.1を獲得した。

シリーズのフィナーレを飾った「LIMIT OF LOVE 海猿」だが、ファンの間で続編を望む声が大きくなり、署名運動まで起こった。それから4年経ち、シリーズを長年支えてきたスタッフが再集結し、「THE LAST MESSAGE 海猿」が主要キャスト勢揃いで公開された。今回は、原作コミックをもとに、大河ドラマ「龍馬伝」も手掛ける福田靖氏が完全オリジナルストーリーを作り出している。

伊藤英明は、父親となり、さらに新米潜水士を支える立場になった仙崎大輔を、その鍛え上げられた肉体で身体を張った困難な撮影に挑み、シリーズを通して培ってきた確かな演技力で見事に演じ切っている。大輔の妻となって登場する環菜には、伊藤英明と共に「海猿」を引っ張ってきた加藤あいが扮し、母親となったゆえの強さと弱さも覗かせ、見る者の胸を打つ。

新米潜水士で大輔と現場でバディを組むことになる服部拓也には「ごくせん」「タンブリング」で注目を集める三浦翔平。歴代のキャスト同様に潜水訓練を積み、苛酷な撮影に臨んでいる。また、佐藤隆太、時任三郎、石黒 賢、香里奈らレギュラーメンバーに加え、シリーズ初参加となる加藤雅也、吹石一恵、濱田 岳、鶴見辰吾、勝村政信らがその奥行きある演技で、作品に新たな刺激を与えている。

そして、今回の主題歌は「EXILE」。国民的モンスターグループが奏でる甘く切ないメロディはシリーズ完結編を感動的に盛り上げる…

日本メジャー配給初となる3D・2D同時公開である。ただし、3D専用カメラによるものではなく、通常撮影した映像をポストプロダクション時に変換した3D映画である。

余談ながら、潜水士を「海猿」と呼称することは、漫画・映画・ドラマでの作り話である。海中で猿のように敏捷に活躍するイメージから「海猿」というネーミングが浮かんだという。漫画では、潜水士候補の若者達の「少々やんちゃ」な振る舞いを揶揄して周辺から「海猿」と称されていると設定されているが、実際の海上保安官がこう呼ばれていた事実はない。海上保安官は公務員であり、規則により「少々やんちゃ」なことをすると、懲戒処分の対象になるのだ…ただ、一連の映画やドラマのヒット以降は、マスコミや一般人が海上保安官の潜水士に対して「海猿」の呼称を用いるようになり、そう呼ばれることもあるようだ。

2004年に公開された映画「海猿」は、海上保安庁が全面協力で制作され話題になった。海が好きという思いで転職してまで海上保安庁に入った仙崎大輔。第七管区福岡海上保安部に配属されたが、地上や船上勤務を退屈と感じ、エリート集団である潜水士を目指し、海上保安大学校の潜水士課程に入校するところから物語は始まっている。「海猿」と呼ばれる若き潜水士候補生の友情、恋、挫折、試練、成長が描かれた作品である。テレビドラマ「海猿 UMIZARU EVOLUTION」は、映画からの続編で、主要キャストは引き継いでいる。映画の舞台であった海上保安大学校にて潜水士訓練課程を卒業後、1年間現場での実務をこなし、辞令により第三管区横浜海上保安部所属PL型巡視船「ながれ」に配属されるところから物語は始まる。


そして、2作目の映画「LIMIT OF LOVE 海猿」での撮影には、海上保安庁が船艇を提供するなどの協力を行い、また海上保安庁のイメージアップに貢献したことから、「海猿」に対して感謝状が贈られている。漫画・テレビ・映画での公開以降、海上保安官の志願者数が激増したという社会現象まで起こした。

当初は、原作通りに関門海峡でのロケを希望していたが、「関門海峡の潮の流れが早い」「関門海峡が撮影で閉鎖されると利用する船舶に支障が出る」などの理由により撮影の許可が出ず、舞台が鹿児島湾に変更された。

鹿児島、機動救難隊へと異動し機動救難士となった仙崎と吉岡。仙崎は遠距離恋愛ながらも、環菜と順調に交際し、結婚は目前だった。ある日、訓練中に機動救難隊に出動が命じられる。任務は鹿児島湾内で座礁したフェリーでの救助活動。しかし、予想以上の速さで浸水、傾いていく船体。仙崎と吉岡、そして要救助者2名は、絶体絶命の状況に追いやられていく…というのが「LIMIT OF LOVE 海猿」のあらすじである。

