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KISS & KILL
SPACE BATTLESHIP ヤマト
ハリー・ポッターと死の秘宝
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十三人の刺客
THE LAST MESSAGE 海猿
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インセプション
アデル ファラオと復活の秘薬
踊る大捜査線 THE MOVIE 3
ヤツらを解放せよ!
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パリより愛をこめて
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後編
タイタンの戦い
第9地区
ハート・ロッカー
マイレージ・マイライフ
NINE ナイン
ショーロック・ホームズ
日本アカデミー賞
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
サロゲート
バレンタインデー
インビクタス/負けざる者たち
2009年の総括
イントロダクション
CINEMA Oh! PLEASE Top
監督・VFX:山崎貴 製作年:2010年
原作:西崎義展 上映時間:138分
必ず、生きて還る。
最後の希望を託されたヤマトの戦士たち。
彼らが胸に抱く想いはひとつ…「愛する人を守る」こと。
【イントロ】

1974年放送のTVアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の壮大なスケールとストーリーが、斬新な設定とダイナミックな映像の実写版「SPACE BATTLESHIP ヤマト」として2010年に帰ってきた。アニメ放送から36年目、あらゆる映画人が夢見て成しえなかった「宇宙戦艦ヤマト」の実写映画化が、木村拓哉主演でついに実現した。

共演陣も豪華である。山崎努、黒木メイサ、柳葉敏郎、西田敏行、緒形直人、高島礼子、橋爪功、緒形直人、池内博之らが「ヤマト」に乗艦する。

また、1シーンながら堤真一も登場。役柄以上の存在感を発揮している。

実写とCGを融合させた作品として定評のある「ALWAYS 三丁目の夕日」で監督を務めた山崎貴がメガホンを取っている。往年のアニメ「宇宙戦艦ヤマト」を実写化するという企画・構想案はTBSが立案し、約5年かけてセディックインターナショナルと株式会社エナジオの西崎彰司氏(原作となる74年のテレビアニメの原作者・西崎義展氏の養子)の協力のもと、西崎義展氏の許可を得て、2009年10月3日に正式に製作発表された。

海外進出を視野に入れているため、タイトルは「SPACE BATTLESHIP ヤマト」になったという。なお、2010年12月31日から台湾での公開が決定しているようだ。

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の撮影は2009年10月より開始され、キャストによる出演部分撮影のほぼすべては同年内に完了している。そして、公開までの約1年をかけて、素材撮影や全体の80%に及ぶVFX部分を制作・編集に時間が費やされた。

余談ながら、VFXとは、Visual Effects(ビジュアル・エフェクツ)の略で、特撮を用いた映画やテレビドラマにおいて、現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術のことを指す用語である。撮影現場での効果をSFX(Special Effects / 特殊効果)と呼ぶのに対し、撮影後のポストプロダクション段階に付け加えられる効果をVFX、もしくは視覚効果と呼んでいる。

最近では、VFX制作会社の力量で、映画の質に差が生じるようだ。アメリカの有名なVFX会社として、「スター・ウォーズ」をはじめ「インディー・ジョーンズ」シリーズ「タイタニック」など数多くのハリウッド映画のVFXを手掛けている、世界一の規模を誇るジョージ・ルーカス率いる「ILM(インダストリアル・ライト&マジック)」。また、「アポロ13」「タイタニック」などを手がけた「デジタル・ドメイン」。「スパイダーマン」などでアカデミー視覚効果賞を受賞した「ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス」は、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント傘下のVFX工房である。そして、「マトリックス」で一躍脚光を浴びた「マネックス・ビジュアル・エフェクツ」などがある。イギリスの「ダブルネガティブ」は、「ダ・ヴィンチ・コード/天使と悪魔 」や「007」シリーズ「インセプション」などを手がけるヨーロッパ最大のVFX会社である。「ロード・オブ・ザ・リング」「キング・コング」などを手がけた「WETAデジタル」は、ニュージーランドのVFX会社。

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」のVFXは、日本の「白組」が手掛けている。「ジュブナイル」「リターナー」「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどのVFXで定評ある会社だ。その他の日本のVFX会社では、「日本沈没」「ローレライ」「西遊記」を手掛けた「イマージュ」。「踊る大捜査線」などのVFX手掛けた「A.T-ILLUSION」は、「キル・ビル」や「バベル」など多くのハリウッド映画も手掛けている。


またまた余談ながら、企画当初、ヒロイン役には沢尻エリカが内定していたが、沢尻の事務所解雇騒動などにより、事務所側がキャンセルし、降板となった。ヒロイン選考時に沢尻や黒木ら複数の候補が挙がっていたが、沢尻の降板により黒木メイサに決まったというエピソードはあまりにも有名である。

