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2017 Mar. 6

GINZA SIX

昨年10月の「銀座であれこれ」で掲載した、銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX/ギンザ シックス」が、東京の銀座六丁目10番街区に4月20日にオープン。

GINZA SIX

2013年6月に惜しまれながらも閉店した「松坂屋銀座店」

この「松坂屋銀座店」単独建て替えではなく、周辺2街区を合わせた再開発によって生まれた「GINZA SIX」は、延床面積約148,700平方メートル、地上13階・地下6階と圧倒的なスケールを誇っている。

世界のコレクションで注目される旬なブランドが揃い、ここに来れば日本の今がわかる、世界の最新トレンドが体感できる最高の店舗ラインナップが実現。ファッション以外にも、暮らしを彩るライフスタイル雑貨や、こだわりのレストラン・カフェなども数多く揃う。また、上質な空間、メンバーシッププログラム、プレミアムサービス、クリエイティブなアートやイベントにより、充実の時間と体験を提供する。

「建築は人間のための器である」

「GINZA SIX」の建築を手掛けたのは、常々そんな考えで「器の中身」を引き立てる建築美を追求してきた日本を代表する建築家の谷口吉生

谷口吉生

歴史や痕跡という敷地条件と使用者である人との関係を第一とし、今回は特に建築における外観、さらに、初期段階の都市デザインを担当。いずれも一番の課題は、ビル単体の設計を超えて一帯の再開発という「GINZA SIX」の最大の特徴であるスケールを活かすことであり、一方では、「GINZA SIX」という巨大な建物が建つことで、もともとの銀座にある路地の人の動線が途絶えることがないようにすることであった。

そのために、まず建築面では「GIZNA SIX」の大きさを示す象徴として「ひさし」を提案。そのスケールゆえ、銀座のあらゆる路地から見えてくる建物が一目で「GINZA SIX」だとわかるように、そして、オフィスが入る上層階ごとにステンレスの「ひさし」をぐるりと巡らすことで、水平的な統一性を表現。

GIZNA SIX

対して下層階を占める商業空間のうち、中央通りに並ぶ6ブランドのファサードを「のれん」として提案。「ひさし」とは対照的に、垂直方向に建物を小さく分節化することで人が中に入りやすい、銀座の細やかな路地の世界に繋がるスケールを描き出した。

建築は当然その価値は永続的であった方がいいが、一方で商業建築のような場合は、時代の変化や流行に従って、店舗の外観やサインにしても、すぐ付け替えられるのが理想的。商業建築ではこのような変わる部分と変わらない部分の共存が求められる。「GIZNA SIX」の場合、建築全体を統一する「ひさし」は変わらない部分であり、それに取り付けられる「のれん」は変わる部分。何十年後も、「GINZA SIX」の建築の幹であるステンレス製の「ひさし」は、永久に今のままに街の姿を映し続け、ブランドによって自由にデザインされる「のれん」は、時代とともに変わり続けていく風景が理想となる。

GIZNA SIX

インテリアは、1998年に東京でデザインスタジオ「キュリオシティ」を設立したフランス人デザイナーのグエナエル・ニコラ

グエナエル・ニコラ

近年ラグジュアリーブランドのストアをワールドワイドに多く手掛ける注目の人物。巨大な商業空間を、親しみやすくわかりやすいものにするため、「人」の感情や身体感覚を第一に考えたヒューマンスケールの空間を創出。

今回のような商業施設のプロジェクトには大きく3つのポイントがあると、グエナエル・ニコラは主張する。

グエナエル・ニコラ

1つは、空間にアイコニックなエレメントを作らなければならないこと。例えば、今の時代はフォトジェニックだけでなく、メディアジェニックも大切。施設を訪れた人々が写真を撮るときに「ここはGINZA SIX」と一目でわかる場所が必要で、パリの街で言えば、エッフェルタワーみたいなもの。「GINZA SIX」では、2階の大きな吹き抜けのアトリウムをアイコンに据えている。

GINZA SIX

2つ目は、さまざまなストーリーボードを作ってシミュレーションをすることで、空間のなかの人の動きをデザインすること。ある場所からある場所まで何分かかるのか。その場合、エレベーターはもう一基必要ではないか。このあたりで光に出会いたいので、吹き抜けを設けようか…。空間のエネルギーが自然と循環し、人間の感情や身体感覚に対してストレスのない空間であること。ここは建築家とのコラボが必要な部分。

