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2009年の総括
イントロダクション
CINEMA Oh! PLEASE Top
監督:ジョセフ・コジンスキー 製作年:2010年
音楽:ダフト・パンク 上映時間:130分
この映画が、映像エンターテイメントの歴史を変える。
イマジネーションの可能性を追求し続けるディズニーが新たに挑む映像革命。
【イントロ】

1982年に製作されたアメリカ・台湾合作のSFファンタジー映画「トロン」の28年ぶりの続編である。世界で初めて全面的にコンピュータグラフィックスを導入した映画として話題を集め、コンピュータの内部世界を美麗な映像とプログラムの擬人化という手法で表現され、当時は大きな話題になった。

当時の技術的限界やあくまでコンピュータ内の仮想世界を表現するというコンセプトから、ワイヤーフレームやフラットシェーディングなどのCG的なシンプルなタッチの手法が多く使用された。しかし、それでも、コストや納期の都合で仮想世界シーンを完全にCGで作成する事は出来ず、多くのシーンで手描きのアニメーションが代わりに用いられた。また、CGのキャラクターや背景と役者などの実写素材との合成は、従来のアナログ光学合成で行われており、特にキャラクターの衣装の電子回路風パターンの発光表現などのために、大量のロトスコープ用マスクを手作業で作成する必要があったようだ。

「トロン」の主な批評として、CGからは人間味が感じられない、テクノロジーと比較してストーリーがないというネガティブな意見が多かったようだ。「E.T.」と公開時期が重なった事などもあり、興行的には失敗に終わったものの、CGの映像表現の可能性を示した作品であり、実際に「トロン」を見て、CG・コンピュータ技術関連の仕事を志した者は多い。ある意味、エポックメイキング的な作品といえる。

また、「TRON」というネーミングについては、定説がないが、当時、エンドユーザーレベルにおいて、標準的なプログラム開発環境であった「BASIC言語」では、インタプリタの開発支援コマンドとして「TRON (Trace On)」というものがあった。これは、プログラムを実行する際にそのプログラムのどこを実行しているかを表示しなさいというコマンドで、バグ取りの際には極めて重要なものであった。「不正を糺す=バグを取る」という意味で「TRON」というネーミングが採用されたとする説がある。

しかし、制作者は「BASIC」のコマンドについては知らなかったようで、「エレクトロンのトロン」と答えたという。ま、これが正解かどうかは定かではないが…。

今回の「トロン:レガシー」は、前回の続編ということだが、まったくの別物と考えても大丈夫である。ただ、1982年に制作された作品から28年後の作品が、いかに「映画」として変貌、進化したかを知るためには、前作をレンタルしてでも鑑賞しておくのも面白いかも…。けっこう親切な「シネマ・オープリーズ」は、前作「トロン」に興味ある方のために、簡単なストーリーをお届けする。

ソフトウェアメーカー・エンコム社に在籍するケヴィン・フリンはゲーム「スペースパラノイド」を開発したものの、その全データを同僚のデリンジャーに盗まれてしまう。デリンジャーが自身の作として発表した「スペースパラノイド」は大ヒットし、たちまち彼はエンコムの社長に出世する。その一方でフリンは場末のゲームセンターのマスターへと追いやられてしまう。

憤慨したフリンは「スペースパラノイド」がデリンジャーの盗作である証拠を掴むべく、夜な夜なエンコムへのハッキングを開始する。だが、証拠のデータはデリンジャーがプログラムしたMCP(マスター・コントロール・プログラム)によって厳重に隠蔽されており、発見は不可能であった。

そんなある日、偶然にもフリンのハッキングの事実を知ったエンコムの社員アランが、恋人のローラと共にフリンの元を訪ねて来る。これをチャンスと考えたフリンは、エンコム社内のコンピュータから直接、アクセスさせてもらえるよう懇願する。了承した2人はフリンをエンコムへと導き、また、アランも不正調査とMCP破壊のために、開発途中の監視プログラム・トロンを起動することを決意する。

