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監督:ジョナサン・リーベスマン 公開日:2011年9月17日
脚本:クリストファー・バートリニー 上映時間:116分
それでも人間は戦うのか…
【イントロ】

一言でいえば、ロサンゼルスに襲来した謎の地球外生命体にアメリカ海兵隊が立ち向かうアクション作品。この映画は1942年にロサンゼルスで起きた、アメリカ軍が謎の飛行物体に対して攻撃を行った「ロサンゼルス空襲事件」を題材として書かれたフィクションである。

「ロサンゼルス空襲事件」を題材として書かれたフィクションである

1942年2月25日の午前2時15分、ロサンゼルス沖合いに未確認飛行物体を捕らえた。2時25分からロサンゼルス市内に空襲警報が発令され、高速で迫る飛行物体の正確な数は把握できなかったが、一説には30機から40機襲来していたとも言われている。米軍はこの飛行物体に対し対空砲を使って、1400発を超える砲弾を撃ち込んだが、謎の飛行物体は一機も墜落することなく飛び去った。

70年近く経った今でも軍事マニアやUFOマニアの間で、この事件はよく話題になるようだ。当時、アメリカは日本軍による本土攻撃に怯えていた。「ロサンゼルス空襲事件」の2日前の2月23日には、日本海軍所属の潜水艦がサンタバーバラ北方の町、エルウッド沖合に浮上し、燃料タンクに向けて20分間砲撃を加えるという衝撃的な事件が起きたばかりであった。

このような状況から判断し、レーダーのゴースト現象に混乱した軍部が1人相撲をとったという説、プラズマや流星群を敵機だと勘違いし攻撃してしまったという説、飛んできたバルーンを敵機と誤認した説が唱えられているようだ。現在、最もポピュラーになっているUFO空襲説だが、当時はUFOや宇宙人襲来という概念が無く、UFO事件にカウントされるようになったのは、後年のことである。

このロサンゼルス上空を襲ったUFO群の正体は不明だが、似たような事件は近年でも多々起こっている。2010年10月13日には、ニューヨーク上空にUFOが出現し、多くの市民に目撃され、2010年12月4日には、横浜アリーナの上空にUFOの大群が出現、2011年5月8日には新宿上空に百機以上が飛来しているという目撃談があるようだ。

世界侵略:ロサンゼルス決戦

「世界侵略:ロサンゼルス決戦」は、このような題材をヒントに制作されたアクション映画であると同時に「モキュメンタリー映画」としての要素も含まれている。

ちなみに、「モキュメンタリー」とは、映画やテレビ番組のジャンルの1つで、架空の人物や団体、虚構の事件や出来事に基づいて作られるドキュメンタリー風表現手法である。モキュメンタリーは「モック」と「ドキュメンタリー」の混成語であり、「モックメンタリー」「モック・ドキュメンタリー」ともいう。また、「フェイクドキュメンタリー」と呼ばれる場合もあるようだ。

荒唐無稽なストーリーだが、妙にリアリティと緊張感がある作品に仕上がっている。戦場と化したロサンゼルスの街中での銃撃戦は異様な臨場感があり、まるで自分がその現場に放り込まれたような錯覚を覚える。未知なる相手を索敵する恐怖、侵略される側の絶望など、コメディーや絵空事に逃げることなく真正面から描いているのが凄い…。UFO、エイリアン映画としてはどこか別格のような趣で、エイリアン侵略映画の決定版とも言える作品だ。

エイリアン侵略映画の決定版とも言える作品だ

主演のマイケル・ナンツ二等軍曹に、2000年公開の「エリン・ブロコビッチ」でジュリア・ロバーツの恋人役を演じて注目を集めたアーロン・エッカート。その後、2006年公開の「サンキュー・スモーキング」では、ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされた。

また、同年には「ピープル」誌による「世界で最も美しい50人」に選出されたイケメン俳優である。2008年公開の「ダークナイト」では、ハービー・デント(トゥーフェイス)を演じ、リアル指向の作品ということもあり、彼の半分傷ついた顔はCGによるモンスター並みのデザインとなり、多くの観客に衝撃を与えた。

彼の半分傷ついた顔はCGによるモンスター並みのデザインとなり、多くの観客に衝撃を与えた

また、共演には、「ワイルドスピード」「バイオハザード」「アバター」などに出演し、男勝りな女性を演じては右に出るものがいないほどの迫力を醸し出すミシェル・ロドリゲス、「アイ,ロボット」「アンノウン」のブリジット・モイナハンら実力派が顔を揃えている。

