2013年度鑑賞作品
2ガンズ
 
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汚れた40億円、誰のモノ?!?!
DEAvs海軍vsCIAvsマフィア

昔から「バディ・ムービー」には傑作が多い。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが実在した2人のアウトローの自由奔放な生き様をユーモラスに、そして、シニカルに描いた青春西部劇の代表作である「明日に向かって撃て!」やコン・ゲームを軽快に描いたコメディ映画「スティング」、ニック・ノルティとエディ・マーフィーが熱演した「48時間」、また、地球上に存在する宇宙人を監視する秘密組織「MIB」の活躍を描くSFアクションコメディでのウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズの迷コンビ。

明日に向かって撃て!

現在公開中の「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」もユニークな「バディ・ムービー」だし、「シャーロック・ホームズ」「X-FILES」「マイアミ・バイス」「リーサル・ウェポン」「バッド・ボーイズ」など数多い。日本モノでは「相棒」や「あぶない刑事」などがすぐに思いつく。

相棒
あぶない刑事

基本的にはまったくタイプの異なる2人の人物が、共通の目的があるなどの理由によって、一時的にコンビを組む羽目になる。つまり、相棒となる。「バディ・ムービー(相棒映画)」という呼び名もここに由来する。2人の関係が最終的にどうなるかはその作品の性格によって異なる。ストーリー内容や、物語上の都合や、テーマ設定などが関わってくるから当然であり、それらが絡み合うため、2人の関係がどんな結末を迎えるかは、ケース・バイ・ケースで、これが無数のパターンを生む。

基本的にはまったくタイプの異なる2人の人物が、共通の目的があるなどの理由によって、一時的にコンビを組む羽目になる

ハリウッド映画の90%は「バディ・ムービー」と言われている。なかには「孤高のヒーロー」シリーズも存在するが、相棒ものが圧倒的に多いことは確実だ。常識破りの男たちが手を組む姿に熱くなれるのが「バディ・ムービー」の魅力であり、多くの場合は「圧倒的信頼感」が観客の心を打つ。ただ、「バディ・ムービー」のなかには、バディ間の気持ちの接近を過剰に感動的に描くあまり、不自然になったり感情移入できない作品もある。今回の「2ガンズ」はそんな湿ったベタつきとは無縁のドライさが心地よい爽快感を生む。

「2ガンズ」はそんな湿ったベタつきとは無縁のドライさが心地よい爽快感を生む

また、この俳優が出演しているならきっと面白い作品だろうと感じさせる役者の1人や2人はいるはずだ。デンゼル・ワシントンはそんな存在感ある俳優である。1989年の「グローリー」で助演男優賞、2001年の「トレーニング デイ」で主演男優賞と、2度のアカデミー賞を獲得している実力派。そして、ほぼ1年に1本のペースでコンスタントに出演作が公開され、その度に高い評価を受ける「外さない男」の異名を持つビッグ・ネーム。

デンゼル・ワシントンはそんな存在感ある俳優

今回の作品でデンゼル・ワシントンとバディを組むのは、「テッド」の大ヒットに日本での知名度も急速にアップしたマーク・ウォールバーグ。彼は今が「旬」の役者で、「テッド」以降を数えただけでも、本作も含めると主演作は実に5本。しかも4作で全米No.1を獲得する人気ぶりだ。ちなみに、2014年公開の「トランスフォーマー」シリーズの最新作「トランスフォーマー ロストエイジ」の主演にも抜擢されている。

「テッド」の大ヒットに日本での知名度も急速にアップしたマーク・ウォールバーグ

デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグ、この2人の「外さない男」と「乗りに乗っている男」が組むのだから、面白い作品であることは「お墨付き」。シリアスなドラマもダイナミックなアクションも経験済みのこの2人に不安要素など見当たらない。まさにバディ・アクションにもってこい2人と言える。

敵対する勢力が、ある目的をめぐってシノギを削り合うのはサスペンス・アクションの定番。そして、そこに第三の勢力が加わって「三つ巴」の戦いに展開していくのも、このジャンルを見慣れた観客にとっては想定内、安定して楽しめるストーリー展開だ。しかし、「2ガンズ」は、その安定ストーリーのさらに上を行くトリッキーな展開が待ち受ける。そう、「三つ巴」どころか、「四つ巴」のバトルロワイヤルにストーリーが発展する。