最後の3つ目は、ダイナミックな空間とリラックスできる空間という緩急を設けること。商業施設で買い物をするスピードは人によって様々。「GINZA SIX」ではほっと一息付ける空間として、オリジナルでデザインしたソファをコクーンのようなプロポーションにし、背後に木の屏風を置いて、インティメートな空間を作り出す。

GINZA SIX

一方で壮大なスケールのフロアが単調にならないように、銀座の裏に残る小さな路地などをイメージし、ショップが並ぶ通路をジグザグにデザイン。そのジグザグによってすべての店に角が生まれ、通常の商業施設のように1つの通りを直線的に見渡せないことで、まさに路地の通りを歩きながら1つ1つの店に出会う高揚感を味わうことができるように演出している。

GINZA SIX

また、「GINZA SIX」は世界中から人々を招き入れるインターナショナルな商業施設になることは間違いないので、グエナエル・ニコラはインテリアには日本のエッセンスを入れたかったという。外から来る観光客を意識するのは大切だが、まずは日本に住む人たちや家族が喜べる空間を目指した。

日本の建築では障子や行灯でふんわりとした光を行き渡らせる工夫がなされているが、「GINZA SIX」では吹き抜けのアトリウムの天井に3Dの和紙を誂えて、トップライトから落ちる自然の光を優しく透過し、その光が全体に回るようにしている。階段の手すりにはルーバーを用い、竹をイメージした格子をあしらっている。

GINZA SIX

空間を引き締めるクラフツマンシップにも、どう見せるかをこだわっている。できるだけハンドメイドの素材を使うようにして、一部のエレベーターホールの壁はアルミの表面をテクスシャーのあるラッカーで仕上げ、ショップが並ぶ通路の壁にはポイントごとに職人による和紙を使用。

ただ、壮大なスケールの「GINZA SIX」が大きな工場のような印象を与えないために、そのバランスに特に気を配っている。「GINZA SIX」が標榜する「New Luxury」は、「これがすごいよね」と1点で語られるものではなく、あくまで全体を通して感じるものである。つまり、インテリア以外にも、建築があり、グラフィックがあり、アートがあり、能楽堂のような文化もあって、自然が感じられて、ホスピタリティがあるということが大切なのだ。

プレミアムラウンジである「LOUNGE SIX」のインテリアデザインを手掛けたのは、「古様な素材を提案することが、今一番新しい」というコンセプトのもと、2008年に設立された「新素材研究所」の杉本博司と榊田倫之

杉本博司と榊田倫之

「日本的なものと現代をどう再編集していけるか」という感覚で空間を構築。横幅10メートルにもなるエントランスは、黒漆喰による外壁。黒漆喰は、コテの押さえ方によって色のムラが抽象絵画のようになったり、職人の手技を感じることができる素材である。

そこから続く大正時代に看板建築などに使われたブリキを貼った鉄板の扉を入ったレセプションフロアの床には、1912年から78年まで京都を走っていた市電の下の「電石」が敷き詰められた。

LOUNGE SIX
LOUNGE SIX

そして、メインルームに置かれる「ヘリコイドソファ」は、「新素材研究所」がインテリアと家具を手掛けた表参道のカフェ「茶洒 金田中」の「ヘリコイドチェア」をヒントにし、もう少しゆったりとしたサイズ感で制作。ちなみに、「ヘリコイドチェア」は三次関数の数式を表現した明治期の数理模型の螺旋(ヘリコイド)を描く模型から関連付けた片肘タイプの椅子である。

ヘリコイドソファ

さらに、2015年に惜しまれながら取り壊された「ホテルオークラ東京」の本館ロビーにあった、上から見ると椅子が梅の花びらのように見立てられていたテーブルセットもヒントにしており、「ヘリコイドソファ」も丸テーブルとセットになったとき、どこか花のような印象を与えるように意識している。ただ、現代人のシートハイトに合わせて、足元をスレンダーにして、ソファ部分にボリュームを持たせるなど、プロポーションには現代的なエッセンスが取り入れられている。