しかし、フリンの侵入は既にMCPによって察知されていた。結果、フリンはエンコムが実験中の物質転送機によって、MCPが支配するコンピュータの内部世界へと送り込まれてしまう。そこはMCPによる圧制下にあり、あらゆるプログラムがネットを通じて集められ、奴隷のように扱われていた。そんな中で、フリンはアランそっくりの1人のプログラムと出会う。実は彼こそが、MCP破壊の任を帯びてアランに送り込まれたプログラム・トロンだったのだ。2人は計算プログラム・ラムと共にデリンジャーの不正を暴き、コンピュータ世界におけるMCPの圧政を打ち砕くため、MCPに戦いを挑んでいく…という、ステーリーである。

続編である今回の「トロン:レガシー」のプロジェクトがスタートしたとき、今回監督に抜擢されたジョセフ・コシンスキーはプロデューサーから「君ならトロンの世界をどう表現するか」と質問された。ジョセフ・コシンスキー監督は、コロンビア大学で助教授を務め、また、アップルやナイキなどの革新的なコマーシャルを手掛けてきた最先端の映像クリエイターである。そして、彼は「実際の3D映像で見せるから時間と予算が欲しい」と頼み、3分間の短いトレーラー(予告編)を作った。それをアニメや映画などのイベント「コミック・コン」で上映し、観客の評価を確かめてから実際の映画づくりに入ったという。


監督は脚本づくりにも参加し、ストーリーとキャラクターになによりもこだわった。最新の3D映像技術を駆使しているが、基本的には父と子のつながりを軸としたヒューマンドラマに仕上げたかったのだ。技術は日々進歩しており、映像の世界でもどんどん新しいことができるようになっている。しかし、技術進歩にばかり目を奪われていると、大事なものが何かを見失ってしまう怖さがある。実は、これがこの映画で表現したかった重要なテーマなのである。

映画で描かれているデジタル世界は、1から作り上げられている。写真のように現実的であるフォトリアリスティックなデジタル人間や建物、登場人物が着るコスチュームやさまざまな乗り物などすべてオリジナルでデザインされている。そのために、自動車やファッションなど、さまざまな分野のデザイナーが50〜60人ほど、今回の映画づくりに関わっている。


3D映画では映像効果などを含めて、撮影後の後工程に膨大な作業が必要になる。今回は、この後工程に1年半ほどかかっっている。「シネグリッド」という光ファイバー通信網をベースにした編集システムを使って、インドやメキシコ、カナダなど世界各国に後工程作業をアウトソーシングし、ロサンゼルスにいながらリアルタイムで映像を確認し、作業を進めたという。

3D撮影にはソニー製のデジタルカメラ2台が使用された。2009年公開の「アバター」で使用したものよりさらに新しい次世代型のカメラである。しかし、器材が重いために移動が大変で、そのために時間がかかったのが難点だったようだ。

なお、余談ながら、もっと色鮮やかな映像表現が可能になるだろうと噂されている、フルハイビジョン映像の4倍の解像度を実現する技術で「4Kデジタルシネマ」と呼ばれる超高精細な映像技術が近い将来現実のものになるだろう…とのことだ。今後どのような映像が観られるか、ひじょうに楽しみである。

主人公サム役には「トロイ」「エラゴン」にも出演した新進気鋭の若手俳優ギャレット・ヘドランド。サムの父ケヴィン役には、「クレイジー・ハート」で本年度アカデミー賞主演男優賞に輝いた名優ジェフ・ブリッジス。また、全編に渡りエレクトロニック・ミュージック界屈指のトップ・アーティスト、ダフト・パンクの音楽がフィーチャーされ、映画の枠を超えたセンセーションを巻き起こしている。

 
【ストーリー&インプレッション】

1989年。デジタル業界のカリスマ的存在にして、巨大企業エンコム社のCEO、ケヴィン・フリンが7歳の息子サムを残して失踪する。

20年後。サムは、27歳の若者に成長していたが、父に捨てられたという哀しみや不信感は心から消えることはなかった。ある日、ケヴィンの共同経営者だったアランに謎のメッセージが届く。発信源はケヴィンが所有していたゲームセンター。

足を踏み入れたサムは、地下に秘密の研究所を発見するが、突然サムを閃光が包み、彼はコンピューター・システムの中の世界に入り込んでしまう。サムは監視用飛行マシン=レコグナイザーによって、トロン・シティの壮大なコロシアムに連行され、大観衆の歓声の中、人間たちが互いにディスクを飛ばして闘い、敗者は「死」あるのみという競技を強いられる。

