2013年度鑑賞作品
ダイ・ハード/ラスト・デイ
 
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運の悪さは、遺伝する。

最も不運なタイミングで、最も不運な場所に居合わせる、最も不運な男ジョン・マクレーン。まだ髪の毛のあるブルース・ウィリスがスクリーンで大暴れした「ダイ・ハード」から四半世紀。前作から6年ぶりに制作されたシリーズ5作目のタイトルは「ダイ・ハード/ラスト・デイ」。原題の「A Good Day to Die Hard」は、インディアンの言葉である「死ぬにはいい日だ(It's a good day to die.)」のもじり。

「死ぬにはいい日だ(It's a good day to die.)」のもじり

今回の舞台はロシア。まさに、やりたい放題。これだけ派手にやってくれると妙に清々しい気分になるから不思議。あの手この手のアクションシーンに、よくこんなパターン考えつくなぁ〜というのが本音。「なんでやねん」とツッコミどころも多々あるが、そんなこと関係なし。いわゆるお約束という事で、細かいところは気にしないおおらかさがこのシリーズの持ち味であり醍醐味である。

前作ではマクレーンの娘が登場し、今回も多少存在感を示すが、この作品での相棒は第1作で家族写真登場しただけの息子がかなり成長した姿で登場。マクレーンのDNAを見事に受け継ぎ、最も不運な親子として活躍する。

マクレーンのDNAを見事に受け継ぎ、最も不運な親子として活躍する

「ダイ・ハード」シリーズの最大の魅力は、ジョン・マクレーンのキャラクターに尽きる。偶然にもテロ発生現場に居合わせてしまうツキのなさ、その不運をボヤク人間臭さ、執拗な敵の襲撃にボロボロになっても決してへこたれない粘り強さだ。無敵のスーパーヒーローのような力強いタイプではなく庶民的なところに親近感を感じ、25年間の長きにわたり降りかかる不運を乗り越えてきた不屈の魂に観客は熱い声援を送る。

マクレーンは、ソリが合わず疎遠になっていた息子のジャックがモスクワで警察沙汰に巻き込まれたため、身柄を引き取りにロシアに向かう。しかし、出廷するはずの裁判所の前で爆発テロ事件に巻き込まれ、騒動の最中にもう1人の囚人ユーリ・コマロフを連れて逃走しようとするジャックと再会することに。そこからは、追跡劇とアクションが怒涛のように押し寄せる展開が待っている。

出廷するはずの裁判所の前で爆発テロ事件

ジョン・マクレーンを置き去りにして逃げる息子とコマロフは謎の組織に狙われている。これは息子の一大事とばかり、マクレーンはクルマを強引に拝借し、彼らの後を追う。テロリスト集団は装甲車や武装ヘリを次から次へと繰り出し、ロケットランチャーを惜しみなくぶっ放す。軍用車両で大量のクルマを破壊しながらのカーチェイスは、観ているこちらがもう堪忍してくれというほどの徹底ぶり。よくもまぁこんな撮影ができたものだ。また、クルマの上を容赦なく突き進むマクレーンの勇姿?は、喝采もの。ある意味、隕石での破壊より多くのモノが壊された感覚のカーチェイスのド迫力映像は満腹状態間違いなし。

クルマの上を容赦なく突き進むマクレーンの勇姿

裁判所で証言するはずだったコモロフを阻止しようとする組織から彼を守ろうとする息子のジャックは、何とCIAのスパイ。オヤジのせいで作戦が失敗したとマクレーンを邪魔者扱いするジャックと、確執があるとはいえ、可愛い息子を助けたいと思う親バカのマクレーンは自ら進んでトラブルに飛び込む始末。世界一運の悪い男は、アメリカを離れても健在だが、考えようによればトラブルが大好物な世界一迷惑な男なのかも知れない。

世界一運の悪い男は、アメリカを離れても健在

コマロフが持っているとされる「リスト」がどうしても必要な悪徳政治家率いるテロリスト集団とマクレーン親子との攻防戦はモスクワから原発事故のあったチェルノブイリに舞台が移る。このあたりからストーリーはドンデン返しが待っているが、もはやそんなことはどうでもいいほどのアクション連続のてんこ盛り状態。

手に汗握る緊張感と垣間見せるユーモアの緩急に、観終わった後はフラフラになること請け合い。ただ、冷静になった時に何となく感じる違和感。これほど好き放題の大騒ぎの果ての呑気なラスト。他国で破壊の限りを尽くし、世界を守ったと無邪気に信じる自己満足感。これがアメリカの正義ってヤツか。ま、これがハリウッド映画の真骨頂。深く考えてはダメなのだ。

これがアメリカの正義ってヤツ

去年、娘が産まれたばかりのブルース・ウィリスは57歳。まだまだ現役バリバリだ。あらゆるジャンルで幅広い活躍を見せ、ハリウッドを代表する大スターの座を譲ることはない。2013年には「ダイ・ハード/ラスト・デイ」以外にも、「LOOPER/ルーパー」「噂のギャンブラー」「ファイヤー・ウィズ・ファイヤー/炎の誓い」「ムーンライズ・キングダム」「G.I.ジョー/バック2リベンジ」「RED2」の7作品が公開される。

6月公開予定の「G.I.ジョー/バック2リベンジ」では、テロ組織「コブラ」の前に全滅した機密組織「G.I.ジョー」を救うため、助っ人として初代「G.I.ジョー」を演じ、イ・ビョンホン演じるストームシャドーと死闘を繰り広げる。また、「RED2」では、引退していた元CIA腕利きエージェントのフランクを演じ、モーガン・フリーマンやジョン・マルコヴィッチらと再度巨大な陰謀に立ち向かう。つまり、ブルース・ウィリスは凄いペースでスクリーンに登場する需要の多い俳優であることは間違いないようだ。

全滅した機密組織「G.I.ジョー」を救うため、助っ人として初代「G.I.ジョー」を演じ、イ・ビョンホン演じるストームシャドーと死闘を繰り広げる

息子のジャックを演じたジェイ・コートニーは、トム・クルーズ主演の「アウトロー」では主人公ジャック・リーチャーに迫る敵役のチャーリーに扮したオーストラリア出身の若手俳優。ヒュー・ジャックマンや故ヒース・レジャーも在籍した「ウェスタン・オーストラリアン・アカデミー・オブ・パフォーミング・アーツ」の卒業生で、サム・ライミが制作総指揮に名を連ねたドラマシリーズ「スパルタカス」の剣闘士ウァロ役で注目を集め、アメリカ進出初の劇場作品でトム・クルーズ、そして、2作目でブルース・ウィリスと、トップスターの向こうを張る重要な役に続けて大抜擢。出世街道をひた走る、今、最も注目を集める若手俳優の1人。

ジェイ・コートニー

「アウトロー」では、トム・クルーズ相手にカーチェイスや銃撃戦、リアルなマーシャルアーツ戦まで繰り広げる残忍な悪役ぶりを披露したジェイ・コートニーは、今回の作品でもブルース・ウィリスに引けを取らない存在感をアピールしている。今後の活躍が期待される。

トップクラスのお祭り映画である「ダイ・ハード」シリーズの最新作、これを見逃すときっと後悔する。劇場の大スクリーンでアクション映画の神髄と迫力を堪能してほしい。このシリーズ、まだまだ続きそうだ。

このシリーズ、まだまだ続きそうだ。

 

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