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監督:ミシェル・ゴンドリー 製作年:2010年
脚本:エヴァン・ゴールドバーグ 上映時間:119分
ロスの夜に出没する「グリーン・ホーネット」
その正体は 悪を装い、悪を刺す…「バカ社長と天才運転手」コンビだった…
【イントロ】

異色のヒーロー「グリーン・ホーネット」は、1930年代にラジオのドラマ・シリーズとして誕生した。その後、映画シリーズ、コミック、1960年代にはテレビドラマでシリーズ化された有名キャラである。その「グリーン・ホーネット」が3D映画になって登場した。

デイリーセンチネル新聞社の若き社長ブリット・リードの隠された姿は、犯罪と戦う謎のヒーロー「グリーン・ホーネット」。彼はコートと帽子に緑のマスク姿で自らの正体を隠し、武道の達人でもあるアジア人の助手カトーと共に愛車「ブラックビューティー号」を駆って活躍する…ってのが基本的な物語である。

ラジオ番組は1936年から1952年にかけて放送され、後に「バットマン」の成功を受け、テレビ番組が製作された。日本でも1967年よりテレビ放映された。団塊の世代の中には、このドラマのファンだった人もきっと多いことだろう。

テレビ版ではスターとなる前のブルース・リーが共に闘う助手のカトーを演じたため、日本ではブルース・リーの出世作としての認知度が高いが、アメリカでは本作自体のファン、マニアが多数存在するようだ。



「グリーン・ホーネット」は、90年代から映画化が幾度も計画されており、紆余曲折を経てやっと完成された映画である。当初はジョージ・クルーニーなどのキャスティングが予定されていたようだが、今回の作品では、人気コメディ俳優セス・ローゲンが主役のブリット・リード役を好演。アメリカでは、国民的人気を誇るコメディアンだが、日本での知名度はもう1つという感じ。しかし、主演のみならずプロデューサー、脚本も兼ね、才気あふれるクリエイターぶりをいかんなく発揮している。

そして、かつてブルース・リーが演じた相棒カトーを、台湾出身の俳優ジェイ・チョウが熱演している。カッコいいのか悪いのか、時々わからなくなってしまうが、独特の存在感を示している。面白いことに、見る角度によっては「劇団ひとり」に見える時もあるのだが…

監督は、フランス・ヴェルサイユ出身で映像作家として人気のあるミシェル・ゴンドリー。自らもドラマーとして在籍していたフランスのロックバンドOui Ouiのミュージック・ビデオを手掛け、映像作家としてのキャリアがスタートした。その後、1993年に発表したビョークの「ヒューマン・ビヘイビア」のミュージック・ビデオが評判になり、以来ビョークのビデオクリップを多数製作するようになる。その他、ザ・ローリング・ストーンズ、ケミカル・ブラザーズ、レディオヘッド、ホワイト・ストライプス等を手がけている。

2004年公開の映画監督作「エターナル・サンシャイン」では脚本も手掛け、チャーリー・カウフマン、ピエール・ビスマスと共にアカデミー脚本賞を受賞している。

また、映画「トロン:レガシー」のサウンドトラックを担当し、映画の中でもクラブシーンでDJとして出演していたダフト・パンクの「Around the world」やケミカル・ブラザーズの「Star Guitar」等、ミシェル・ゴンドリーのミュージック・ビデオ作品はアイデアはシンプルであっても、映像が音に見事にリンクしており、ミュージック・ビデオとしての完成度が非常に高いものが多い。

ダフト・パンク

今回の作品では、映像派ミシェル・ゴンドリーらしい独自の感性は、武闘家カトーが持つ「カトー・ビジョン」的映像に集約されている。ゆっくりと時間を遅らせてアクション映画の中にタメをつくるユニークな感覚が、ミュージック・ビデオ出身のゴンドリーらしい演出だ。そして、3Dの映像が効果的である。

