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監督:J・J・エイブラムス 公開日:2011年6月24日
製作:スティーヴン・スピルバーグ 上映時間:144分
「SUPER 8」。それは、ぼくらの青春そのものを映してくれた…。
【イントロ】

1970年代の「激突!」「JAWS/ジョーズ」を皮切りに、大ヒット作を次々と世に送り出し、「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」「ミュンヘン」でアカデミー監督賞を獲得。まさに映画史に残る「時代」を作り上げてきたのが、ご存知スティーブン・スピルバーグ。

そして、「アルマゲドン」などの脚本で頭角を現し、製作総指揮として独特の作品世界を作り上げたTVシリーズ「エイリアス」「LOST」の大成功。そして、「クローバーフィールド/HAKAISHA」のプロデュース、メガホンをとった「スター・トレック」での高い評価を受けたJ.J.エイブラムスは、新世代の息吹を生み出す天才クリエイターの1人である。

この2人の天才がタッグを組み、素晴らしいSF超大作を誕生させた。舞台となるのは、ちょうど少年だったJ.J.エイブラムスが8mm映画作りに熱中していた1979年。そんなノスタルジックな空気の中で、ちょっと間が抜けているけれど憎めない少年たちが偶然に秘密を知ってしまい冒険に出るストーリーは「グーニーズ」を彷彿させ、町にざわざわと異変が起こっていく様子は「未知との遭遇」を、そして作品の根幹には「E.T.」のスピリットを感じさせる。つまり、この作品には、J.J.エイブラムスも大好きだったスピルバーグ作品のエッセンスが満載で、まるでスピルバーグ作品へのオマージュのようである。

スティーブン・スピルバーグとJ.J.エイブラムス

作品のタイトルにもなっている「SUPER 8」とは、1965年にコダックから発売されたカセット式のフィルムと、その規格のカメラのことである。今も昔も、映像作家を目指すアマチュアたちは自主制作で作品を撮る。そして、60年代後半のアマチュア映画製作者たちが愛用したのが、この「SUPER 8」なのだ。それはスピルバーグもエイブラムスも例外ではなく、エイブラムスは当時10歳だった76年に「SUPER 8」カメラを手に入れている。当時から映画製作に興味があった彼は、大好きな祖父に懇願して当時とても高価だった「SUPER 8」カメラを買ってもらったというエピソードが残っている。

そして、エイブラムスが16歳の時に8ミリ映画祭に出品した作品が優勝し、それが縁でスピルバーグから連絡が入ったという、後日談もある。アシスタントを通じてエイブラムスに持ちかけられたのは、スピルバーグ自身が10代のころに撮影した「Firelight」ほか、「Written and Directed by Spielberg」と書かれたオリジナルの8ミリフィルムの修復作業だった。16歳のエイブラムスが、すでに300ドルの報酬とともにスピルバーグとのコラボレーションを果たしていた事実と、その30年後に2人を結びつけた「SUPER 8」をタイトルにした作品を2人で制作することに何か運命的なものを感じてしまう。

「SUPER 8」

この作品のハイライトシーンは、真夜中にこっそりと映画撮影をしている主人公達の目の前で発生する迫力ある貨物列車事故である。重量感溢れる貨物列車が次々と玉突き衝突して宙を舞い、轟音と共に周囲を破壊していく様は圧巻だ。このシーンだけでも邦画の制作費用を軽く上回るのではないかと思えてしまう。多分、しょぼい(失礼)映画なら何作も作れるだろう…

この貨物列車事故はモデルとなっている実在の事件があり、1979年にオハイオ州で発生した貨物列車事故がベースになっているという。この列車事故には不可解なところがあり、事故処理にかかる費用が当時の相場で5万ドルだったのに対し、何と200万〜1000万ドルもかかっていると当時の新聞では報じられ、この列車事故の不可解さと、宇宙人絡みの話として有名な「エリア51」関係の都市伝説的なエピソードの数々を組み合わせて、「SUPER 8」のストーリーが構築されたようだ。

