2014年度鑑賞作品
エージェント:ライアン
 
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トム・クランシー原案最新作「ジャック・ライアン」ついに新始動!!
巨大謎を「解析」せよ。

世界各国でメガヒットを記録した「ジャック・ライアン」シリーズの最新作は、ライアン生誕30周年を記念して制作された。

「エージェント:ライアン

原作は、去年の10月に逝去したベストセラー作家トム・クランシーが1984年から発表を始めた全世界で発行部数が累計で約1億冊にも及ぶ全15冊の小説。これまでに実際にあった国際問題を背景に、CIAエージェントの活躍を描き圧倒的な人気を獲得したこのシリーズは、1990年の「レッド・オクトーバーを追え!」、1992年「パトリオット・ゲーム」、1994年の「今そこにある危機」、そして、2002年の「トータル・フィアーズ」の4作品が映画化されている。

レッド・オクトーバーを追え!
パトリオット・ゲーム 今そこにある危機
トータル・フィアーズ

そして、最新作の「エージェント:ライアン」はシリーズが創出した伝説的キャラクターをもとに、新たにスタートを飾ったリブート作品。最後の公開から12年、国際情勢は劇的に変化し、世界はより複雑かつ深刻な問題を抱えた時代となった。全く予測できない新たな危機に、リアリティのあるヒーロー「ジャック・ライアン」ならどう立ち向かうのか…、そんな問いかけを出発点にプロジェクトが発進、舞台は現代に設定された。

ハリソン・フォード、アレック・ボールドウィン、ベン・アフレックと、錚々たるハリウッドスターが、キャリアの頂点で演じてきた「ジャック・ライアン」。世界中が注目した新ライアンには、今最も期待される次世代スターのクリス・パインが選ばれた。すでに高く評価されているアクションはもちろん、苦悩するライアンの内面を演じ、自身の代表作を塗り変えた。

苦悩するライアンの内面を演じ、自身の代表作を塗り変えた

物語は頭脳明晰ながら若く未熟なライアンが、どのような経緯でCIAにスカウトされ、いかに一流エージェントへと成長していくかを描く「ライアン誕生秘話」のいわば「エピソード0」。こうして新生「ジャック・ライアン」は、今の時代が求める全く新しいシリーズに生まれ変わり、明日にも現実に起こり得る世界の危機を察知し、巨大な謎の解析に挑む体験型インテリジェンス・スパイ・アクションが誕生した。

スパイ小説の巨匠トム・クランシーは、緊迫した潜水艦を舞台にしたハイテク軍事スリラー「レッド・オクトーバーを追え」で、初めてジャック・ライアンを世に送り出した。続く「パトリオット・ゲーム」では、たった1人で恐ろしいIRAの計画を阻止した彼の名はかつてない力強いヒーローとして全世界に広まった。そして、クランシーのファンはもちろん、数多くの人々が「ジャック・ライアン」と聞くだけで、世界的な陰謀に屈することなく任務を遂行し、いかなる攻撃にさらされても、とてつもない脅威に立ち向かう人間味に溢れた男を思い浮かべる。

とてつもない脅威に立ち向かう人間味に溢れた男を思い浮かべる

余談ながら、トム・クランシーの小説や映画の特徴は、非常に愛国心あふれたCIAやアメリカ軍が描かれており、それまでにベトナム戦争で地に落ちたアメリカ軍の評価を上げることに大いに貢献している。

エージェントの世界において、ジャック・ライアンは際立った特徴を持っている。スパイとしての実地訓練は受けていないが、秘密兵器や腕力に頼ることなく、精神力と勇気、そして、最大の武器とも言える鋭い分析力によって国に危害を加えようと企む者たちの常に一歩先を行く。彼の存在そのものが、アメリカ諜報機関の貴重な財産と言える。

最大の武器とも言える鋭い分析力によって国に危害を加えようと企む者たちの常に一歩先を行く

東西冷戦からスパイ合戦がより狡猾に行われる時代にシフトしていくなか、クランシーの「ジャック・ライアン」シリーズはベストセラーとなり、4作品が映画化されて大ヒットを記録、世界に認められる一大エンターテインメントとなった。作品のプロデューサーたちは、そんな「ジャック・ライアン」というキャラクターを過去のものにするべきではないと考えた。ライアンが今も人々に愛されていることに加えて、国籍のない人物や予期しないテロ活動を追う彼のような優秀な情報分析官は、現在の入り組んだネット時代のスパイ活動においてこそ、欠くことのできない主戦力となるからだ。

