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監督:三池崇史 製作年:2010年
原作:池宮彰一郎 上映時間:145分
斬って、斬って、斬りまくれ!
【イントロ】

オリジナルの「十三人の刺客」は、片岡千恵蔵主演、工藤栄一監督により1963年に公開された。世間の流行が時代劇から東映任侠映画に移り変わる頃に制作された「十三人の刺客」は、リアリティ重視の演出に、30分間にも及ぶ集団白兵戦闘の見せ場が印象的な本格時代劇作品であった。それを、バイオレンス描写に定評がある三池崇史監督が、役所広司を主演に据え、超豪華なキャストでリメイクした。

圧倒的なスケールとリアリティを追及したアクションエンターテイメント作品を共同プロデュースするのは、「おくりびと」などを手掛けたセディックインターナショナルの中沢敏明氏と、「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」などのプロデュースをしたジェレミー・トーマス氏。

リメーク版の怖さは、オリジナルの二番煎じになり、元の作品に力負けする場合が多い。だが、今回はオリジナル版の良さを踏襲し、新鮮な工夫が加味され、時代劇の醍醐味をたっぷり味わわせてくれる秀作に仕上がっている。映画黄金時代の熱を表現したい…CGは極力使わないでオーソドックスに撮る…と、監督の意気込みも熱い。死闘の舞台となる宿場町を再現したセットは、東京ドーム20個分の広さを誇り、約2億円をかけて製作された。

役所広司演じる島田新左衛門のキャラクター設定は、沈着かつ豪快なリーダー役ながら、どこか冷めた現代人のような軽さがある。新左衛門を単なる忠義の士ではなく、人間味溢れるところを甥の新六郎との対話の中で垣間見せ、暗殺計画の決断も作戦の立案も「一世一代の大博打だ」と、語らせている。





また、東映時代劇の王道スタイルを継承し、流麗な殺陣と目力の威圧感で他を圧倒する松方弘樹の演技は、スクリーンの中でも一段と輝いており、さすがの貫禄である。

また、松本幸四郎、平幹二朗の本格的演技派俳優による男の意地の表現は、作品に重厚感を与え、作品自体が引き締まる。そして、冒頭に登場するだけの出演ながら、内野聖陽の切腹シーンは、この作品は本気だな…と、決意のような意気込みを感じさせてくれる。

時代劇初出演の市村正親は、どことなく舞台の演技を髣髴させる雰囲気が漂っているが、「侍の為すべきことは、ただ1つ、主君に仕えることではないのか」などの決め台詞がピッタリとくる。忠義に生きる侍を熱演する。剣技を誇る孤高の浪人・平山九十郎を演じる伊原剛志、主人公の甥で放蕩三昧から一転、硬派の魂を示す若侍・島田新六郎役の山田孝之、参謀として活躍する三橋軍次郎には「エロ男爵」こと、沢村一樹が真面目に演じている。隙あらば下ネタの1つくらい発揮するかと期待したが、最後まで真面目を通していた(それが当然なのだが…イメージとはある意味怖いものだ)。

刺客のほとんどは大義のために集結したメンバーだが、「劇団☆新感線」の古田新太演じる槍の名手・佐原平蔵は金で戦を請け負う傭兵という設定である。笑いを封印して、演技に徹している姿はなかなか渋い。

また、黒澤明監督の「七人の侍」でも、たった1人侍ではない三船敏郎扮する菊千代が異彩を放っていたが、本作における菊千代と同じような存在が、旅の途中で一行に拾われた山の民・木賀小弥太である。すでに集まった12人は全員が死を覚悟した侍ばかりだが、伊勢谷友介扮する木賀小弥太は、武士社会のしがらみを炙り出す存在として、効果的な役割を果たしている。

この作品で、ある意味もう1人の主役である稲垣吾郎。稲垣扮する明石藩主・松平斉韶は、現代の病が結晶化した姿である。庶民を捕まえては無表情に繰り返す陵辱と殺戮。誰でもよかったと言わんばかりに残虐非道の限りを尽くし、太平の世に生の証しを求める。そして、虚無の果てに到達する狂気。こいつは生かしてはおけない…と、誰もが思う悪役を、国民的アイドルグループSMAPからキャスティングしたことは快挙である。余談ながら、SMAPのメンバーなら誰が悪役を演じても、各々がキャラの違った見事な悪役ぶりを披露するような気がする。

この作品は、侍の「大義」と「忠義」の激突なのだ。バカ殿であっても命がけで仕え守ろうとする侍の哀れと不条理さと、死を覚悟してまで多勢に果敢に攻め行く侍の儚さが描かれている。しかも、バカ殿以外、戦う相手が決して悪者ではないというところに余計虚しさを感じてしまう。「侍とは面倒なものだ」という台詞がすべてを物語っている。

 
【ストーリー&インプレッション】

弘化元年3月。明石藩江戸家老・間宮が、老中・土井家の門前で切腹自害。間宮の死は、明石藩主・松平斉韶の暴君ぶりを訴えるものであった。将軍・家慶の弟である斉韶は、来年には老中への就任が決まっている。事件は時の幕府を動揺させ、このままでは幕府、ひいては国の存亡に関わると判断した土井は斉韶暗殺を決断、御目付役・島田新左衛門にその命を下した。

大事決行を控え、新左衛門は刺客集めに奔走する。剣豪浪人平山、酒と女と博打に溺れる新左衛門の甥・新六郎ら11人の強者達が新左衛門のもとに集った。暗殺計画が極秘裡に進められる中、斉韶の腹心・鬼頭半兵衛はその情報を掴んでいた。半兵衛は、かつて新左衛門と剣の同門でありながらも道を違え、本意を奥底に仕舞いながらも「侍の本分は主君に仕えること」を実践する剣の達人である。

