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2010年度のバックナンバー
監督:ロベルト・シュヴェンケ 製作年:2010年
原作:ウォーレン・エリス、カリー・ハムナー 上映時間:111分
若造は引っ込んでな!
それは、アメリカが最も恐れた危険なオヤジたち…
【イントロ】

去年公開された、ロートルの消耗品軍団の激闘を描いた「エクスペンダブルズ」に続き、またもオヤジたちが大暴れする娯楽活劇が登場した。「エクスペンダブルズ」は、元傭兵たちが主役のドンパチが激しいミリタリー・アクションであったが、「RED」の登場人物は長らく虚々実々の特殊工作に勤しんできた元スパイたちという設定である。各々の行動に洗練と熟練の味が醸し出されている。

アメリカのマーベル・コミックと並ぶ二大アメコミ出版社の1つ、DCコミックスの人気グラフィック・ノベルを基に、「ダイ・ハード」シリーズのブルース・ウィリスをはじめ、豪華キャストで実写映画化したアクション・エンタテインメントムービーである。突然古巣のCIAに命を狙われ始めた元エージェントが、真相を探るべく昔の仲間たちと反撃チームを結成し、巨大な陰謀に立ち向かうさまを、比較的コミカルに描いている。

ブルース・ウィリス

タイトルの「RED」は、「Retired Extremely Dangerous」の略で、国家がリストアップしている「引退した超危険人物」を意味するコードネームだ。主人公と仲間たちがみな引退した年寄りエージェントであり、全員が腕利きな上に個性的で、魅力たっぷりである。また、各々のキャラ設定がお見事で、主演のブルース・ウィリス演じるエージェントは、自身が演じてきた役のパロディのごとく最初から「超強い」。

フランクの元上司で、現在は老人介護施設で女性介護士のお尻を眺めることを生き甲斐に余生を送っているジョーは、余命を宣告されているが、死を恐れていないキケンな80歳のエロ爺。モーガン・フリーマンが好演している。

ジョン・マルコビッチ演じるマーヴィンは、現役時代からまったく人を信用せず、猜疑心のかたまりで、死を装って暮らしてきた。武器や爆弾をこよなく愛し、時にトラブルメーカーになることもある。ピンクの豚のぬいぐるみを抱えたマルコビッチがユニークでイイ味を醸し出している。

美貌を武器に世界を股にかけた元MI6の女スパイ・ヴィクトリアをヘレン・ミレンが優雅に演じている。ヴィクトリアもまた引退生活に別れを告げ、殺しのプロとして「現役」復帰を遂げる。一流の銃器の使い手で、マシンガンやバズーカ砲を豪快にぶっ放すという過激さである。

キケンな80歳のエロ爺。モーガン・フリーマン
ジョン・マルコビッチ演じるマーヴィン
元MI6の女スパイ・ヴィクトリア

ハイテク武器はないけれど、彼らには長年培った特殊工作の華麗なノウハウと処世術がある。しかもそこには、スパイならではの意外なロマンスも登場する。過激なアクションの中には、しっかりと笑いの要素や仕事への誇りも盛り込まれていて、娯楽作としてそつがない仕上がりである。

そんなヤバいオヤジたちを仕留めようと躍起になる若いエージェント役のカール・アーバンは、「ロード・オブ・ザ・リング」のエオメル役に抜擢されて以来、広く知られるようになった役者である。個人的には、何となく「マイケル富岡」風の容貌がけっこうウケた…。ブルース・ウィリスに好きなようにいたぶられる姿が少々可哀そうに思えるが、多くのベテラン俳優の中でよく頑張っている。

年金課でフランクを担当する女性サラは、退屈な今の仕事に飽き飽きし、ハーレクインのような危険な情事に憧れていたが、元CIAのフランクの出現で現実となる。サラを演じるメアリー=ルイーズ・パーカーは、映画では薄幸な役を演じることが多い女優さんだ。ちなみに、案外若くも見えるのだが、今年で47歳になるお母さんである。