彼のような優秀な情報分析官は、現在の入り組んだネット時代のスパイ活動においてこそ、欠くことのできない主戦力となる
彼のような優秀な情報分析官は、現在の入り組んだネット時代のスパイ活動においてこそ、欠くことのできない主戦力となる

再定義された「ジャック・ライアン」役に選ばれたクリス・パインは、愛されてきたキャラクターを再生させるのは初めてではなく、伝説のSFを新しい世代にもたらし高い評価を受けたJ.J.エイブラムス監督の「スター・トレック」シリーズでジェームズ・T・カーク船長を演じている。ただ、今回は有名なキャラクターを未来ではなく、現在のリアリティの中に甦らせなければならなかった。

「スター・トレック」シリーズでジェームズ・T・カーク船長を演じている

「ジャック・ライアン」シリーズ製作プロジェクトにおいて、最も大切なことはフレッシュなストーリーを作り出すことと同時にトム・クランシーが作り出した神話に忠実であること。それは、小説や映画に登場する数多くのスパイのなかで、ジャック・ライアンがユニークな魅力を保ち続けた理由を探求することでもある。

ジャック・ライアンはスパイのなかでは誰よりも普通の男。彼は訓練を積んだ殺し屋ではなく、肩をたたかれて、「君には自分の国を守るためにどこまでできる覚悟がありますか?」と尋ねられる人たちの代表選手。それが彼を興味深い存在にしているし、ジャック・ライアンは私たちの1人なのである。

ジャック・ライアンは私たちの1人なのである

ジャック・ライアンは、表向きはウォール街の投資銀行でコンプライアンスを務めているが、実は世界を動かす経済界の不審な資金の流れを探るCIAのアナリスト。天才的な分析力と国際経済への深い知識を持つライアンをCIAに採用したのは上官のハーパー。ある日ライアンは、モスクワの投資会社チェレヴィン・グループの不穏な動きに気付く。グループの持つアメリカ財政を左右するほどの巨大な外貨口座へのアクセスを拒否されたのだ。通常は報告のみで任務完了だったが、今回は何故か現場経験のまったくないデスクワークのライアンが現地に出向くべきだと主張するハーパー。

現場経験のまったくないデスクワークのライアンが現地に出向くべきだと主張するハーパー

「チェレヴィン・グループ」に監査のアポを取り、モスクワの空港に降り立つライアンを迎えたボディガードが、ホテルで突然銃を向けてきた。ライアンは壮絶な死闘を制したが、人を初めて殺した事に激しく動揺。

ライアンを迎えたボディガードが、ホテルで突然銃を向けてきた
人を初めて殺した事に激しく動揺

CIA本部に電話で規定違反の指示を仰いでしまう始末。指定場所へ行くと、いつモスクワに入ったのかハーパーがいた。ライアンは彼の不審な態度に疑念を抱きながらも事態を報告。アメリカ経済破綻を狙うチェレヴィンの企みが成功すれば、世界は数週間で恐慌に陥るだろうと。ハーパーはライアンに拳銃を渡し、「君はもうただのアナリストではない。エージェントだ」と通告し、証拠を掴むよう指示する。

指定場所へ行くと、いつモスクワに入ったのかハーパーがいた

翌日、代表のチェレヴィンを訪ねるが、既に証拠に結びつく痕跡は全て消されていた。ホテルに戻ると、パリで落ち合うはずのフィアンセのキャシーが彼の部屋で待っていた。一体何が真実なのか?何故スパイ経験ゼロの彼がCIAエージェントに選ばれたのか?極限状態の中で、その天才的な分析力を武器に、ライアンの孤高のミッションが始まった。

パリで落ち合うはずのフィアンセのキャシーが彼の部屋で待っていた

チェレヴィンの要塞ハイテクビルに潜入したライアンは、巨大な陰謀の証拠を掴む。それは、18時間後に起きる全世界を標的にした恐るべき同時多発テロ計画。モスクワからの移動の中で、正確な場所と手段、破壊工作員の割り出しが急がれた。刻一刻と時間が迫る中、ライアンの「解析」に全ての命運がかかっている。