監督は、「悪魔のいけにえ」のリメイク版である「テキサス・チェーンソー」の続編「テキサス・チェーンソー ビギニング」のジョナサン・リーベスマン。南アフリカ・ヨハネスブルク出身のまだ30代半ばの新進気鋭の監督である。今回の作品を戦争映画のスタイルでエイリアン侵略を描くため、「ブラックホーク・ダウン」、「プライベート・ライアン」、「ユナイテッド93」の作品からインスピレーションを得たという。

ハンドヘルドカメラ・スタイルで撮影されているため、観客が画面酔いをすることを考慮し、3D撮影は断念されている。

観客が画面酔いをすることを考慮し、3D撮影は断念されている
「ワイルドスピード」「バイオハザード」「アバター」などに出演し、男勝りな女性を演じては右に出るものがいないほどの迫力を醸し出すミシェル・ロドリゲス

この作品は本来、日本では2011年4月1日に公開予定であったが、東日本大震災における「震災自粛」という憂き目に遭い公開が延期された作品である。隕石落下の際に発生した津波に民間人が巻き込まれる描写が10秒ほどあるのが原因のようだ。ま、その「自粛」の是非はともかく、待ちに待った作品であることには変わりない。

もしかして、近未来に起こるかも知れない想像を絶する危機に立ち向かう勇気ある人間の姿は、きっと観るものに大きな感動を与えるだろう。この作品、侮れない!

 
【ストーリー&インプレッション】

1942年、謎の未確認飛行物体がロサンゼルス上空で確認される。その後、ブエノスアイレスやソウル、ロンドンなど世界各地で同様の現象が目撃されるが、その真相は不明のままだった。

世界各地で同様の現象が目撃されるが、その真相は不明のままだった

2011年、それまでずっと地球と人類を狙う好奇を伺っていたエイリアンが、ついに地球侵略を開始する。最初の侵略地となったロサンゼルスは瞬く間に壊滅状態に…。

かつて出征で部隊を率いながら、4人の部下を死なせてしまった過去を持つ初老の海兵隊員マイケル・ナンツ二等軍曹は、老齢であることと過去の負い目から退役届けを上層部に提示しており、そのことを理解している上司によって受理されたばかりだ。

その頃世界中では、突然発見された地球に接近する隕石群の存在に騒然となっていた。そして、世界各地に落下していく隕石群。そして、それらの隕石は、落下直前に謎の減速をすることと、全てが同一規格的な形体をしていたことから、アメリカ軍はこれを侵略行為であると喝破し、軍が召集された。

アメリカ軍はこれを侵略行為であると喝破し、軍が召集された

当然、ナンツ二等軍曹が所属するロサンゼルス近郊に駐屯している海兵隊にも出撃命令が下され、退役間近の彼もまた、士官学校を首席卒業してこれが初陣というウィリアム・マルティネス少尉が指揮する海兵隊第2大隊エコー中隊第1小隊の副隊長的なポジションで出陣することとなる。

彼らの任務は、ロサンゼルス西警察署に今なお取り残されている民間人の救出。その地域はエイリアンたちに制圧されたひじょうに危険な戦闘地域であった。彼らを待ち受ける運命やいかに…というのが縦軸にあるストーリーである。

ロサンゼルス西警察署に今なお取り残されている民間人の救出

そこから、わずかな人数であろうとも救える命は絶対に見捨てないという、命の尊さを問うエモーショナルなドラマと、心の葛藤を抱えた人間同士が織りなすシリアスな人間ドラマが展開する。

かつて戦場でナンツの指揮下にあった若い兵士たちが大勢戦死したが、生き残ったナンツには勲章が授けられていた。そんなナンツを兵士たちは非難し、また、偶然にもその時戦死した若い兵士の兄弟が同じ部隊に配置されており、ナンツとの間には言いようのない確執が存在していた。

そして、部隊を指揮する若い指揮官が死に、兵士たちはナンツに従わねばならない状況に陥る。当然、お互いはは衝突するが、失った部下一人一人のことをはっきりと覚えており、今でも苦しいナンツの心境が吐露され、兵士たちの心にも変化が生じてくる。このあたりのシークエンスは、激しいアクションシーンの連続の中で、観客の心を揺さぶる感動シーンであり、ナンツを演じるアーロン・エッカートの存在感が重厚感を醸し出す。