そんな中、新左衛門は、斉韶を襲うのは江戸から明石への参勤交代の道中しかないと判断、襲撃場所を交通の要所の落合宿に決める。明石藩の参勤交代が尾張を通る時、尾張藩への通行を阻止すれば、勢力を削られた行列は落合宿に出るはず…斉韶を落合宿に誘い込むため、新左衛門は事の詳細を尾張藩の木曽上松御陣屋詰・牧野靭負に打ち明け協力を求める。斉韶に息子夫妻を惨殺されている牧野靭負は、自らの命を賭して協力を誓う。

斉韶が落合宿にやって来るかは、極めて危険な賭けであったが、斉韶殺害のチャンスはそこしかない。

刺客たちは現地へ急行、明石藩を迎え撃つべく落合宿を要塞へと改造する。道中、山の民・木賀小弥太が加わり、落合宿には総勢13人の刺客が揃った。しかし、明石藩は待てども待てども落合宿にやってこない…

新左衛門の計略は失敗に終わったかに思えたその矢先、敵は予想以上の多勢となってやってきた。策略を予感した鬼頭は兵を蓄え、この戦いに備えていたのだ。混乱の中、明石藩の退路を断つ大橋が爆破され、13人対300人超の決戦がついに始まった…。

と、ストーリーはいたってシンプルである。映画の宣伝文句にある「ラスト50分の死闘」…って、ラストって感覚じゃなく、ほとんど上映時間の1/3近くが戦闘シーンってことになるわけだ。派手な仕掛けや意表をつく戦術は、時代劇らしからぬ趣が感じられるが、迫力ある殺陣も随所に登場し、見事な剣捌きが披露されている。しかし、そのほとんどが時代劇の様式美にこだわらない常軌を逸した集団戦の大立ち回りである。これでもか…というほど、斬って、斬っての血飛沫舞う戦闘の連続で、観ているだけでも全身に力が入ってしまうチャンバラエンターテイメントだ。

バイオレンス描写に定評がある三池崇史監督らしい演出がスクリーン狭しと次々と展開し、スピード感溢れる仕上がりになっている。男臭さが全開の三池ワールドが繰り広げられる。また、カッコいい侍の美学的な台詞が心に響く。「拙者、この太平の世に侍として、よき死に場所を探し続けておりました。」「俺の背後に抜けた者を斬れ。一人残らずだ。」な〜んて、シビレてしまう。

オーソドックスな時代劇路線の中にあり、一際異彩を放つのが、山の民・木賀小弥太役の伊勢谷友介の存在だ。落合宿庄屋の三州屋徳兵衛を飄々と演じる岸部一徳との絡みは、血生臭い展開の中で、唯一微笑ましい?シーンかもしれない。常に上から目線の侍に対する皮肉の効いた台詞や素朴な感情が、観客の共感を呼ぶ。

稲垣吾郎扮する松平左兵衛督斉韶は、常人の理解を越えた狂ったモンスターとして描かれている。自分が襲われていても「面白い。老中になったらこんな戦の世にしよう…」とうっとりとするようなイカレ具合。また、無表情で人を殺す残虐暴君を、稲垣はクールに演じている。ファンから嫌われそう…と、本人が言うように、憎まれ役がピッタリはまっている。

濃い霧の中で佇む13人の刺客。今まさに戦が始まろうとしている…時代劇を爽快や美意識ではなく、集団抗争の壮絶なパワーで描かれたワクワクするような男の映画を堪能してほしい。「小細工は終わりだ!斬って斬って斬りまくれ!」

 

キャスト スタッフ
■刺客 監督:三池崇史
島田新左衛門:役所広司 製作総指揮:ジェレミー・トーマス/中沢敏明/平城隆司
島田新六郎:山田孝之 製作:梅澤道彦/市川南/白石統一郎
倉永左平太:松方弘樹 プロデューサー:大野貴裕/吉田浩二/前田茂司
三橋軍次郎:沢村一樹 脚本:天願大介
樋口源内:石垣佑磨 音楽:遠藤浩二
堀井弥八:近藤公園 撮影:北信康
日置八十吉:高岡蒼甫 美術:林田裕至
大竹茂助:六角精児 照明:渡部嘉
石塚利平:波岡一喜 録音:中村淳
平山九十郎:伊原剛志 編集:山下健治
佐原平蔵:古田新太 人物デザイン:柘植伊佐夫
小倉庄次郎:窪田正孝 衣裳デザイン:澤田石和真
木賀小弥太:伊勢谷友介 スタントコーディネイト:辻井啓伺
■明石藩 ■製作委員会メンバー
松平左兵衛督斉韶:稲垣吾郎 テレビ朝日/東宝/セディックインターナショナル/電通/小学館
鬼頭半兵衛:市村正親 Recorded Picture Company/朝日新聞社/朝日放送/九州朝日放送
間宮図書:内野聖陽 北海道テレビ/Yahoo! JAPAN/TSUTAYAグループ
浅川十太夫:光石研 東日本放送/静岡朝日テレビ/広島ホームテレビ
出口源四郎:阿部進之介  
■幕府 制作:セディックインターナショナル
土井大炊頭利位:平幹二朗 イメージソング:EAGLES/DESPERADO
■尾張藩 原作:池宮彰一郎
牧野靭負:松本幸四郎  
牧野妥女:斎藤工  
牧野千世:谷村美月  
■その他  
芸妓お艶・山の女ウパシ:吹石一恵  
三州屋徳兵衛:岸部一徳  
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