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2017 Apr. 21

ロンジン コンクエスト V.H.P.

2017年3月23日から30日まで、スイス第3の都市・バーゼルで開催された世界最大の時計宝飾見本市「バーゼルワールド 2017」

1832年にスイスのサンティミエで創業した「LONGINES/ロンジン」は、このフェアのちょうど2週間前の3月9日、スイスの「ヌーシャテル(ニューシャテル)天文台」で、世界各国からジャーナリスト&インフルエンサー約100名を招き、画期的な新技術を搭載した超高精度クォーツウォッチ「コンクエスト V.H.P.コレクション」の発表会を開催した。

LONGINES Conquest V.H.P

発表会場となった「ヌーシャテル天文台」はスイスの時計業界、そして、高精度時計と非常に深い関わりのある伝説的な場所である。なぜなら、ここは1858年にスイス時計業界の要請を受け、天体観測よりも主に「クロノメーター(高精度時計)」の検定を担う場所とし、ヌーシャテル州の公共経済局の手で設立された天文台なのだ。

ヌーシャテル天文台

設立2年後の1860年には、懐中時計のクロノメーター検定業務を開始。やがて、各時計ブランドが時計の精度と歩度(精度)調整技術を競うクロノメーターコンクールも、スイスにおける草分けである旧ジュネーブ天文台と同様に、この「ヌーシャテル天文台」で開催されることになる。さらに、約90年後の1952年にはスイスとフランスが組織するクロノメーター作業調整国際委員会から、旧ジュネーブ天文台ともども、クロノメーターコンクール用時計と特別調整時計の検定と公認歩度証明書の交付を行うヨーロッパでも数少ない天文台となった。

熱心な時計愛好家なら、日本の「セイコー」がこの天文台のクロノメーターコンクールに1964年から1968年にかけて挑戦し好成績を収めた場所として、また、市販したクロノメーターモデルの検定が行われた場所としてご存じかも知れない。

SEIKO

1832年に創業し、19世紀後半から20世紀初頭にはスイス屈指の総合時計メーカーに成長していた「ロンジン」にとってもこの「ヌーシャテル天文台」は、クロノメーター検定を行ってくれる第三者機関として、また、機械式時計に留まらずクォーツ時計でも優れた成績を上げ、その名を高めたクロノメーターコンクールの舞台として、そして、今回発表された「コンクエスト V.H.P.」の初代モデルの発表会場としてひじょうに思い出深い場所であり、記念すべき場所でもある。

ヌーシャテル天文台

「ロンジン」が1954年に初めて開発したクォーツ時計は、この天文台で精度における新記録を続々と樹立。16ミリカメラとこのクォーツ時計を組み合わせたクロノグラフ機器「Chronocinegines」は、1/100秒単位で陸上選手の動作を撮影・追跡、そのネガから審判たちはフィニッシュライン通過時の選手の動作を確実に判定でき、この計時機器の登場でスポーツ計時は飛躍的な進化を遂げることになった。

Chronocinegines
ロンジンが開発した初のクォーツ時計「Chronocinegines」。16mmフィルムカメラと組み合わせることで、1/100秒単位でフィニッシュラインを通過する陸上選手を連続撮影するシステムが完成。

「ロンジン」のクォーツ技術は、この計時機器を出発点に着実に進化を続け、1965年には、船舶用のクロノメーター(クロック)のために、クォーツムーブメント「キャリバー800」を開発した。このクロノメーターは機械式時計が天文台コンクールで樹立した記録をことごとく塗り替えた。

キャリバー800

そして、引き続き「ロンジン」は、1967年に初のアナログ・クォーツ時計を開発したヌーシャテルの「CEH(電気式時計研究所)」など他社と共同でクォーツウォッチの技術開発を進める一方で、1970年までにクォーツウォッチを開発製造するという「砂時計プロジェクト」を社内において独自で極秘に推進。「セイコー」にわずかに先行され、残念ながら「世界初の量産クォーツウォッチ」の栄誉を逃したものの、1969年9月には「キャリバー6512」と呼ばれるムーブメントを搭載した「ウルトラ・クォーツ」の量産プロトタイプモデルを発表している。

ウルトラ・クォーツ

さらに、1970年代に入っても、「ロンジン」は精力的にクォーツ腕時計の開発を推進した。1972年には「エボーシュSA(後のETA社)」と半導体メーカーのテキサス・インスツルメンツと共同で「ロンジンLCD」という初のデジタルウォッチを、その後も超薄型クォーツを発表。

ロンジンLCD

そして、1984年、「ロンジン」は「ヌーシャテル天文台」を会場に、当時としては最先端の高精度クォーツウォッチ、初代「コンクエスト V.H.P.」を発表した。

コンクエスト V.H.P.

