2013年度鑑賞作品
探偵はBARにいる2
ススキノ大交差点
 
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待たせたな、調査再開だ。

待望のシリーズ第2作、ススキノの裏も表も知り尽くした探偵の活躍を描いた「探偵はBARにいる」が帰ってきた。酒と美女を愛する探偵とそんな彼に飄々と寄り添う腕っぷしの強い相棒兼運転手の高田のコンビは今回も健在だ。

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

そんな2人が挑む事件は、前作に比べかなりスケールアップ。ススキノから室蘭へと飛び出すスリリングな珍道中やノンストップのガチンコアクション、大群衆の中で繰り広げられる圧巻のクライマックス、そして、その果てに待つ予測不能の結末…。新たなスパイス満載で贈るシリーズ第2弾は、前作を観ていなくても十分楽しめるエンターテイメントに仕上がっている。

二枚目半の魅力で、キメるところはビシッとキメる探偵の「俺」を演じるのは、ご存知北海道のスーパースター大泉洋。危険なアクションの他にAV界の人気女優麻美ゆまとのお色気シーンも披露し、まさに体当たり演技の連続でスクリーンにカムバック。今回登場シーンがかなり増えた感のある相棒の高田を演じる松田龍平も相変わらずすっ呆けたいい味を醸し出す。噛み合っているようで微妙にズレる2人の絶妙のコンビネーションが微笑ましい。また、乱闘シーンで、頼りの高田がなかなか助けにやってこないのはもうお約束ってな感じ。

噛み合っているようで微妙にズレる2人の絶妙のコンビネーションが微笑ましい。

今回の「依頼人」となるヒロインのヴァイオリン奏者河島弓子を演じるのは、木曜10時枠のフジテレビで放映された「最高の離婚」の濱崎結夏役のコミカルな演技で人気を博した尾野真千子。また、事件の鍵を握る政治家の橡脇には渡部篤郎。そして、事件の発端となるオカマのマサコちゃん役のゴリなどのゲスト陣に加え、前作から引き続き登場する北海道日報の記者役の田口トモロヲや友人のヤクザの若頭の松重豊などキャスト陣も個性派で濃いキャラが揃う。

今回の「依頼人」となるヒロインのヴァイオリン奏者河島弓子を演じるのは、木曜10時枠のフジテレビで放映された「最高の離婚」の濱崎結夏役のコミカルな演技で人気を博した尾野真千子
事件の鍵を握る政治家の橡脇には渡部篤郎

パンチラやセクシーポーズで探偵を挑発する行きつけの喫茶店「モンデ」のセクシー娘など、どうでもいいようなキャストまで濃い。このあたりが嬉しい芸の細かさである。また、探偵の根城であるススキノのバー「ケラーオオハラ」のレトロ感が漂う独特のムードも健在。

行きつけの喫茶店「モンデ」
パンチラやセクシーポーズで探偵を挑発する行きつけの喫茶店「モンデ」のセクシー娘
探偵の根城であるススキノのバー「ケラーオオハラ」のレトロ感が漂う独特のムードも健在

札幌在住の東直己原作の「ススキノ探偵シリーズ」から長編第5作目になる「探偵はひとりぼっち」が今回のモチーフ。スタッフも当然、前作を大ヒットさせた橋本一監督をはじめ、脚本の古沢良太、須藤泰司、音楽の池頼広と、東映・テレビ朝日製作のテレビドラマシリーズ「相棒」の主要なスタッフ面々が再集結。抜群のチームワークが創りだす世界観に華を添える豪華キャストとストーリー。これぞ娯楽映画の真骨頂といえる作品だ。

。抜群のチームワークが創りだす世界観

仲良しのオカマ・マサコちゃんがマジック大会で優勝し、うっかり有名になってしまったため殺されるという事件が起こる。一向に進まない警察の捜査に世間の関心も薄れる中、探偵は高田を呼び出し調査へと繰り出すが、仲間たちの対応はなぜかぎこちない。それもそのはず、事件の背後にはカリスマ政治家である橡脇孝一郎と、政界&裏社会の思惑が渦巻いていた。