ヘリコイドソファ

「GINZA SIX」の大きな特徴として、43年間、渋谷の松濤という閑静な住宅街にあった「観世能楽堂」が、最新のテクノロジーを導入した商業施設に脈々と守り伝えてきた檜舞台を移築し、新しい能楽堂を構える。

観世能楽堂

海外での能公演はオペラのように、字幕を付けるケースが主流。「GINZA SIX」でも当初はイヤホンガイドになるが、多言語対応のためにインフラ設備を整える予定という。さらに、新しい能楽堂の重要なテーマである「バリアフリー」を積極的に導入し、多言語システムを視聴覚障害の方のためにも活用するなど、障害者の方が当たり前に能を楽しんでもらえる環境作りを目指してる。

十六世観世宗家 観世清和
十六世観世宗家 観世清和

また、目付柱の取り外しができることで視覚を広げることができたり、照明設備も従来の能楽堂にはないものを整えたりと、能以外のジャンルの公演にも活用できるよう工夫がされる。

銀座というのはやはり日本の顔である。そして、銀座に誕生する商業施設「GINZA SIX」は、これまた日本の新しい顔といえる。その「GINZA SIX」が打ち出すアートは、奈良や京都に代表される伝統的な日本というより、クリエイティブなイメージを持った新しい日本を感じさせるものが必要となる。

建築もインテリアデザインも、日本というものを意識しているが、あくまでコンテンポラリーなテイストを表現している。一方で、銀座という街は1960年代から現代美術を扱うところも含め、多数の貸し画廊が増加し、今ではギャラリーが集う街ともいえる。

そんな要素を考慮したとき、「GINZA SIX」の中央の吹き抜けに展開するメインのアートは、世界の現代美術シーンで日本の顔になっている人物の作品が相応しく、草間彌生が選ばれた。そして、4月20日から2018年2月25日までの期間、中央吹き抜け空間に白地に赤いドットの12個のカボチャが、3種類のサイズからなるバルーンオブジェとしてシャンデリアのように披露され、来場者を迎える。

バルーンオブジェ

また、その他に施設の各箇所には、チームラボや大巻伸嗣などの作品も展示されることになっている。

「GINZA SIX」のロゴは、「日本デザインセンター」社長で武蔵野美術大学教授のデザイナーの原研哉が手掛けた。

原研哉

長野オリンピックの開・閉会式プログラムや愛知万博の公式ポスターを制作するなど日本の文化に深く根ざした仕事も多く、「もの」のデザインと同様に、「こと」のデザインを重視して活動中の原が制作した今回のロゴは、銀座の街や今回の建築を引き立てるひじょうにシンプルで存在感のあるものだ。

GINZA SIX

簡潔ゆえ、ラグジュアリーやファッションだけでなく、伝統文化やハイテクノロジー、コンテンポラリーアート…、あらゆるシーンに寄り添うものになっており、「GINZA SIX」の1階に居並ぶハイブランドのロゴと並んでも、「G SIX」のロゴが負けることなく屹立する。

GINZA SIX

「GINZA SIX」には100を超える旗艦店、国内および銀座初店舗や新業態なども含め、約240もの世界のブランドが集結する。なかでも、中央通り沿いにエントランスを構え、「GINZA SIX」の建築を担当した谷口吉生の提案である「のれん」として独自のファサードを設けるのは「DIOR」「VALENTINO」「CELINE」「FENDI」「SAINT LAURENT」「VAN CLEEF & ARPELS」の6ブランド。

「DIOR」の店舗は、「GINZA SIX」の建築を担った谷口吉生がファサードも担当し、衣擦れの音を呼び起こすような独特のデザインがベールを脱ぐ。店内はアメリカを拠点に、「DIOR」の世界中の店舗をはじめ、多くのブランドの建築空間を手掛けるピーター・マリノによってコンテンポラリーな雰囲気とモダンな家具が一体感をもって溶け込んだ空間に仕上がった。

DIOR

さらに、1階の通りには4つの大きなウィンドーが設けられ、中に足を踏み入れると高さ7メートルの吹き抜けのアトリウムが出現。インテリアのカラーは白いトーンが強調され、上階にあるシューズコーナーの壁にはパリの現代アートシーンで注目を集めるスウェーデン出身のタリク・キスワンソンのアートワークが設置されるなど、ギャラリーとしてのエレメントも醸す。