ひじょうに良く出来たノンストップアクション映画ではあるが、解釈を裏読みすれば「アメリカ万歳!」「海兵隊讃歌」のプロパガンダ映画とも考えられ、エイリアンをアメリカにとって広義の外敵とみなし、国民は軍と一丸となって戦おう、一緒に敵を倒そうという国威発揚メッセージにも感じられる。

ひじょうに良く出来たノンストップアクション映画ではあるが、解釈を裏読みすれば「アメリカ万歳!」「海兵隊讃歌」のプロパガンダ映画とも捉えられる。

ただ、今の世の中、厭戦世論は根強く、ハリウッドが露骨に戦争を煽るようなことはご法度である。そこはアメリカ映画産業の空気を読む能力は世界一。決して軍そのものを宣伝はしていないところがミソである。現場で戦う兵士にスポットを当て、感謝賛美する演出はさすがに老獪である。そして、延々と繰り返される軍人万歳的演出は高揚感さえ覚えてしまうほど心地良いものに仕上げられているところが凄い。

海兵隊協力のもとキャストは本場のブートキャンプにも参加し、登場するエキストラも本物の海兵隊員だという。ディテールに至るまで精巧に作られ、現代アメリカ軍の地上戦を本格的に再現しているように感じられる。実際にエイリアンが侵略してきたら、きっとアメリカ軍はこうやって戦うんだろうなぁ〜と、何となく想像しながら観ると興奮度もアップする。敵を詳細に分析し、初めて対等に闘えるという現在の対テロ戦争の基本理念と同じように、エイリアン対策を施すあたりはさすがである。

今迄のエイリアン映画のように侵略者が圧倒的な強さを誇るものではなく、決してアメリカ軍の手に負えないレベルではないという設定が面白い。地球人が経験ないだけで、しっかりと研究すれば弱点もあるし、負傷したエイリアンを解剖すると急所が見つかるなど、戦術次第では勝てる可能性もあるというところに説得力を見出している。

今迄のエイリアン映画のように侵略者が圧倒的な強さを誇るものではなく、決してアメリカ軍の手に負えないレベルではないという設定が面白い
侵略目的のエイリアンから地球を守る、まさにこれこそアメリカがしたかった「正しい戦争」の姿かも知れない。

侵略目的のエイリアンから地球を守る、まさにこれこそアメリカがしたかった「正しい戦争」の姿かも知れない。人種や性別に関係なく、アメリカ軍人の誇りを高らかに謳いあげる強引さは、見事であり清々しく感じられるほどだ。

荒唐無稽なモノを作るときは、これくらいリアリティにこだわった方が成功するという見本のような作品であり、さすがハリウッドという面目躍如たる「戦争映画」だ。

さすがハリウッドという面目躍如たる「戦争映画」だ

アメリカ軍人の責任感と愛国心が強く、自己犠牲をいとわず、屈強かつ優秀な人材であるかをこれほど延々と描かれると、こんな精鋭揃いの軍隊を保持するアメリカの傘下にいれば、日本人も安心していられるのではないかという錯覚に陥ってしまうだけに不思議なものである。

ホント、ハリウッド映画って凄いと実感できる作品だ。

 

キャスト スタッフ
マイケル・ナンツ二等軍曹:アーロン・エッカート 監督:ジョナサン・リーベスマン
ウィリアム・マルティネス少尉:ラモン・ロドリゲス 製作:ジェフリー・チャーノフ
エレナ・サントス技能軍曹:ミシェル・ロドリゲス ニール・H・モリッツ
ケビン・ハリス伍長:ニーヨ 製作総指揮:デヴィッド・グリーンブラット
ジェイソン・ロケット伍長:コリー・ハードリクト オリ・マーマー
ミケーレ:ブリジット・モイナハン 脚本:クリストファー・バートリニー
ジョー・リンコン:マイケル・ペーニャ 撮影:ルーカス・エトリン
ウィル・ロッタール 編集:クリスチャン・ワグナー
カタジナ・ウォレニオ 音楽:ブライアン・タイラー
アダ・ミッシェル・ロリダンス 美術:アンドルー・ネスコロムニー
エディ・J・フェルナンデス 衣装(デザイン):サーニャ・ミルコヴィック・ヘイズ
  キャスティング:デブラ・ゼイン
  プロダクション・デザイン:ピーター・ウェンハム
   
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