重量感溢れる貨物列車が次々と玉突き衝突して宙を舞い、轟音と共に周囲を破壊していく様は圧巻だ。
重量感溢れる貨物列車が次々と玉突き衝突して宙を舞い、轟音と共に周囲を破壊していく様は圧巻だ。

基本的にはSF映画なのだが、母を失い父と衝突ばかりしているジョー、飲んだくれの父に胸を痛めているアリス、父親同士の確執、チャールズの家庭など、少年たちと家族の関係がストーリーの展開の邪魔にならない程度に丁寧に描写されている。また、アリスを巡る2人の少年の微妙な駆け引きなど、少年たちの切ない感情が観る者の心を揺さぶる。

少年たちの切ない感情が観る者の心を揺さぶる

ノスタルジックな雰囲気がどこか懐かしさを感じさせ、SFミステリーを題材にしているが、悲しみや孤独感を抱えた少年たちが、それらを乗り越えて生きていく心の成長が見事に描かれている秀作である。
心の成長が見事に描かれている秀作である

 
【ストーリー&インプレッション】

舞台は1979年のオハイオ州の小さな町。

舞台は1979年のオハイオ州の小さな町。

アメリカで実際に発生したスリーマイル島原発事故についての状況を報じているテレビニュース番組が流れていることから、それが誰でも一目瞭然に分かるようになっている。それから30年以上経った日本では福島原発事故が起こり、このタイミングでこの作品を鑑賞するのも…何か不思議な巡り合わせを感じてしまう。

主人公ジョー・ラムの母親が事故で亡くなり、葬儀が行われている場面からスタートする。葬儀の中、自分達が製作している映画の内容がゾンビを扱う作品であることから「撮影は中止だな」と嘆いているジョー・ラムの友人達…。ジョー・ラムは葬儀が行われている家の外にあるブランコで、1人呆然と佇んでいたのだが、そこへ当然黄色い車が停車し、風体の悪そうな男が降りてくる。

彼はジョーの家に入っていくのだが、何故か家の中で騒動になった挙句、ジョーの父親で保安官でもあるジャック・ラムに引き立てられ、パトカーに乗せられて連行されてしまう。これが物語後半でけっこう重要な伏線となっているが、序盤はとりあえず意味ありげな描写に留まったままである。

それから4ヶ月後のある日、ジョーの親友&映画撮影仲間のリーダー格で小太りの少年チャールズ・カズニックが、ヒロイン役に可愛いアリス・デイナードに映画撮影の協力を取り付けることに成功。誰にも邪魔されない無人の環境で撮影を敢行したいという意気込みから、真夜中にこっそり家を抜け出して待ち合わせをすることになったジョーと映画撮影仲間達。

ヒロイン役に可愛いアリス・デイナードに映画撮影の協力を取り付けることに成功

真夜中、集まった仲間達の前に、親の車を無断で拝借してきたうえに無免許運転でやってきたアリス。そこに保安官の息子であるジョーが撮影仲間にいることを知り、アリスは「親に告げ口されるのではないか?」という懸念から一旦は撮影協力を断るが、ジョーは「親には絶対黙っている」と約束。渋々ながらも了承したアリスは、映画撮影仲間達を連れ、撮影現場となる無人駅へと向かった。撮影準備を進める最中、アリスは劇中のヒロインとして演技し、その抜群の演技力に一同からは感嘆の声が上がる。この時ジョーがアリスに一目惚れするのは当然の事である。

さらに、本番撮影の準備を進める一同だが、そこへ真夜中だというのに駅めがけて多くの車輌を牽引する貨物列車がやってくる。迫力ある場面を撮影する千載一遇のチャンスと踏んだチャールズ・カズニックは、すぐさま撮影に入ることを決断し仲間達に指示、準備不足ながらも早速撮影が始まった。

駅を通過していく貨物列車を背景に順調に撮影は進み、ご機嫌なチャールズ・カズニックをはじめとする仲間達だが、ジョーはそこで、貨物列車の先頭車輌めがけて走ってくる1台の車を目撃する。車は線路で90度ターンすると、線路の上を先頭車輌目指して走り始め、結果両者は見事に正面衝突することになった。