また、途中から登場する秘書レノア・ケース役には、スター女優のキャメロン・ディアスという贅沢さで、映画に花を添えている。加えて、オーストリア・ウィーン出身の俳優クリストフ・ヴァルツが、どこか頭の中のネジが1本ユルんだような暗黒街のボス役で起用されている。敵味方問わず、躊躇無く人を殺せる極悪非道な悪役なのだが、自分の外見に自信がないのか、「俺は怖く見えないのか…」的な発言を何度も繰り返すコミカルさに、どこか哀愁が漂う。ちなみに、クリストフ・ヴァルツは、「イングロリアス・バスターズ」でアカデミー賞助演男優賞の他、多くの映画賞を受賞してい名優である。

キャメロン・ディアス
クリストフ・ヴァルツ

今回の映画版「グリーン・ホーネット」は、「スーパーヒーローの物語」ではなく、「スーパーヒーローを気取った、面白2人組の物語」ってな感じの作品に仕上がっている。昔の「グリーン・ホーネット」を知らない世代にも、十分楽しめるコメディ映画である。

 
【ストーリー&インプレッション】

物語は、主人公であるブリット・リードと、その父親でロサンゼルスの大新聞社デイリーセンチネル社の社長であるジェームズ・リードの20年前の会話からスタートする。

幼くして母を亡くし、新聞社の創業者である父に厳格に育てられた反動から、当然のごとく性格も捻じ曲がり、絵に描いたような放蕩息子に成長したリードは、日々自堕落生活に明け暮れる。

その父親が突然ハチに刺されて急死し、急遽、父親の後を継いでデイリーセンチネル社の社長に就任することになる。急なことだった上に父親に対する反発もあってか、リードは会社運営を全くやる気がない様子。

社長就任後、朝に飲んだコーヒーに不満を持ったリードは「今日のコーヒーをいれたのは誰だ!」と家の中で怒鳴りまくる始末。メイドは「今までのはコーヒーは、昨日あなたが解雇した運転手兼整備士のカトーが入れていた…」ってな事を証言。

早速、カトーを呼び戻し「整備士のお前が何故美味いコーヒーを入れられるのか?」と問い詰める。するとカトーは、キッチンにあった隠し戸棚から高性能なコーヒーマシーンを披露し、あっさりとリードお気に入りのコーヒーを再現する。いつものように木の葉の模様入れで…

天才的発明家としてのカトーの才能と武術の腕前、それに彼が開発したハイテクとローテクの入り混じった「ブラック・ビューティ」号の素晴らしさと父親に対する認識に共通点を感じ、妙に意気投合るリード。父親の銅像の頭部を切断し、持ち帰るという悪戯をした帰り道で、ひょんなことから人助けをし、すっかり気分がよくなったリードは、カトーを相棒に「正義の活動をする」ことを思いつく。ここから、「緑のススメバチ」ことグリーン・ホーネットの活躍が始まることになるのだが…


父の思いがけない秘密を知り、さらにその秘密の裏側にあったもう1つの真実を知ったことにより、物語は急展開。警察、検察、新聞社、暗黒街すべてを欺く大死闘に挑むリードとカトーの運命やいかに…

「グリーン・ホーネット」は、犯罪者と思われた方が正義を貫けるという変な理屈から、自ら悪人のフリをして悪党をやっつけるという、ヒーローには程遠い、屈折したキャラクターの主人公なのだ。チョイワルなら、ヒーローのように清廉潔白である必要もなく、極悪人(本人が勝手に思い込んでいるだけ…)を装うことで、本当に強いのはカトーだけで、自分はヘナチョコであることがバレずにすむという、姑息な思惑もチラホラ見え隠れしている。

カトーも少々変わり者で、自分は使用人ではなく、あくまで同等のパートナーであり相棒であるというスタンスを崩そうとしない頑固者である。クールな彼だが、唯一の弱点がなかなか面白い。ま、それは映画を観てのお楽しみ…と、いうことで。

主人公リードを演じるセス・ローゲンは、コメディ俳優としてブレイク中の役者だが、ヒーローものに関しては並々ならぬ思い入れのあるアメリカでは、この作品は当然の如く賛否両論の的となっているのも事実である。その裏には、ヒーロー像に対するアメリカ人の強い憧れが感じ取れるようだ。

