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監督:ルパート・ワイアット 公開日:2011年10月7日
製作総指揮:トーマス・H・ハンメル 上映時間:106分
これは人類への警鐘
【イントロ】

砂に埋まる自由の女神像を見たチャールトン・ヘストンが、「ここは地球だったのか!」という衝撃的なセリフと驚愕の表情、そして、底知れない絶望感が忘れ難い、映画史上に燦然と輝く名作「猿の惑星」。実に43年ぶりに描かれる「始まりの物語」は、人間が高度な猿たちに支配されている世界を描いた「猿の惑星」の起源に迫るオリジナルストーリーで、現代社会へ警鐘を打ち鳴らす問題作にして、迫力抜群のアクション大作に仕上がっている。

映画史上に燦然と輝く名作「猿の惑星」

主演の科学者ウィル・ロッドマンを演じているのはジェームズ・フランコ。カリフォルニア州パロアルト出身のインテリ俳優である。父親のダグ・フランコはポルトガル及びスウェーデン系、母親のベッツィはロシア出身のユダヤ系の詩人・作家で、2人はスタンフォード大学在学中に知り合った。ダグさんは後にハーバード大学ビジネススクールでMBAを取得し、シリコンバレーで輸送用コンテナの会社を経営する実業家となっている。

ジェームズは、2001年にテレビ映画「DEAN/ディーン」で、ジェームス・ディーンを好演してゴールデングローブ賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)を受賞、エミー賞にもノミネートされた。

彼が世界的に注目されるようになったのは、2002年からの「スパイダーマン」シリーズで主人公ピーターの親友ハリー・オズボーン役に抜擢されてからである。順調にキャリアを積み、2010年公開の「127時間」では、登山家アーロン・ラルストンを演じ、アカデミー主演男優賞にノミネートされた。また、第83回アカデミー賞ではアン・ハサウェイと共に司会を務めている。

ちなみに、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に入学するものの1年で退学、俳優の道に入ったジェームズだったが、UCLAに再入学し、2008年に優秀な成績で卒業。その後、コロンビア大学とニューヨーク大学(NYU)でそれぞれ芸術学の修士号まで取得したジェームズは、「勉学オタク」の異名をとるようになる。現在は、イェール大学とヒューストン大学での博士号取得を目指して勉学に励む傍ら、NYUで大学院講師として教えたり、アートの先生をしたりと「ハリウッドNo.1の高学歴俳優」の道をまっしぐらに進んでいる。

「ハリウッドNo.1の高学歴俳優ジェームズ・フランコ

この作品で彼が演じるウィルという役は、認知症を患う父親の治療薬の開発のために寝る間も惜しんで研究に没頭する科学者である。まさに、このキャスティングにはピッタリの俳優だと言える。また、作品の中で父親を亡くしてしまうが、実生活においても、「勉学の追求をあきらめてはいけない」と、ジェームズに強く影響を与えていた父親のダグさんが、先日63歳の若さで急逝した。ご冥福をお祈りする。

認知症を患うウィルの父親を名優ジョン・リスゴーが演じている。父が演劇プロデューサーだったことから、6才で初舞台を踏んでいる。ハーバード大学で英文学を専攻したが、演劇活動に夢中になり、フルブライト奨学金を得て、ロンドンの音楽演劇アカデミーで学ぶ。帰国後、本格的に舞台俳優として活動。1973年に「The Changing Room」でブロードウェイ・デビューし、同年のトニー賞において助演男優賞(演劇部門)を受賞する。その後、映画にも数多く出演、「愛と追憶の日々」や「ミッドナイトクロス」「フットルース」「クリフハンガー」「ペリカン文書 」などで注目される俳優である。1983年には「ガープの世界」でアカデミー助演男優賞にノミネートされている。

ウィルの父親を名優ジョン・リスゴーが演じている

監督は、大規模なメジャー・スタジオ映画に初挑戦するルパート・ワイアット。ワイアットの前作である低予算の刑務所ドラマ「THE ESCAPIST」が、彼にとっての初監督作でもあったのだが、その作品の熱狂的なファンだったプロデューサーからの要請で実現した。