マイケル富岡似のカール・アーバン
案外歳を取っているメアリー=ルイーズ・パーカー

また、比較的チョイ役ながら往年の名優が出演している。1972年の「ポセイドン・アドベンチャー」で、ジーン・ハックマン演じる聖職者と常に対立しながらも、絶望的な事態から生還する男を演じたアーネスト・ボーグナインである。若い頃にはその外見から粗暴な役を務める事が多かったが、渋い味と強烈な存在感が時として主役を食ってしまうほどのインパクトがあった。1917年生まれなので、今年で94歳になる。凄い…

名優なのに、今回の作品ではけっこうぞんざいな扱いをされていたのがリチャード・ドレイファスだ。「ジョーズ」や「未知との遭遇」で有名だが、「グッバイガール」でアカデミー主演男優賞を受賞している。若かりし頃には、ダスティン・ホフマンの「卒業」や往年の人気ドラマ「ベン・ケーシー」「奥さまは魔女」にも出演しているようで、DVDなどで見る機会があればチェックしてみたい。今回の作品では、少し頼りない軍需産業のボスをコミカルに演じている。凄みも迫力もさっぱりないという悪役も面白い。

アーネスト・ボーグナイン
リチャード・ドレイファス

監督はシュトゥットガルト出身のドイツ人、ロベルト・シュヴェンケ。2002年にドイツ映画「タトゥー」で映画監督デビューし、各映画祭では高い評価を受けている。2005年公開のジョディ・フォスター主演の「フライトプラン」でハリウッド作品を初監督している。今作品では、ベテラン勢を気持ちよく活躍させているようだ。

なお、続編の計画が進められており、サミット・エンターテインメントがホーバー兄弟に再び脚本執筆を依頼しているとのことである。

 
【ストーリー&インプレッション】

フランクは、かつて腕利きのCIAエージェントだったが、今は引退し、田舎町で一人穏やかに年金暮らしをしている50代の独身男性。そんな彼の唯一の楽しみは、年金課の担当であるサラと電話でおしゃべりをすることだった。

ある夜更け、フランクは家の中に3人の侵入者を察知する。最新銃火器で武装したコマンドをいとも簡単に倒した彼は、さらに家の外から容赦ない銃弾を浴びせかけてきた敵もあっさり葬り去る。その後、フランクはサラの家へと車を走らせた。フランクは、自分はついさっき暗殺されかけ、政府監視下にあって電話も盗聴されていたので救いに来た…と、サラに伝えるが、いつもは電話だけで1度も面識がない相手の戯言を当然彼女は信用しない。2人の言い争いの最中、彼女のアパート前には新たな暗殺者たちが現れる。フランクは裏口から抜け出て、嫌がるサラを強引に車に押し込んだ。

フランクとサラ

途中、モーテルのベッドにサラを縛りつけて、フランクはかつての上司、ジョーが住む老人介護施設を訪れる。ジョーは80歳を過ぎ、末期の肝臓がんを患っていた。CIAの知人に裏から手を廻したジョーは、フランクの襲撃者たちの指紋から身元を調べさせ、同じグループがつい最近NYタイムズ紙の女性記者を密殺した疑いがあることを知る。

一方、モーテルでは、若きCIAエージェントのクーパーが、上司ウィルクスの密命を受け、サラを連れ去ろうとしていた。ちょうど戻ってきたフランクは、サラを奪い返し、銃撃戦とカーチェイスを繰り広げた末、その場から脱出する。

銃撃戦とカーチェイスを繰り広げた末、その場から脱出する。

殺されたNYタイムズ記者の実家を訪ねた二人は、彼女が母親に宛てた一枚の絵はがきを見せられる。フランクはそこに記された暗号を解き、コロンビア大学の膨大な蔵書の中の一冊から一枚のメモを発見。それはフランク他9人の名が記されたリストだった。2人はリストに名前があったフランクのかつての同僚かつ宿敵のマーヴィンを訪ね、リストの10名は中米グアテマラでの特殊任務の関係者たちだと判明する。

フランクは、ロシア大使館にかつての仇敵、旧ソ連のスパイだったアイヴァンを訪ね、CIA本部に正面から入るための情報を入手する。CIA本部に潜入し、事態の謎を解く鍵となる「グアテマラ文書」をまんまと手に入れるフランク。