「宇宙戦艦ヤマト」のオリジナル世代には、強い思い入れを抱いているファンも多いので、今回の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をどう評価するかは分からない。賛否両論は当然である。ただ、オリジナルを知らない世代や「宇宙戦艦ヤマト」に興味のなかった人たちには、けっこう面白い作品であり、邦画のSFエンターテイメント作品としては、十分鑑賞に値する。何と言っても、スタッフやキャストが楽しみながら映画制作に取り組んでいるような感覚が伝わってくる。

各々の登場人物に関する小さなエピソードも用意されているが、テンポ良く進行するので、あまり重くならず、ストーリー展開の邪魔にならない演出に好感が持てる。2時間ちょいの上映時間はあっという間にエンディングを迎える。

「スター・ウォーズ」シリーズを彷彿させるオープニングから、今までの日本映画にはない壮大なスケール感の宇宙空間が描かれており、観客を一気に「ヤマト」の世界観に引き込むことに成功している。日本映画のVFX技術レベルもハリウッド映画に近づいてきた…かも。地面に埋まっている「ヤマト」が始動するシーンや波動砲発射シーンなど、けっこう完成度は高い。

ガミラスの実態というストーリーの核の部分が、オリジナルアニメと異なることに往年のファンは疑問を持つかもしれないし、木村拓哉の「古代進」、黒木メイサの「森雪」には当然のごとく違和感を感じるはずである。しかし、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」には、「古代進」という名前のキムタクが乗艦していると思えばいいし、おしとやかなイメージの強かった「森雪」も、現代にマッチした戦闘パイロットというアクティブなキャラに変更されているだけの話である…と、軽く考えることが必要かもしれない。

最近の映画制作の傾向とは違い、今回の作品だけで潔く完結する姿勢は珍しいし、また、評価も出来る。多分、続編は制作できないと思うが、何年か経た後に、また、新しい「ヤマト」が登場するかもしれないが、同じメンバーでの続編は難しい。いや、観た人にはそう思わせておいて、実は「エピソード0」なんてものが制作されれば高等テクニックの裏技である。「ヤマト」のプロトタイプが登場…な〜んて、少々考えすぎだろうか。しかし、興行成績如何では続編制作待望論が噴出するかも…

 
【ストーリー&インプレッション】

西暦2194年、外宇宙に現れた正体不明の敵ガラミスが、地球に向けて攻撃を始めた。人類は各国の全戦力を結集して対抗するが、全軍壊滅。ガラミスは遊星爆弾を投下し、人類の大半を死滅させる。

それから5年後、遊星爆弾によって放射能汚染された地上を離れ、わずかに生き残った人類は地下での暮らしを余儀なくされていた。そんななか、かつてのエースパイロット古代進は、ガラミスの攻撃で家族を失った悲しみから軍を退き、失意の日々を送っていた。

そんなある日、地球に未確認物体が落下してきた。それは銀河系の彼方、14万8千光年にある惑星・イスカンダルから放たれた通信カプセルであった。そのカプセルからの情報によってイスカンダルには放射能を浄化できる装置が存在することを知った人類は、イスカンダルの高い科学技術が産み出した波動エンジンを搭載し、「宇宙戦艦ヤマト」を建造する。

兄の守の戦死を知り、戦場への帰還を志願した進は、戦闘班班長としてヤマトに乗り込み、守を見殺しにした沖田十三艦長に憎しみをぶつける。一方、ヤマトに搭載されている最新鋭の宇宙戦闘機コスモタイガーのパイロット・ブラックタイガー隊のエース森雪は、古代が上官に任命されたことを不満に思っていた。

彼らを乗せたヤマトが、地球を旅立つときがきた。ヤマトを発進させるエネルギーは膨大で、地球を監視するガラミス偵察艦隊に発見されないはずがない。ヤマトは出撃と同時にガラミスとの戦いに突入するが、テスト前の波動砲をぶっつけ本番で作動させ、窮地を乗り切った。

人類最後の希望であるヤマトはイスカンダルへ向かう。地球滅亡まであと1年…。ヤマトの壮絶なる戦いの旅が始まった。

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は、良くも悪くもキムタク映画である。エンターテイメントとして捉えるなら、映画としての素材は面白いし、キャスティングは豪華だし、それなりのストーリ展開は用意されているし…決して貶しているわけではないのだが、どことなく昔の東宝映画の怪獣特撮映画的なチープさが漂っているのである。そりゃ、昔とは比べ物にならないほどのCGの出来やVFXは、日本映画も「ここまできたか…」と感慨深くなってしまうが、未来を彷彿させるプレゼンというか演出が施せていない点が少々不満である。