ワイアット監督は、ハリウッドの歴史的なシリーズを任された重圧について「さまざまなところで実感する」と率直に語っている。また、この作品は神話的な要素とこれまでの作品を踏襲しながらも現実の世界を扱っていることがポイントであるという。これまでのシリーズとの大きな違いは、この物語を未来的な環境ではなく、現実の世界に置こうとした点にあり、動物の生体実験と科学の進歩、そして人間の病気の治療法を見つけるために動物を使うという事象が扱われている。いわばパンドラの箱を開ける可能性についての物語なのである。

さらに監督は、この映画のテーマの核心について「これは私たちの星の最も大事なものが失われ、文字通り他の種族に世界を征服されることについての最も根源的な恐れを描いている。シーザーの視点を通じて描かれる類人猿への共感と、自ら破滅を招く人類への警鐘についての壮大な物語だ」とコメントする。

チンパンジーのシーザー

そして、もう1人(匹)の主役はチンパンジーのシーザーだ。「モーション(動き)」に「エモーション(感情)」を加えたパフォーマンス・キャプチャーでは第一人者の俳優アンディ・サーキスにより、CGで制作されたシーザーの喜怒哀楽の感情表現や動きが超リアルで、まるで本物のチンパンジーが演技しているかのような錯覚に陥る。オリジナル版で世界を驚かせた特殊メイクに代わる新しい技術で猿たちが創造され、CGで表現されているにもかかわらず、感情豊かで生命力にあふれた姿には感動すら覚える。

実写とCGの融合では、現在の最高レベルの映像であることは間違いない。例えば、テーブルから天井灯に飛び移り、手すりを伝って屋根裏部屋に上がる。太い幹を駆け上り枝から枝を渡って大木を登る。それらのシーンは流れるようなワンカットに収められ、めくるめく高揚感と重力から解放された自由を味あわせてくれる。

そして、パフォーマンス・キャプチャーの装置をスタジオの外へと持ち出し、移動可能にした功績は大きい。ゴールデンゲート・ブリッジでのクライマックスシーンでの撮影などに活用され、今後、CGは実写にますます溶け込み、新たなニュアンスのビジュアルが生まれてくることは確実だ。

ゴールデンゲート・ブリッジでのクライマックスシーン
ゴールデンゲート・ブリッジでのクライマックスシーン

ちなみに、頭の悪そうな飼育係として登場するのが、「ハリーポッター」で憎まれ役ドラコ・マルフォイを演じたトム・フェルトンである。シーザーを虐待する粗野で卑小な飼育係の存在が、ストーリー展開でけっこうポイントとなる重要な役回りである。「子悪党感」と「へたれ感」が上手くミックスされており、ある意味存在感が抜群である。

ちなみに、頭の悪そうな飼育係として登場するのが、「ハリーポッター」で憎まれ役ドラコ・マルフォイを演じたトム・フェルトン

ウィルの恋人、獣医キャロラインを演じるのは、インド出身の女優、フリーダ・ピントー。2009年度アカデミー賞で作品賞を受賞したダニー・ボイル監督作品「スラムドッグ$ミリオネア」では主人公の恋人ラティカー役を演じ、一躍有名となる。英国アカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、また全米映画俳優組合賞アンサンブル演技賞を受賞している。今後の活躍が楽しみな女優の1人である。

ウィルの恋人、獣医キャロラインを演じるのは、インド出身の女優、フリーダ・ピントー

余談ながら、オリジナル「猿の惑星」は、フランスの小説家ピエール・ブールによるSF小説が原作である。ブールが仏領インドシナにて現地の有色人種を使役していたところ、同じ有色人種である日本人の率いる軍の捕虜となり、「立場の逆転」になった経験をもとに描かれたと言われている。

映画化するにあたり、20世紀フォックスのプロデューサー、アーサー・P・ジェイコブスの依頼を受けロッド・サーリングが執筆した脚本は、最終的にマイケル・ウィルソンによって大きく改変された。主人公が猿たちから理不尽な扱いを受ける描写にはウィルソンが共産主義者とみなされたために「赤狩り」の対象になった経験が反映されているようだ。