パーペチュアルカレンダー機能を搭載した「コンクエスト V.H.P. パーペチュアルカレンダー」。この後、機械式時計ブームの中でこの名前はしばらく封印されることになる。

つまり、「バーゼルワールド」直前にもかわらず、世界中からメディアを招待して行った最新の「コンクエスト V.H.P.コレクション」の発表は、1996年のパーペチュアルカレンダーモデルの発表から21年ぶり、このコレクションがデビューした記念すべき場所での発表会は、実に33年ぶりのイベントである。「ロンジン」のこの新コレクションに対する並々ならぬ自信と意気込みがうかがえる。

「コンクエスト V.H.P.コレクション」の発表

クォーツ腕時計でも常にスイス時計界のトップを走ってきた「ロンジン」。その最新コレクションである「コンクエスト V.H.P.」に搭載されたクォーツ技術も間違いなく現時点での最先端。発表会で配布されたパンフレットの「THE ULTIMATE QUARTZ INNOVATION BACK TO THE FUTURE OF QUARTZ(究極のクォーツ発明 クォーツの未来に立ち返って)」という、スマートウォッチを意識した挑戦的なコピーからもその意気込みが感じられる。

機能や技術など革新的な要素が満載だが、「コンクエストV.H.P.」でまず語るべきは、年差(1年間の精度誤差)が±5秒というクォーツでも最高峰の超高精度。日本製のクォーツ腕時計でもこのレベルの超高精度を謳うモデルはごくわずか。スイス製クォーツでは超高精度を誇るものでも年差±10秒がこれまでの最高レベル。つまり従来の2倍もの高精度を実現しているのだ。

コンクエストV.H.P.
V.H.P.は「Very High Presision(超高精度)」の略。ケース径は41mm。SSケース&ブレスレット。5気圧防水。
12万1000円(税別)。今秋発売予定。

ただ、技術的には精度を改善する方法自体は従来と変わらない。周囲の温度によって微妙に変化するクォーツ振動子の発振周波数のズレを、温度センサーと電子回路で補正する。

コンクエストV.H.P.

しかし、この時計で何よりも画期的で素晴らしいのは、強烈な衝撃や磁気の影響を受けても、年±5秒という高精度を常に正しく表示する新機構。そして、その機構の要となるのが、時分秒針の位置を常時把握している「Gear Position Detection(ギア・ポジション・ディテクション=ギア位置検出)」システム。

コンクエストV.H.P.

時分秒3本の針の位置は、常にこのシステムがモニターしている。そして、時計内部で年差±5秒で時を刻む超高精度クォーツ回路の現在時刻データと針の表示が、衝撃や磁力線など外部からの力が加わったことでズレる(針飛びしてしまう)と即座にそれを検知し、針の駆動回路に指令を出し、針を自動的に正しい位置に戻している。

コンクエストV.H.P.

たとえば、時計に物理的な衝撃が加わると内蔵のGセンサーがどのくらいの衝撃かを検出。時計に加わった力が500Gまでの場合は、針の位置を瞬時に修正する。そして、500Gを超える場合には、針や歯車への悪影響を最小限にするためにいったん針を止め、衝撃がなくなってから現在時刻データに基づいて自動的に修正を行う。

コンクエストV.H.P.
クロノグラフモデル 19万6000円(税別)。今秋発売予定。

また、この時計では内蔵の磁気センサーも常に働いており、正しく駆動できる限界値以上の強い磁気を検知すると瞬時に針を止め、針や歯車の損傷を回避。そして、磁気がなくなったことを確認してから、現在時刻のデータに基づいて正しい位置に針を自動的に戻す耐磁&修正機能を備えている。

コンクエストV.H.P.

そして、強い衝撃や強い磁気に晒されるという問題が起きなくても、毎日深夜3時にはGPDシステムが自動的に働いて、針のズレを修正する。

さらに、時刻表示の修正の際、針を動かす機構にも「パワードライブ400」という新システムが搭載されており、これは3針モデルでは3つのモーター、クロノグラフでは5つのモーターを搭載し、それぞれの針を秒速400ヘルツ、1秒間に400ステップという超高速で時計回りと反時計回りの両方向に動かすというもの。だから針が止まってしまった後、針が驚くほど早く正しい位置に戻る。このシステムを活用すると、針で多彩な表示を行う機能も可能だという。

コンクエストV.H.P.

また、リュウズを操作することで秒合わせができ、簡単にサマータイムの切り替えができるなど操作性に優れた「スマートクラウン」機能や、カレンダーの日付修正は一切必要ないパーペチュアルカレンダー機構の搭載も大きな特徴。

コンクエストV.H.P.

一見するとオーセンティックなアナログウォッチだが、耐ショック性を誇るアウトドアウォッチを凌ぐ、ケタ違いの耐ショック&耐磁気性能、そして、年差±5秒の超高精度を備えた「ロンジン」の新しい「コンクエストV.H.P.」は、デビューから33年の時を経て、再び「究極のアナログクォーツウォッチ」の誕生である。

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