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2017 Mar. 1

アカデミックな春

戦国時代、東国で活躍した画僧の雪村周継(せっそんしゅうけい)。武将の子として生まれながら出家し、画業に専心した雪村は、故郷の茨城や福島、神奈川など東国各地を巡り歩いた。その生涯は未だ謎に包まれているが、革新的であり、人間味溢れる温かな水墨画を描き続けたということだけは疑いようもない。

そんな雪村周継の特別展「雪村 奇想の誕生」が、3月28日から5月21日までの期間、東京藝術大学大学美術館で開催される。

雪村 奇想の誕生

なお、8月1日〜9月3日の期間は、滋賀県甲賀市の「MIHO MUSEUM」にも巡回開催が予定されている。

今回の展覧会は、海外からの里帰り作品を含めた主要作品約100件と、関連作品約30件で構成される最大規模の回顧展。雪村が、生涯にわたって衰えることなく描き続けた人物画はもちろん、山水画、花鳥画、静物画など「奇想」に溢れた作品が展示される。

修行時代に描いた「風濤図(ふうとうず)」から、70歳ごろの大作「呂洞賓図(りょどうひんず)」、そして、晩年に製作した「自画像」など重要文化財も多く、雪村芸術の写実的で細やかな感性に触れられる絶好の機会である。

風濤図 重要文化財 野村美術館蔵
風濤図 重要文化財 野村美術館蔵

呂洞賓図 重要文化財 大和文華館蔵
呂洞賓図 重要文化財 大和文華館蔵

自画像 重要文化財 大和文華館蔵
自画像 重要文化財 大和文華館蔵

蝦蟇鉄拐図 東京国立博物館蔵
蝦蟇鉄拐図 東京国立博物館蔵

蝦蟇鉄拐図 東京国立博物館蔵
蝦蟇鉄拐図 東京国立博物館蔵

鍾馗図 個人蔵
鍾馗図 個人蔵

龍虎図屏風 6曲1双 根津美術館蔵
龍虎図屏風 6曲1双 根津美術館蔵

欠伸布袋・紅白梅図 3幅 茨城県立歴史館蔵
欠伸布袋・紅白梅図 3幅 茨城県立歴史館蔵

また、今回は雪村の魅力に憑りつかれた画家たちの作品もあわせて紹介され、尾形光琳や狩野芳崖らが、新たな日本画創出のために雪村を研究して描いたとされる絵画も目にすることができる。

狩野芳崖筆「竹虎図」 奈良県立美術館蔵
狩野芳崖筆「竹虎図」 奈良県立美術館蔵

橋本雅邦筆「昇龍図」 山崎美術館蔵
橋本雅邦筆「昇龍図」 山崎美術館蔵

雪村のドラマチックな作品の数々はどのようにして生まれたのか。また、継承したものたちがいかにして受容してきたかを検証しつつ、雪村芸術の全貌に迫っている。

一方、日本美術に描かれた梅、桜、牡丹、薔薇、百合、 紫陽花、朝顔、菊、桔梗、水仙、椿など、春夏秋冬の花を描いた多彩な作品約60点を展示する企画展「花・Flower・華 琳派から現代へ」が、4月22日から6月18日までの期間、渋谷にある「山種美術館」で開催される。

花・Flower・華 琳派から現代へ

春夏秋冬の中でさまざまな表情をみせる自然の姿は、古くから日本人の心を魅了してきた。とりわけ、四季折々に咲き誇る花は、その美しさとともに、詩歌や文学と結びつきながら季節を象徴するモチーフとしても愛好され、現代にいたるまで描き継がれている。そして、その表現には、単独の花、鳥や昆虫との組み合わせ、四季の花を一画面に描く構成など、個性豊かなバリエーションが数多く生み出された。

山口蓬春「梅雨晴」 1966年 山種美術館
山口蓬春「梅雨晴」 1966年 山種美術館

今回の展覧会は、春爛漫の季節に合わせ、四季の花をテーマとした企画展として実施され、日本美術に描かれた代表的な花を通し、江戸時代から現代までの華麗なる絵画の世界が楽しめる。

江戸時代、琳派の絵師たちは、特に季節の草花や花木を多く題材とした。たとえば、花を風物や鳥と組み合わせて趣きある世界を作り上げた酒井抱一の「月梅図」「菊小禽図」、濃彩で四季の草花を鮮やかに配した鈴木其一の「四季花鳥図」。金地、豊かな色彩を用いた装飾的な画面、斬新なデザイン性を持つ琳派の作品は、時代を経ても色褪せることのない魅力を放っている。

酒井抱一「月梅図」19世紀(江戸時代) 山種美術館
酒井抱一「月梅図」19世紀(江戸時代) 山種美術館

鈴木其一「四季花鳥図」19世紀(江戸時代) 山種美術館
鈴木其一「四季花鳥図」19世紀(江戸時代) 山種美術館

また、近代以降においても、四季の草花100種を植物図鑑の如く細緻に表した田能村直入の「百花」、醍醐寺三宝院の華やかなしだれ桜を描いた奥村土牛の「醍醐」、扇面という伝統的な形式に季節の花を散りばめた加山又造の「華扇屏風」などの作品に、四季の循環や季節特有の自然美を意識した表現を見てとることがでる。

奥村土牛「醍醐」1972(昭和47)年 山種美術館
奥村土牛「醍醐」1972(昭和47)年 山種美術館

加山又造「華扇屏風」1966(昭和41)年 山種美術館
加山又造「華扇屏風」1966(昭和41)年 山種美術館

鈴木其一「牡丹図」1851(嘉永4)年 山種美術館
鈴木其一「牡丹図」1851(嘉永4)年 山種美術館

本展では、春夏秋冬の花を描いた多彩な作品約60点を展示し、花の絵画で美術館を満開にいたします。さらに、花の特徴や花にまつわる物語・歴史、画家が残した言葉を交え、その魅力をご紹介します。

お花見の季節に、今昔の花に思いを馳せてみるのも小粋である。

さらに、「花」をテーマにした展覧会をもう1つ。

東京駅前の「新丸ビル」の7階に位置するフロア「丸の内ハウス」。「丸の内ハウス」では2008年より「the MOTHER of DESIGN」と題し、話題のクリエーターの展覧会を開催すると共に、飲食店ゾーンとしての新機軸を打ち出してきたが、第9回目となる今回は、2017年で「新丸ビル/丸の内ハウス」が開業10周年を迎えることを記念して、蜷川実花の個展の開催が決定した。

「earthly flowers, heavenly colors」展

国内外の美術館で展覧会を開催し、近年は映画監督としても活躍、雑誌やコマーシャルなどファッションフォトでも色彩溢れる独自の世界感を表現するご存じ蜷川実花。3月27日から5月14日までの期間、彼女のソロ・エキシビション「earthly flowers, heavenly colors」展を実施。

「earthly flowers, heavenly colors」展

今回の展覧会では、蜷川作品のなかでも人気の高い「花」のシリーズの最新作を写真集「earthly flowers, heavenly colors」の中から紹介。

「丸の内ハウス」の「グレートホール」では、透過性のフィルムを使ったインスタレーションを実施。蜷川実花作品独自の色彩感覚と時間帯によって刻々と変化する太陽光が、空間の表情を豊かに、そして、賑やかに彩る。

「earthly flowers, heavenly colors」展
「earthly flowers, heavenly colors」展

また、ギャラリースペースでは、20点を超える最新プリント作品を展示。蜷川実花ワールドを体感できる空間になること間違いない。蜷川実花の最新作で埋め尽くされた鮮やかな空間を、ぜひ堪能してほしい。

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