地獄絵図

当然列車は脱線し、さらに後続車輌が次々と玉突き事故を起こし、車輌が宙を舞い、駅舎に直撃。ついには危険物を満載していた車輌が爆発までする地獄絵図が現出し、少年たちはもはや撮影どころではなく、我が身の安全を優先にただひたすら逃げ惑う。

そんな中、横倒しになったとある車輌の中で「何か」が暴れ出し、叩きつけるような轟音と共に厚い鉄製の扉を吹き飛ばし、「何か」が消え去った。

横倒しになったとある車輌の中で「何か」が暴れ出し、叩きつけるような轟音と共に厚い鉄製の扉を吹き飛ばし、「何か」が消え去った

「あれは何だったんだろう…」と疑問に思いつつも、何とか事態が一段落したこともあり、集まってきた少年たちは、事故の発端となった車を探し出す。あれだけの事故だったにもかかわらず、車に乗っていた黒人男性は怪我を負いつつも生存しており、しかも意識まではっきりとしているではないか。何とその男性は少年たちの学校の先生で「今見たことを決して誰にも言ってはいけない。そうしなければ君達と、君達の親も殺される」と意味深な言葉を残す…。そんなやり取りに呼応するかのように事故現場へ殺到する謎の集団。少年たちは運よく無事だったアリスの車に乗り込み、その場からさっさと逃走した。

持ち帰った「SUPER 8」には、アメリカ政府が絶対に秘密にしなければいけない「何か」が撮影されていた。事故を起こした列車は、アメリカ政府の指示により、秘密軍事施設「エリア51」から「何か」を輸送する途中だったのだ。少年たちが事故現場に落とした8ミリフィルムの空き箱を発見した米軍は、極秘情報が何者かに目撃された事を知り、町中の捜索を開始する。

少年たちが事故現場に落とした8ミリフィルムの空き箱を発見した米軍は、極秘情報が何者かに目撃された事を知り、町中の捜索を開始する

やがて、町では不可解な出来事が連続して発生。犬たちが一斉に消え、9人が行方不明…。その中にはアリスも含まれていた。さらに、事故現場から持ち帰った白い謎のキューブが不思議な動きを始め、全てを目撃した少年たちは、アリスを探し出し、真実を追求しようと行動を開始した。

町では不可解な出来事が連続して発生
町では不可解な出来事が連続して発生
町はパニック… 「何か」が暴れだす

謎めいた幕開けから、迫真のスペクタクルやサスペンスに加え、少年たちの友情や淡い恋心など、ノスタルジアをくすぐる映像が満載。仲間と共に逆境を乗り越え、再生していく姿に心がホッコリする思いだ。

「何か」の登場まで、なかなか姿を見せない演出はJ.J.エイブラムスの得意とするところ。効果的な音楽と映像で、スクリーンから目が離せない。

エンドロールでは、主人公たち映画撮影チームが劇中で製作した手作り映画が披露されるのも見どころの1つである。「あ〜終わった…」と、サッサと席を立たないように最後まで楽しんでほしい。この8mm映画の出来栄えが、けっこう素晴らしい。

主人公たち映画撮影チームが劇中で製作した手作り映画が披露されるのも見どころの1つである

この作品の鑑賞後に、少年・少女の気分に戻り、昔、自分でも体験した小さな冒険を思い出してみるのもイイかも知れない…。

 

キャスト スタッフ
ジョー・ラム:ジョエル・コートニー 監督:J・J・エイブラムス
アリス・デイナード:エル・ファニング 製作:スティーヴン・スピルバーグ/J・J・エイブラムス
チャールズ・カズニック:ライリー・グリフィス ブライアン・バーク
ケアリー:ライアン・リー 脚本:J・J・エイブラムス
マーティン:ガブリエル・バッソ 音楽:マイケル・ジアッキーノ
プレストン:ザック・ミルズ 撮影:ラリー・フォン
ジャック・ラム:カイル・チャンドラー 編集:メリアン・ブランドン/メアリー・ジョー・マーキー
ルイス・デイナード:ロン・エルダード  
ネレク大佐:ノア・エメリッヒ  
クーパー:ブルース・グリーンウッド  
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