この世界の人間は皆プログラムであり、背中には自身の全ての情報を記録したディスクが挿入されていた。ゲームに投入されたサムは覚悟を決め、抜群の運動能力を発揮してトーナメントを勝ち上がっていくが、さらに危険なゲームに投入され、場内に侵入してきた謎の女性クオラに命を救われる。


クオラはサムをトロン・シティの外、山中の家に連れ出し、サムの父ケヴィンと再会させる。ケヴィンは20年前、システムの中に理想の世界を創り上げたが「ISO」と呼ばれる豊かな個性と自由意思を備えたミュータントが出現したことからプログラム「クルー」がクーデターを起こし「ISO」を粛清、ケヴィンはクルーの監視が及ばぬ辺境の地に隠れ、この世界に閉じ込められてしまったのだった。

事実を知ったサムは、父の苦悩と自分への愛を感じ取り、現実世界へ戻って「クルー」を削除しようと決心する。だが、現実世界への出入り口までの案内人・ズースは、クルー側と通じていた…。

ダークな色調だが、胸躍るオープニングだ。冒頭の序章というべきドラマ部分は、メガネの有無にかかわらず基本的に2Dで描かれている。ところが息子サムがプログラムの世界に突入した途端、ディズニーいわく「映像革命」の最新3D映像へと画面は移り変わる。

2D/3D混在なのは、3D効果を物語に連動させた演出としてのことだろうと思われる。劇中の主人公が別世界に入った途端、いきなり奥行き全開の3D画面に切り替わり、観客も「お〜っ」てなものである。本作品に2D上映版が存在しない理由は、こういうところにありそうだ。3Dはこの映画の場合、演出の一環として完全に作品と融合していると言わざるを得ない。ま、「アバター」をはじめとする最近の3D映画を見た方には、本作がそれらと比べて群を抜いて凄いことをやっているようには見えないので、過大な期待は禁物である。


本作の一番のウリは、トロン・シティと呼ばれる暗黒世界の風景である。どこまでも続くグリッドの地平、青とオレンジ、そして黒で統一されたサイケデリックな空間。そして、猛スピードで疾走するバイク「ライト・サイクル」を駆り、持ち主の情報が詰まったディスクを武器にして闘えば、敗者プログラムは、キューブ状の粉末になって木端微塵に砕け散る…。すべてのデザインがクールで美しい。

最新CGの凄さは、登場人物の2役にも発揮されている。前作と同じ役を演じるジェフ・ブリッジスは、現在のケヴィンと、30代のころのケヴィンを演じているが、ジェフ・ブリッジス本人は61歳である。つまり、61歳の役者が30代の自分を演じているわけで、ジェフの顔面はCG補正により30代のジェフ・ブリッジスそのものなのである。これはすさまじい技術であり、まさにハリウッド恐るべしである。

まばゆい蛍光色のバリアが立体的に迫ってくる迫力の映像に目を奪われるが、物語の軸は、アメリカ映画が昔から得意とする定番のストーリー、父と子の和解の物語である。父に捨てられたと思いこんでいたサムが、父が創造したデジタル世界で奇跡的な再会を果たすことで、理解し合っていく。映像の革新性とは対照的に、ストーリーは普遍的で、ディズニーらしい安全性を感じる作品だ。

とにかく面白くて、カッコイイ映画である。

 

キャスト スタッフ
ケビン・フリン/クルー:ジェフ・ブリッジス 監督:ジョセフ・コシンスキー
サム・フリン:ギャレット・ヘドランド 製作総指揮:ドナルド・クーシュナー
アラン・ブラッドリー:ブルース・ボックスライトナー 製作:ショーン・ベイリー/ジェフリー・シルヴァー他
クオラ:オリヴィア・ワイルド 脚本:エドワード・キッツィス/アダム・ホロウィッツ他
キャスター:マイケル・シーン 音楽:ダフト・パンク
サイレン・ジェム:ボー・ギャレット 撮影:クラウディオ・ミランダ
サイレン:ヤヤ・デコスタ 編集:ジェイムズ・ヘイグッド
サイレン:セリンダ・スワン  
サイレン:エリザベス・マシス  
ジャービス:ジェームズ・フレイン  
エドワード・デリンジャー:キリアン・マーフィー  
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