類人猿たちに施された特殊メイクの技術は、当時のレベルからは飛び抜けて精巧なものだった。

類人猿たちに施された特殊メイクの技術は、当時のレベルからは飛び抜けて精巧なものだった。

この影響を受け、アカデミーメイクアップ賞が設立されたことは有名である。1968年当時は、誰もが驚く特殊メークが、今ではすべてがCGで制作される世の中に変貌した。この時代の移り変わりそのものが衝撃的である。

 
【ストーリー&インプレッション】

サンフランシスコの製薬会社ジェンシスの研究所に勤める若き神経科学者、ウィル・ロッドマンが実験用に観察していた一匹のチンパンジーが、驚くべき知能を示した。そのチンパンジーには開発中のアルツハイマー病の新薬「ALZ112」が投与されており、ウィルは上司や同僚の前で実験の目覚ましい成果を発表することになった。

ウィルは上司や同僚の前で実験の目覚ましい成果を発表することになった。

ところが、そのチンパンジーが突如として暴れ出し、研究所内をパニックに陥れた揚げ句、警備員に射殺されてしまう。所長からプロジェクトの中止を言い渡されたウィルは、研究室の檻の中に思わぬものを発見する。射殺されたチンパンジーは実は出産しており、我が子が傷つけられることを恐れ、子供を守るために暴れていたことに気づく。

会社規則により、当然この赤ん坊のチンパンジーも殺さなければならなかったが、ウィルの同僚であるロバート・フランクリンは、既に多くのチンパンジーを殺処分していたこともあり殺害を拒否する。処分をウィルに任すことになり、結果、ウィルは密かに生まれたばかりの赤ん坊チンパンジーを自宅に持ち帰ることにした。ウィルの父親でアルツハイマーを患っているチャールズ・ロッドマンがこのチンパンジーに好意を示したこともあり、「シーザー」と名付けて育てることにした。

「シーザー」と名付けて育てることにした

3年後、ウィルのもとですくすくと育ったシーザーは、家の中の空間を縦横無尽に駆け回るようになった。いつからかウィルとシーザーとの間には本物の人間の親子のような強い絆が生まれており、同時に母親のチンパンジーの特殊な遺伝子を受け継いだ彼は、類いまれな「知性」を発揮し始めていく。

新薬が脳を活性化させる効果を確信したウィルは、研究所から持ち出した「ALZ112」を父親のチャールズに投与する。その後、チャールズはそれまで悪化していた病状が嘘のように生気を取り戻した。

チャールズはそれまで悪化していた病状が嘘のように生気を取り戻した。

それから5年後、ウィルは動物園の獣医キャロラインと相思相愛の仲になり、体長5フィートにもなったシーザーは無邪気だった以前とは異なり、より複雑で多様な感情を表すようになっていた。そんな折、チャールズが再び病状悪化の兆候を示し、隣人とのトラブルを引き起こした。その模様を屋根裏部屋から目撃したシーザーは、チャールズを助けようとしてその隣人を傷つけてしまう事件を起こしてしまった。

この一件によってシーザーは、類人猿保護施設に入れられることになり、最愛の育ての親ウィルと離れ離れになってしまう。シーザーは、これまで生きてきた中でおそらく感じた事のない孤独と絶望に直面しながらも、再びウィルと共に暮らせる日々だけを願って毎日を過ごしていく。

再びウィルと共に暮らせる日々だけを願って毎日を過ごしていく。

檻に閉ざされた施設で、シーザーを待ち受けていたのは飼育員の陰湿な虐待だった。その一方で、なかなか施設内の類人猿のコミュニティに溶け込めずにいたシーザーは、チンパンジーの群れを率いるボスとの争いに「知力」で勝利を収め、すべての類人猿たちを1つのグループにまとめ上げていく。

その頃、ウィルは研究所でより強力に改良した新薬「ALZ113」の実験を行うが、チンパンジーへの投与中に薬を浴びたウィルの同僚が原因不明の体調不良を訴えおびただしく出血し、その後、謎の死をとげる。