「三つ巴」どころか、「四つ巴」のバトルロワイヤルにストーリーが発展
「三つ巴」どころか、「四つ巴」のバトルロワイヤルにストーリーが発展 「三つ巴」どころか、「四つ巴」のバトルロワイヤルにストーリーが発展

この4つの勢力が狙う中心にあるのは、デンゼル・ワシントン演じるボビーとマーク・ウォールバーグが扮するマーカスが銀行から強奪した麻薬カルテルの裏金40億円。だが、このコンビの成り立ちからして、これまでの「バディ・ムービー」の常識を覆す設定。従来なら同じ刑事やワル同士、少し捻っても立場が違う者同士が手を組むという形なのだが、今回は、ともに麻薬カルテルに潜入捜査を行っている麻薬取締局(DEA)と海軍犯罪捜査局の捜査官同士。お互いに知らないまま騙し合っている設定がこの作品のオリジナリティであり、面白いところ。そして、互いに正体を知らないまま銀行に押し入ってしまうことになる。

互いに正体を知らないまま銀行に押し入ってしまうことになる
金庫に眠っていたのは、当初考えていた額とはケタが違う大金

しかも、金庫に眠っていたのは、当初考えていた額とはケタが違う大金。計画は無事に成功したものの、逃げた砂漠の真ん中でお互いの身分が発覚。マーカスは急所を外しボビーを撃ち、その金を持ち逃げする展開。ところが話はそこで終わらない。所属する海軍に戻ったマーカスは、情からボビーを仕留めなかったことを咎められ、海軍から追われる羽目に陥る。そして、ボビーはボビーで、追っ手の罠にはまり、金を取り戻さない限り重罪を背負うことになってしまう。この2人は否応なしに、再度協力せざるを得ない状況に追い込まれてしまう。

再度協力せざるを得ない状況に追い込まれてしまう

麻薬組織に潜入捜査した麻薬捜査官と海軍犯罪捜査局の主人公2人は、そもそもお互いを信じ合っていない。そして、お互いの正体を知るや「騙しやがったな!」と自分のことは棚に上げてムキになる。しかし、所属する組織にさえ見捨てられかけている彼らにとって、皮肉にもこの信じられない相手こそが頼らざるをえない相棒となり、史上もっとも険悪なコンビが誕生する。

そんな彼らが危険を潜り抜けるうちに仲間意識で結ばれていく…という展開だが、友情と呼ぶに至らないのがこの作品のミソ。互いに信頼し合うのはホンの一瞬。一瞬だからこそ、沸点への急激な高まりが印象的なものとなり、けっこう熱くなれる。友情重視のベタついた感がなく、節度のある抑制に好感が持て、このクールさが最後のシーンのカタルシスを生む。

このクールさが最後のシーンのカタルシスを生む

DEAと海軍、CIAとマフィアが、それぞれの権力を盾にとって大金の争奪戦を繰り広げる展開はスピーディーでスリリンク。主人公コンビのクールかつユーモラスな掛け合いもさることながら、ド派手を極めた見せ場や予測不可能な展開にも魅了される。

金の争奪戦を繰り広げる展開はスピーディーでスリリンク

この作品でメガホンを取るのは、「ザ・ディープ」「ハード・ラッシュ」のアイスランド出身の新鋭バルタザール・コルマウクル。2人のビッグスターを上手く料理しており、麻薬組織やCIAの裏に隠された陰謀を描くサスペンス・アクションをユニークな「バディ・ムービー」に仕上げている。

麻薬組織やCIAの裏に隠された陰謀を描くサスペンス・アクションをユニークな「バディ・ムービー」に仕上げている

ハードなシーンもクスッと笑えるシーンもほどよく混ざっており、その塩梅がひじょうに優れている。予測不可能、裏切り必至の争奪戦、最後まで目が離せない作品だ。

余談ながら、ストーリーの鍵を握るボビーの元カノ役のポーラ・パットンは「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」に出演していた女優さん。この作品でもなかなかチャーミングな存在感を披露している。

ボビーの元カノ役のポーラ・パットン
なかなかチャーミングな存在感を披露

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