そして、前三作のテーマと魅力はそのままに、スケールと迫力は大幅にパワーアップしたシリーズ完結編となる「THE LAST MESSAGE 海猿」。興奮と感動の2時間を堪能してほしい。

 
【ストーリー&インプレッション】

仙崎は相棒の吉岡に手伝わせ、環菜との3回目の結婚記念日用のプレゼントして「感謝」の気持ちを録音するシーンから始まる。

玄界灘に浮かぶ大規模天然ガスプラント「レガリア」で異常が発生した。この「レガリア」は、日韓共同施設である上、ロシアからも技術供与を受け、1500億円もの予算がつぎ込まれた大規模国家プロジェクト。大型台風接近中、高波に煽られた海洋掘削装置ドリルシップがレガリアに激突し、火災が発生したのだ。

この重大危機に、海上保安庁、韓国海洋警察庁が現場へ向かう。第十管区海上保安本部機動救難隊の仙崎の姿も、レガリアの設計主任である桜木浩一郎とともにその中にあった。

施設内には300名以上の作業員や関係者が取り残されており、さらに膨大な天然ガスも貯蔵されていた。一歩間違えれば大惨事となる危機的状況のもと、要救助者の救出が行われ、桜木による防災対策が進む。

その時、突然の爆発により大輔、桜木、医師の西沢夏、作業員の木嶋久米夫が「レガリア」内に取り残され、逃げ場を失ってしまう。その窮地を救ったのは、第七管区海上保安本部機動救難隊の服部拓也であった。しかし、台風接近により、もはやヘリも船も近付ける状況でなくなり、「レガリア」内には安全な場所もほとんどない。5人は台風が去るまで孤立することになる。3回目の結婚記念日を楽しみに家で待つ妻の環菜と生後10ヶ月の長男、大洋を思う仙崎は、初対面の服部とバディを組み、脱出の道を探る。

一方、事故対策本部では救難課長の下川を中心に、人命優先で救助の道を探っていたが、国益を最優先に考える内閣参事官の吉森がその方針に口を挟む。各国から報告を求める声も相次ぎ、焦燥感に包まれる対策本部。

不安に襲われながら大輔の帰りを待つ環菜。様々な思いが交錯する中、刻一刻と過ぎていく時間。そして、「レガリア」内に取り残された大輔たちを、更なる危機が襲ってくる…

まず、ドリルシップの栓が外れて原油が噴出し放し状態になるが、仙崎と服部の協力により、何とかバルブを閉めて一息つく。天然ガスプラントなのに、どうして原油噴出というシチュエーションになるのかイマイチよく分からないが、ま、細かいことは良しとしようではないか。

お次は、漏電で、天然ガス引火大爆発の危機が迫る…

自分たちが助かるために下した設計主任の苦渋の決断は、浮力用のブイの一部に海水を入れてバランスを崩し、我が子のように愛しい「レガリア」を沈め、ドリルシップに乗り移るしかない…と。「1500億円の国家プロジェクトだぞ!」と猛然と反論する内閣参事官。「彼らにそれだけの価値があるのか?」と、お決まりの台詞。「あなたの言っている意味が分かりません!」と、下川。人命救助を第一に考える救難隊員の思いと、巨費を投じた国家プロジェクトの施設を守ることを最優先とする内閣参事官との対立の構図。人命か国益かというせめぎ合いで、対策本部は極度の緊張感に包まれる。

シリーズ最大の危機を迎える仙崎だが、「海猿」をずっと見ているファンには仙崎の成長がたまらない魅力に映ったことだろう。救助のスペシャリストとしての経験を積み、父親となったことで人間的にも一回り大きくなった仙崎は、家族を思う気持ちから仕事への恐怖心を感じるが、初対面の潜水士とバディを組みながらも彼をサポートし、決して冷静さを失わない頼もしさである。

「レガリア」を沈めることに成功した仙崎だが、作業中に足を骨折し、自力で脱出不可能となる。バディの服部に彼らの帰りを待つ3名の救助を託し、酸素ボンベを抱え、沈み始めた「レガリア」に1人残る仙崎。

台風も去り、「レガリア」に残された人々と仙崎の救出に向かう「海猿」たち。

絶望と思われた時、「レガリア」に戻ってきた服部が見たものは、瓦礫の中から手を振る仙崎の姿だった。沈没寸前の「レガリア」から脱出した2人が、ふと見上げると、無数の仲間たちのサーチライトが2人に向かってやってくる…一番の感動シーンである。