「ALZ113」の恐るべき副作用に気づかないウィルは、シーザーを引き取るため施設を訪れる。しかし、久々にウィルとの対面を果たしたシーザーは、ウィルが差しのべる手を拒絶。知性に目覚め、人間の愚かさに失望し、ウィルさえも想像できない驚異的な進化を遂げたシーザーは、このときすでに「ある決意」を固めていた。

驚異的な進化を遂げたシーザーは、このときすでに「ある決意」を固めていた。
今や固い絆で結ばれた仲間のチンパンジーらと共に、人類との壮大な全面戦争へとなだれ込んでいくのだった。

やがて高い知能を駆使し施設から脱出したシーザーは、今や固い絆で結ばれた仲間のチンパンジーらと共に、人類との壮大な全面戦争へとなだれ込んでいくのだった。

この作品では、人間の持つ傲慢さと自分と異なる存在を否定する不寛容が生んだ悲劇が描かれている。人類の滅亡と猿の支配は、偶然でも突然変異でもない「必然」だったとする本作の衝撃のラストは、1968年に公開されたオリジナルの「猿の惑星」に勝るとも劣らない秀逸さだ。

最先端のCGテクノロジーとド迫力のアクションで描かれた娯楽作品であるが、猿の怒りと悲しみをたたえた瞳のリアル感や、擬似親子の決別に思わず涙する深いヒューマンドラマに仕上がっている。

擬似親子の決別に思わず涙する深いヒューマンドラマに仕上がっている。

また、今回の作品では科学倫理について言及されている。つまり、現実の世界で「もしかすると、こんなことが起きそうだ…」という世界を描いてる作品であり、技術が人間の手の及ばないところまで来てしまったときに起きてしまう悲劇的な物語が展開されるのだ。

記憶力・洞察力のほかに愛や友情など他者を思いやる心を持ったチンパンジーが、自らと仲間の尊厳を守るために立ち上がる。その文字通り二本足で背筋を伸ばした姿は、運命を自覚した者だけが備える鋼鉄の意思を体現しているようだ。

オリジナル版「猿の惑星」の世界的な根強い支持を背景に新たに誕生した「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」は、オリジナルに残された多くの謎を解き明かす超大作である。なぜ、人類が築き上げた文明社会は脆くも崩壊し、類人猿が地球の支配者となったのか。現代のサンフランシスコを舞台に、一匹のチンパンジーの突然変異的な進化から始まるストーリーは、もはやSFという域を超越し、21世紀の今を生きる我々人類に向けての強烈で生々しいメッセージとなっている。

21世紀の今を生きる我々人類に向けての強烈で生々しいメッセージとなっている。

神話的名作の「起源」に迫り、地球の歴史が塗り替えられた空前絶後の一大事と、そのすべての始まりを壮大なスケールで映像化した衝撃作である。

何も考えず、素晴らしい出来栄えの最先端CGを駆使したSFエンターテイメントとして鑑賞するも良し、人間の驕りが招く「人類への警鐘」を体感するもアリである。この作品を見逃してはいけない。

 

キャスト スタッフ
ウィル・ロッドマン:ジェームズ・フランコ 監督:ルパート・ワイアット
シーザー:アンディ・サーキス 脚本:アマンダ・シルヴァー/リック・ジャッファ
キャロライン・アランハ:フリーダ・ピントー 製作:アマンダ・シルヴァー/リック・ジャッファ
チャールズ・ロッドマン:ジョン・リスゴー ピーター・チャーニン/ディラン・クラーク
ジョン・ランドン:ブライアン・コックス 製作総指揮:トーマス・H・ハンメル
ドッジ・ランドン:トム・フェルトン 音楽:パトリック・ドイル
スティーヴン・ジェイコブス:デヴィッド・オイェロウォ 撮影:アンドリュー・レスニー
ロバート・フランクリン:タイラー・ラビーン 編集:コンラッド・バフ/マーク・ゴールドブラット
ロドニー:ジェイミー・ハリス  
ハンシカー:デヴィッド・ヒューレット  
ジョン・ハミル:タイ・オルソン  
アリス・ハンシカー:マディソン・ベル  
トッド・ハンシカー;ジョーイ・ロッチェ  
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