たとえば、007シリーズなどで登場するちょっとした小道具やインテリアなどに感じる近未来的な格好良さが、少なすぎるというかほとんど見当たらない。設定が西暦2199年ってことは、今とはまったく違う空間デザインであるべきだし、観ている観客に夢を与えなければいけない。「そんなことまで出来るのかよ…」「それはやりすぎだろう…」というツッコミが、SF映画の王道ではないだろうか。これは、予算の問題なのか原作に忠実に…的な頑固さなのかよく分からないが、すべてにはっちゃけて欲しかったというのが本音である。

ヤマトのシップデザインやCGの出来は素晴らしいと思うのだが、艦内の美術デザインが何となく外観のイメージにそぐわないのだ。撮影の都合で仕方ないのかもしれないが、ヤマト自体は「でかい!」という感じが上手く描かれているのだが、そのスケールにマッチしない艦内なのである。妙にこじんまりしているような、迫力がないというか、夢がない…というか、バランスが悪いのだ。ま、はっきり言ってしまえば「安っぽい」「しょぼい」…につきる。

また、設定が西暦2199年なのだから、現在使用しているようなキーボードなどが登場するのは、どう考えてみても違和感がある。何気なく観ている分には見逃してしまうようなアイテムなのだが、よく考えてみれば、そんな未来に同じようなキーボードが使用されているわけがないでしょう…。今でも音声入力くらい簡単にできるというのに…と、いうようなツッコミをいれることが楽しいのかも…。

ハリウッド映画のSF大作を見慣れている人には、目新しさや驚き、感動は少ないかもしれない。でも、日本映画でもここまで出来るんだぜ!という心意気は十分伝わってくる。

人類を救うための自己犠牲精神や家族愛など、この手の映画に付き物のテーマもしっかりと盛り込んでいるのだが、やはり新鮮味に欠けてしまっている。

「宇宙戦艦ヤマト」世代のスタッフが制作する場合、ある程度オリジナルの雰囲気を残すか、まったく新しいものを創造していくか…悩むところだろう。ただ、幸か不幸か、オリジナルのニュアンスを残しながらも、キムタクが演じる新しいSFエンターテイメント映画という作品に仕上がっている。キムタクがテレビドラマで演じる台詞回しや表情が、そのまま大スクリーンに登場するのだから、キムタクファンにはたまらない作品であることには間違いない。

エンディングでは思わず「おっ、さすがキムタク!いつの間に…」と、心の中で呟くはずだ…このエンディングに関しては「なるほど…そうくるか…」と思う人、「やっぱり…そんな感じがした」という人に分かれるようだ。ま、エンディングとしては…それは、観てのお楽しみ。

懐かしい「宇宙戦艦ヤマト」のメロディと、スティーヴン・タイラーのエンディング曲「LOVE LIVES」が素晴らしい。やはり、映画は良い音楽があって魅力が倍増されるものだ。どうせならエンディング曲をSMAPが担当しても、ある意味面白かったのに…

映画は良い悪いではない。また、面白い面白くないというのも個人差によるものだ。結局は、好きか嫌いかなのである。多くの批評家や個人の評論は往々にして上から目線でぶった切る。評論をする人が本当に映画ファンであるならば、「この映画は面白くない…観るに値しない」な〜んて偉そうなことを言ってはいけないと思っている。その人が面白くないと感じるのは仕方ないが、そんな評論を鵜呑みにしてはいけないのだ。映画は総合芸術であり、観ることにより、その人が何かを感じ取ることが必要なのだと思っている。

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は、観る人の心にインスパイアを与える作品である。ぜひ、大きなスクリーンで迫力と制作者の情熱を感じ取ってもらいたい。

 

キャスト スタッフ
古代進:木村拓哉 監督・VFX:山崎貴
森雪:黒木メイサ 製作総指揮:飯島三智/阿部秀司/市川南
真田志郎:柳葉敏郎 製作:濱名一哉/中沢敏明
島大介:緒形直人 脚本:佐藤嗣麻子
斉藤始:池内博之 音楽:佐藤直紀
相原:マイコ 撮影:柴崎幸三
沖田十三:山崎努 編集:宮島竜治
徳川機関長:西田敏行 照明:吉角荘介
藤堂平九郎:橋爪功 美術 :上條安里
佐渡先生:高島礼子 装飾:中澤正美、龍田哲児
古代守:堤真一 VFXディレクター:渋谷紀世子
南部康雄:矢柴俊博 音響効果:柴崎憲治
デスラー(声):伊武雅刀 VFXプロダクション:白組
イスカンダル(声):上田みゆき 製作担当:金子堅太郎
ナレーション:ささきいさお 製作統括:信国一朗
  原作:西崎義展
   
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