また、映像的にも素晴らしく、命の絆を感じさせる秀逸な演出である。どんな時も、バディを、自分を、そして自分を待つ家族を信じる強い思いが、最終章にふさわしい感動を生んでいる。「レガリア」の造形は映画にふさわしい大迫力で、そこでの救助活動はテレビドラマではまず不可能な大スペクタクルである。

巨大なセットに大量の水を流す撮影は、さぞ苦労の多い現場だったろうと安易に想像がつく。CGの出来もいいし、キャストのほとんどが、海上保安庁で本物の訓練を受けているだけに本格的である。また、海保全面協力による本物の巡視船やヘリコプターの登場は「本物」感にあふれた映像に一役買っている。

ツッコミどころも多少用意されているが、この際大目に見ておいた方が良いかもしれない。大体、竹島を望む玄界灘で、日韓が共同で天然ガスプラントを建設する可能性などあり得るだろうか…ま、このような娯楽映画に政治問題を持ち込むのは少し野暮なのかも…あまり深く考えずに鑑賞するのがよさそうだ。

今回の題材は、けっこう3D向きのコンテンツなのだが、3D効果はあまり感じられなかったのが少々残念だ。専用メガネの影響か狙いなのか分からないが、映像が何となく暗く、コントラストに欠けた多少ボケた感じがした。以前に観た「タイタンの戦い」と同じように、これは2D作品で観ても十分楽しめるのでは…やはり、コンピューター処理での3D変換は、「アバター」や「バイオハザード」のように3D専用カメラで撮影した映像とは、比べ物にならないようだ。

また、「最期、最期」と連呼するプロモーションには辟易する。毎度お馴染みの、最後に主人公が死ぬかも…的なワンパターンで、作品を盛り上げるのはいただけない。今後もこのような傾向にならないように願うばかりだ。ある意味、「死ぬ死ぬ」詐欺である。スローモーションを多用するのが最近の流行なのかどうか定かではないが、ストーリーのスピード感がなくなる恐れがあるので、要注意である。日本のドラマや映画の欠点は、説明的な台詞の多さや感情の表現を重視するため、「間」が多すぎる傾向がある。テンポ良くストーリー展開してもらいたい…と、常日頃願っている。そんなにゆっくりせず、素早く行動しなければ助からないよ…と、小姑のようなお節介をしてしまいそうだ。

ただ、仙崎の無事を祈り帰りを待つ環菜が、結婚記念日のデコレーションを施した部屋の中で偶然見つけたプレゼントの縫いぐるみの中に仕込まれたテープレコーダー見つけ、仙崎の愛情溢れるメッセージを聞くシーンが、冒頭のシーンと上手くシンクロし、オープニングシーンに重要な意味を持たせた演出に好感が持てる。仙崎と環菜の出会いから結婚式にいたるまでの回想シーンや過去のエピソード映像が印象的で美しい。露骨なお涙頂戴的演出だと分かっていても、スクリーンに見入ってしまうほどの完成度である。まさに思う壺ってやつだ。

映画としては面白く、安心して観られる作品である。男同士の絆や勇気がひしひしと伝わってくるようだ。

 

キャスト スタッフ
仙崎大輔:伊藤英明 監督:羽住英一郎
仙崎環菜:加藤あい 製作総指揮:亀山千広
吉岡哲也:佐藤隆太 製作:加太孝明/水口昌彦/島谷能成/亀井修/小笠原明男
桜木浩一郎:加藤雅也 プロデューサー:臼井裕詞/安藤親広
西沢夏:吹石一恵 脚本:福田靖
服部拓也:三浦翔平 音楽:佐藤直紀
木嶋久米夫:濱田岳 撮影:佐光朗
松原エリカ:香里奈 美術:清水剛
遠藤翔太:勝村政信 アソシエイト・プロデューサー:小出真佐樹/上原寿一
吉森久貴:鶴見辰吾 ライン・プロデューサー:森井輝
北尾勇:石黒賢 装飾:沢下和好
下川いわお:時任三郎 照明:水野研一
  音響効果:柴崎憲治
  助監督:近藤一彦
  ダイビングコーディネーター:金城将憲
  VFXスーパーバイザー:石井教雄
  スクリプター:荒澤志津子
  制作担当:阿部 豪
  撮影協力:海上保安庁
  原作:佐藤秀峰
  原案:小森陽一
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