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2013.Apr. 12
チームラボ/teamLab

「チームラボ」は、東京大学で同級生だった2人がシステム開発の請負事業を行い始めたのがきっかけで誕生した。その後、彼らの友人など数名を加え、ベンチャー企業としての形態となった。

そして、現在の「チームラボ」は、ウルトラテクノロジスト集団を自称し、アプリケーション、ユーザーインターフェイス、データベース、ネットワークなどのプログラマーや、ロボットエンジニア、数学者、建築家、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、CGアニメーター、編集者など、情報化社会のスペシャリストから構成されており、サイエンス、テクノロジー、デザイン、アートを融合させた領域でものづくりを行っている。

多くの産業、もしくは企業は、生み出す製品やサービス、そして、存在自体が「人がアート的だと感じるようなもの」でないと生き残れない社会になっていくと公言し、様々な依頼に対するソリューションとして、WEBサイト、デバイス、実店舗用プロダクト、スマートフォンアプリ、空間設計、TV-CM、舞台演出など、多岐にわたる仕事をこなしている。中でもデジタルサイネージと連動した「チームラボハンガー」は、ハンガーを手に取ると、そのハンガーに掛かっている服のコーディネイトされた写真 やムービーなどの情報が目の前のディスプレイに表示されるインタラクティブハンガーで、メディアからの注目度が高く、実際に導入している店舗や開発者のインタビューと共に度々取り上げられている。

チームラボハンガー

先月、「チームラボ」は、生きた人間の骨格の動きや人体の形態を忠実に再現した、世界初の3D人体解剖アプリ「チームラボボディ(teamLabBody)」を発売した。人体解剖学におけるデジタル教科書として医療用途や教育用途に使えるだけでなく、接骨院やエステ、ヨガ教室、トレーニングなどのヘルスケア用途、デッサン、漫画、アニメなどアート系の資料としても幅広く活用することが可能。

このアプリは、大阪大学運動器バイオマテリアル学教授の菅本一臣教授の研究チームが開発した、生きた人間の関節の三次元的な動きを解析する手法を基にしている。整形外科の治療や手術の際、症例によっては、従来用いられている情報だけでは技術的な限界があり、そこで研究チームは、全く新しい手法で骨関節の三次元形態と動きを解析する技術を開発。その結果、人間が自分の意志で動かした関節の動きは、献体から得た動きとは異なることを明らかにした。

チームラボボディ(teamLabBody)

この結果から、研究チームは「生きた人間の骨格の動きは、治療や手術、さらには教育分野全般に役立つ」と考え、1998年から独自のソフトウェア「teamLabBody -3D Motion Human Anatomy-」の開発に着手。10年以上にわたって研究を進め、人体の全身の筋肉・神経・血管・骨・関節を高精度にビジュアル化し、同時に3Dモーショングラフィックスによるリアルな動きを実現した。

このアプリの特徴は、CTやMRIのデータから忠実に再現された全身の3D模型を表示できることにある。筋肉・靭帯・神経・血管・骨など計827部位を詳細に閲覧できるほか、骨格の動きや形態を好きな角度・倍率で見ることができる。また、全身表示の状態からでも直感的に見たい部分を操作できるので、操作方法をわざわざ学習する必要もない。ちなみに、市販用アプリとなる「teamLabBody」の開発にあたっては、「チームラボ」がユーザーインターフェースをより使いやすい仕様へと進化させた。

チームラボボディ(teamLabBody)

解剖学的な見地から作られた「iPad」向けの人体模型3Dアプリは以前からあったが、「生きた人間」の動きや形態をここまでリアルに再現したアプリはこれまで存在しなかった。また、既存のアプリも英語版のみの提供だったり、独特のインターフェースを採用するなど、医学関係者以外のユーザーが興味を持っても使い勝手の面で課題があった。誰もが簡単に操作できる敷居の低さは利用シーンの拡大につながり、「teamLabBody」はこの点で、幅広い事業分野の注目を集めそうだ。

タブレット用アプリは既に膨大な数がリリースされているが、採算ベースに乗っているアプリはまだまだ少ないのが現状。多くのソフト会社が実験的な意味合いから参入している中、医学系のアプリは確実な需要を見込める数少ないカテゴリーと言われている。「チームラボ」は、メディカルなどビジネス分野のアプリ開発にも豊富な経験を持っており、今回の取り組みはチャレンジと言うよりも、新たなビジネス分野への着実な一歩と言うべきだ。

CTやMRIのデータから忠実に再現された全身の3D模型を表示

なお、「teamLabBody」の価格は2600円。現在の対応機種は「iPad」だけだが、言語は英語と日本語に対応する。また、機能・対応機種・言語は同じだが、頭頸部のみに対象を限定したLight版も価格85円で同時発売されている。夏頃にはアンドロイド対応版が発売される予定だ。今後は、新たな知見に基づいたこの3D人体模型アプリが、身近な分野で積極的に使われるようになることは間違いない。

そして、テクノロジーと融合したアート集団でもある「チームラボ」が、ジュエラー「タサキ」の銀座本店地下1階で、4月13日から5月19日までアートインスタレーション「タサキ・バランス・エクスペリエンス・アート・バイ・チームラボ」を開催する。

タサキ・バランス・エクスペリエンス・アート・バイ・チームラボ

鏡で覆われた空間に配置した、浮遊する光の球体「チームラボボール(teamLabBall)」の1つ1つを真珠やダイアモンドに見立て、複数の球体が連動する有機的な輝きと音により、「タクーン・パニクガル(Thakoon Panichgul)」デザインの人気ジュエリー「バランス(balance)」コレクションを表現。

「チームラボボール」は、周囲の人々の行為によって光や音を変えることができるインタラクティブインターフェイス。各球体は無線による「P2P(Peer to Peer)」で同期しており、すべての球体を一斉に同じ色に変えたり、空間内の照明の色を変えたりすることができる。演出側は遠隔操作で色を変えることが可能で、浮遊する球体をトスすることで来場者も空間演出に参加できる。

余談ながら、「チームラボ」は、「百年海図巻」と「チームラボハンガー」が文化庁メディア芸術祭審査委員推薦作品に選出され、2011年の紅白歌合戦では「嵐」メドレーの演出を担当した。フランスや台湾、シンガポールなどのアートフェアに出展するなど、国内外で幅広く活躍している。

 
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