「グアテマラ文書」を手に入れる

本部から逃走する際に負傷したフランクは、元英国諜報局MI6の名狙撃手ヴィクトリアのもとに身を寄せることに…介護施設から抜け出してきたジョーも加わり、彼女が経営するペンションに集まったオヤジ軍団は、誰が何のために暗殺指令を出したかを探るうちに、全ての黒幕が政府と癒着した軍需企業の代表アレクサンダー・ダニングと、その背後にいるのがアメリカ合衆国副大統領スタントンの存在であることを知った。

ヴィクトリアのもとに身を寄せる

フランクたちは一計を案じ、ダニングにことの次第を直接問いただすため、ダニング邸に潜入する作戦を立てる。サラとヴィクトリアの女性陣を含めたオヤジ軍団の怒涛の反撃が開始する…

何者かに襲われた瞬間から、彼らの中に眠っていた何かが目を覚ます…元プロフェッショナルたちは高齢になっても若造には負けない。それも何の気負いもなく、クールに淡々と…カーチェイスや銃撃戦など、アクション満載だが、「ダイハード」のこれでもか…的アクションのブルース・ウィリスファンであれば、少々物足りなさを感じるかもしれないが、この作品ではちょうどいい塩梅である。

まだ若いもんには負けないぜ
モーガン・フリーマンの勇姿
ロートル軍団頑張る

荒唐無稽なストーリーとロケット弾を銃弾で打ち抜くような非常識さが笑いを誘う。このようなジャンルの映画には無縁に思える英国女優のヘレン・ミレンをキャスティングしたことが成功の要因だと勝手に思っている。どことなく作品が優雅で洗練された雰囲気に仕上がっているようだ。ドギツイ台詞もあるが、彼女だと嫌味なくサラッとお上品に聞こえるのは私だけなのだろうか…

英国女優のヘレン・ミレン

テレビの予告編CMでよく放映されていた、スピンする車からブルース・ウィリスが颯爽と降り立ち、銃をぶっ放すシーンはなかなか見ごたえあるシーンだ。クールでかっこいい!

若い映画ファンには、オヤジオバサン軍団の歳を取ったがゆえの悲しみと孤独を丁寧に描いていれば、何らかの共感する部分ができたはず…という意見もあるようだが、オヤジ世代からすれば「そんな悲哀は関係ない」ってな感覚だ。そんな哀愁が漂っていれば、楽しい娯楽映画としての価値が半減する。

昔はよかったよねというノスタルジーはいいけれど、年老いた情けない現状などに共感してもらいたくない!という強がりに共鳴するファンも多いはず。ロートル讃歌を謳うようだと、自分もいい年になったのだと実感する今日この頃である。

続編を期待…

これからもロートルが頑張る映画が登場することを願っている。若さが徐々になくなってきている人は、この映画を観て、元気を充電してほしい。

 

※「RED 2」はこちらでご覧ください。
キャスト スタッフ
フランク:ブルース・ウィリス 監督:ロベルト・シュヴェンケ
ジョー:モーガン・フリーマン 製作:ロレンツォ・ディボナヴェンチュラ、マーク・ヴァーラディアン
マーヴィン:ジョン・マルコヴィッチ 製作総指揮:グレゴリー・ノヴェック、ジェイク・マイヤーズ
ヴィクトリア:ヘレン・ミレン 原作:ウォーレン・エリス、カリー・ハムナー
ウィリアム:カール・アーバン 脚本:ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー
サラ:メアリー=ルイーズ・パーカー 音楽:クリストフ・ベック
アイヴァン:ブライアン・コックス 撮影:フロリアン・バルハウス
ロバート:ジュリアン・マクマホン 編集:トム・ノーブル
アレクサンダー:リチャード・ドレイファス プロダクションデザイン:アレック・ハモンド
アーネスト・ボーグナイン 衣装デザイン:スーザン・ライアル
ジェームズ・レマー 音楽監修:ジュリアンヌ・ジョーダン
レベッカ・ピジョン  
ドミトリー・チェポヴェツキー  
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