「ヒーローというには中途半端で不快」「ヒーローにジョークは必要なのか?」という辛口の評価が目立つ。セス・ローゲンがコメディの天才であることは認めても、ヒーロー映画に「ユルさ」を求める傾向はあまりないようだ。主人公リードは、よく言えばピュアで、悪く言えば、どこまでいっても甘ったれのボンボンである。カトーがいなければ、ほとんど役立たずなのだ。ヒーロー好きの子供が、そのまま大人になったようなキャラクターである。しかし、「最後は同感できるヒーロー」を求めるアメリカ人から見れば、もの足りないし、スッキリしない…それが酷評に繋がった核心なのかもしれない。アメリカでは、とかくヒーローと名の付くキャラクターを厳しい目でみる。それが、かつてバットマンと人気を二分した懐かしのヒーローとなると尚更のようだ。

しかし、この作品をヒーローもののリメイク版と思わず、新しい「コメディ映画」として捉えれば、バカさ加減が面白い。制作者の意図は、きっと「ユルさ」にあったように思う。90年代以降のヒーローもの、バットマンもスパイダーマンなど、アメリカのヒーローは常に悩みっぱなしの感が否めない。ハリウッドは、「孤独で悩み深いが、みんなのヒーローだよ…」という、現代アメリカ人の心境をずっと描いているような気がする。


そんななか登場したローゲン版「グリーン・ホーネット」のどことなく頼りないお茶目なヒーローは、案外新鮮である。やりたい放題をするふざけたヒーローも潔い。シリアスさや緊張感など無縁の「ヒーロー映画」は、肩の力を抜き、ポップコーン片手に気軽に鑑賞できる魅力的な作品である。また、カトーのスケッチの中に登場するブルース・リーの肖像画に過去のテレビドラマへのオマージュがほんの少し感じられる。

流行の3D版作品としての出来は良く、画面が明るく比較的見やすかった。ただ、毎度感じることなのだが、3Dにする必要性はどこにあるのだろうという疑問はつきまとう。まだ、3D版の希少性と物珍しさで何とかなるかもしれないが、3D料金の価値を感じない観客が増えてくることは間違いない。同じ料金なら3D版にしようか…ってな感覚になるまで、そう時間はかからないような気がする。売り上げを上げるための姑息な3D処理なら、普通版で十分だ。


ただ、映画が終わってもすぐに席を立ってはいけない。エンドロールのアメコミ風アニメーションがとても格好いいのだ。3D効果もあり、これを見逃しては損をする。ドラマの余韻に浸りながら楽しんでほしい。

本作のもう1つの主役は車である。007とは一味違った特別な仕掛けがユニークな「ブラック・ビューテー号」が幾度となく活躍するが、車マニアは、主人公が住む屋敷の中にあるでっかいガレージ内に格納されている数々の名車にボルテージもマックス状態だ。

カリスマ性のないヒーローが主役の「ヒーロー映画」を、いろんなツッコミを入れながら観るのも楽しい時間の過ごし方であることは間違いない。デート映画には最適だ。

 

キャスト スタッフ
ブリット・リード:セス・ローゲン 監督:ミシェル・ゴンドリー
カトー:ジェイ・チョウ 製作:ニール・H・モリッツ
レノア・ケース:キャメロン・ディアス 製作総指揮:エヴァン・ゴールドバーグ、マイケル・グリロ
ベンジャミン・チュドノフスキー:クリストフ・ヴァルツ オリ・マーマー、セス・ローゲン、ジョージ・W・トレンドル・Jr
ジェームズ・リード:トム・ウィルキンソン 脚本:エヴァン・ゴールドバーグ
スカンロン:デヴィッド・ハーバー 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
マイケル・アックスフォード:エドワード・ジェームズ・オルモス 撮影:ジョン・シュワルツマン
ポパイ:ジェイミー・ハリス 編集:マイケル・トロニック
チリ:チャド・コールマン  
タッパー:エドワード・ファーロング  
アナ・リー:アナリー・ティプトン  
ダニー・"クリスタル"・クリア:ジェームズ・フランコ  
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