ジャック・ライアンはモスクワで恐るべき世界規模のテロ計画を発動させようとしている有力なロシア人実業家と対決することになる。切れ者だが極悪非道なヴィクトル・チェレヴィンを演じるのは、この作品で監督を務めるケネス・ブラナー自身。自分自身の監督作に出演するのは13年ぶりになるケネス・ブラナーは、凄まじいまでの知性を備えたチェレヴィン役に嬉々として演じている。

ケネス・ブラナー
ケネス・ブラナー

ちなみに、ケネス・ブラナーはシェークスピア作品の監督と出演で有名、最近では「ハリー・ポッターと秘密の部屋」にも出演、また、「マイティ・ソー」の監督もこなしている。

国粋主義者であり、アメリカに対して個人的な恨みを抱いているチェレヴィンは、世界経済と爆発物の双方に精通した工作員たちから成る秘密のネットワークを作り上げ、ある計画を立てる。それはジャック・ライアンがいなければ気付く者はいなかったかもしれないほど完璧な計画。チェレヴィンは邪悪な知性だけでなく、その洗練された魅力でも観客の興味をそそる。彼はそれを利用して、ライアンと最終的には彼のフィアンセをも操ろうとする。

ライアンと最終的には彼のフィアンセをも操ろうとする

ある意味、ライアンとチェレヴィンは似た者同士なのかも知れない。ライアンもチェレヴィンも、自分が正しいことをしていると絶対的に確信している。2人は相反するが非常に強い信念を持っている。2人が相対するシーンの熱演ぶりはこの作品の見所の1つである。

ライアンのフィアンセ・キャシー役のキーラ・ナイトレイは複雑な役に挑んだ。キャシーは美しく知的で、ライアンと完全に対等な女性。ライアンがモスクワでの任務についたことが、2人の関係に危機をもたらす。2人の間に生じる混乱や誤解を大人っぽく知的に演じると同時に、2人が互いに強く惹かれあっていることを見事に伝えている。

2人が互いに強く惹かれあっていることを見事に伝えている

また、最初はよくある脇役的な恋人のように見えるキャシーだが、やがてストーリーの核心に関わり、チェレヴィンの計画への潜入を試みるライアンの作戦に不可欠な存在になる。この存在感はやはりキーラ・ナイトレイという女優の存在感に通じるものがある。

自分の行動とその理由を愛する女性に打ち明けられずに苦しむライアンとキャシーのやりとりがとても興味深く描かれている。キーラ・ナイトレイという女優さん、ホント美しい。

ホント美しい

そして、もう1人重要な人物がいる。謎めいたベテランのエージェントで様々な戦略を熟知し、ジャック・ライアンをCIAに採用し、彼を徹底的に試すことになる任務に導くハーパーという人物である。かつて「レッド・オクトーバーを追え!」でライアン役をオファーされたが、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」に集中するためにこれを断っていたケヴィン・コスナーが、鋭く抜け目のない上司という極めて重要な役どころをクールに演じる。

鋭く抜け目のない上司という極めて重要な役どころをクールに演じる
鋭く抜け目のない上司という極めて重要な役どころをクールに演じる

ハーパーとライアンの駆け引きは、そのままコスナーとパインの演技での駆け引きにつながっていく。若手の映画スターのクリスと既に地位を確立したハリウッドを代表するスターのケヴィンの共演は、大きな化学反応を生んでいる。この2人のキャスティングは、作品を成功に導いた大きなファクターである。

作品を成功に導いた大きなファクターである

従来のジャック・ライアンといえば頭脳派のイメージだが、この作品では若き日のライアンという設定もあり、かなりのアクション派。さしたる訓練も積んでいない彼が次々に敵を倒すその理由を「海兵隊出身で良かった」の一言で片付ける安直さが潔い。

多分、今後もクリス・パインの「ジャック・ライアン」シリーズは続くと思われる。次回作が待ち遠しいものだ。

次回作が待ち遠しいものだ。

 
Jack Ryan: Shadow Recruit Trailer
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