仲良しのオカマ・マサコちゃんがマジック大会で優勝

そんな中、探偵のもとに人気ヴァイオリニストの河島弓子が現れる。大切なファンだったマサコちゃんのために犯人を自力で捕まえると息巻く弓子に対し、自分の「依頼人」となり大人しくするよう説得する探偵。しかし、弓子のトンデモない性格に振り回され、謎の3つの集団から追われるハメに…。

探偵のもとに人気ヴァイオリニストの河島弓子が現れる

数々の危険を何とかくぐり抜け、しだいに事件の核心へと迫る探偵と高田。だがその先には、やるせない真実と切ない愛、そして弓子を巻き込む新たな事件が待ち受けていた。果たして事件に隠された真相とは何か…。そして、探偵は今度こそ依頼人を守り通せるのか…ってな物語が、けっこうシリアスとコミカルが入り混じった感覚で展開される。

しだいに事件の核心へと迫る探偵と高田

堂に入った関西弁がステキな尾野真千子の大阪のオバチャンキャラぶりがチャーミンで、探偵とのやり取りも思わずニヤリのシーンが多い。何と言ってもエレベーター内でのシークエンスには吹き出すこと必至。

また、前回は雪穴への生き埋めだった探偵が、今回はスキージャンプ台での宙吊りシーンが圧巻。なかなか北海道らしい折檻というか拷問というか、気の利いた演出だ。しかし、あんなところからスタートする実際のスキージャンパーたちは、ホントに怖いもの知らずだと、あらためて感心する。探偵のファイトにも拍手。

物語にけっこうスピード感を与えているのは、ナレーションと映像のバランスが優れているのが要因の1つかも知れない。冒頭から殺人事件の概要を説明しつつ、探偵や助手らのキャラクターも簡単に紹介。その語り口が実にスムーズ。オカマのマサコちゃんがマジックに目覚め、上達し、全国大会で優勝するまでをサラッと映像で紹介し、祝賀会で盛り上がり、「マサコちゃんは見事に優勝し、2日後に殺された」と淡々とナレーションが入る。この絶頂感からの切り替えしがお見事。そこからの観客は「これからどうなる」と、スクリーンに釘付け状態に突入。ハラハラさせ、苦笑させ、ドキドキさせ、爆笑させ、最後はホロリとさせてしまう。

ハラハラさせ、苦笑させ、ドキドキさせ、爆笑させ、最後はホロリとさせてしまう

「相棒」シリーズの制作スタッフだけに、セリフに散りばめた数々の伏線が効果的でオシャレ。予想外の展開が怒涛のように押し寄せる。今回の作品では反原発もテーマに含まれているが、悪を悪と素直に描かない脚本の妙は観客に現実の遣る瀬無さを訴える。オカマのマサコちゃんの殺人が反原発運動に絡み、その裏に蠢くいろんな闇が浮き彫りになり、そして、意外なところに着地する。

この作品の良さは、社会の闇が上手く描かれているが、世界や日本を救ったり、政治や経済の屋台骨を揺るがせたりするような仰々しさはなく、けっこう身の丈に合った世界観の中で事件が展開するところにある。北海道の魅力を巧みに取り入れながら、路地裏の猥雑感やススキノを離れ「るるぶ」感を上手くミックスさせ、欠点だらけの探偵が、妙な信頼感で結ばれている相棒と共に、友を思い、自分が住む街を思い、北海道を疾走する姿に観客は心を躍らせる。

欠点だらけの探偵が、妙な信頼感で結ばれている相棒と共に、友を思い、自分が住む街を思い、北海道を疾走する姿に観客は心を躍らせる

大泉と松田の「相棒」感も絶好調。ぬる〜いテレビドラマや無理やりスケール感を詰め込んだドラマの映画化ではチョイと味わう事の出来ない淫らなチョイ悪な空気感と痛快さ全開の「探偵はBARにいる」シリーズが、今後どのように化けるか楽しみだ。

「探偵はBARにいる」シリーズが、今後どのように化けるか楽しみだ

2011年公開「探偵はBARにいる」はこちら

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