DIOR

また、「VALENTINO」はイギリスを代表する世界的建築家の1人デイヴィッド・チッパーフィールドとブランドのクリエイティブディレクターであるピエールパオロ・ピッチョーリがタッグを組み、革新的なストアコンセプトを提案。

VALENTINO

ファサードには全面にメタルメッシュを使用し、日中は中央通りに面する窓からの日差しをやわらかに、夜は店内の光を通りに落とすコントラストを生み出すと同時に、ゲストのプライバシーにも配慮している。エントランスの扉はブラックメタルのミニマルな素材とし、これはメタルメッシュと同様、谷口の建築とのハーモニーのために選ばれた素材。

VALENTINO

一方、店内は「宮殿」をテーマに、その独特の雰囲気を作り出すために新しいものだけではなく古いものを組み合わせることで、従来のデザインに代わる空間を実現。ブランドを体現するエレメントを結集させながらも単なるノスタルジックではない、過去の遺産と新しい未来のアイデアが共存する空間に挑んでいる。

その他、「CELINE」は「のれんとしてのファサード」という提案に対し、「地域性」と「時間」というキーワードのもと、日本の土を使った陶の造形でファサードを表現。長く受け継がれてきた職人の手仕事による陶は、1つ1つのピースが唯一無二の素材感を放ち、店内のディテールにも、主に土や石といった温かみを感じる天然素材を使用する。

CELINE

陶のピースのレイアウトは日中の外部から内部、夜の内部から外部と、それぞれの光の表情にも配慮されており、装飾的なアプローチから一線を画した繊細な表現で、個性的な世界観を作り出す。

さらに、「FENDI」はローマの歴史的建造物で、ブランドの本拠がある「イタリア文明宮」からインスピレーションを得たファサードをデザイン。ブランドの視点を通して見たローマを「GINZA SIX」に投影するかたわら、幾何学的でありながらエレガントなアーチの連続が日本の伝統的な「のれん」との情緒的な繋がりを表現するなど、どちらのブランドも日本を意識したアプローチが特徴的。

FENDI

「SAINT LAURENT」は、ブラックとホワイトの大理石を贅沢に装飾的に使用し、典型的なアール・デコをイメージさせる空間。ショーケースや棚などにミラー仕立ての素材を用い、ミニマムを基調とした空間を通じてブランドの世界観を伝える。

SAINT LAURENT

そして、「VAN CLEEF & ARPELS」では、やわらかな漆黒からゴールドへと変化するファサードが陽光を受けて輝き、店内は階段の手すりをはじめ、壁面、エレベーターの内部などにアール・デコのデザインを強く打ち出すことで、「GINZA SIX」の世界観に繋がるシックな空間を印象付けている。

VAN CLEEF & ARPELS
VAN CLEEF & ARPELS

ちなみに、オープンを記念して、他のブティックに先駆け「ブトン ドール」コレクションの新作が登場。

メゾンの豊かなアーカイヴから着想を得て生まれた「ブトン ドール」コレクションは、優美に印象づけるグラフィカルな曲線で、1930年代後半にメゾンが生み出した「パイエット(スパンコール)」と呼ばれたジュエリーモチーフからインスパイアされている。今回発表されたこの新作は、ピンクゴールドとホワイトゴールドで二重奏を奏でる個性的でありながらもエレガントなデザイン。

「ブトン ドール リング」ピンクゴールド、ホワイトゴールド、ダイヤモンド ¥2,225,000(税抜)
「ブトン ドール リング」ピンクゴールド、ホワイトゴールド、ダイヤモンド ¥2,225,000(税抜)

なお、商品展開に関しては、「DIOR」がアジア初となるブランド独自のセンスで生活雑貨などをセレクトしたコーナー「Dior MAISON」を展開。また、「VAN CLEEF & ARPELS」は、2階すべてが国内初のブライダルサロンになっている。

そして、「VALENTINO」ではパリコレクションのランウェイに登場した特別なピースが店頭に並ぶなど、すべてのブランドが国内最大級の店舗となり、フルカテゴリーのアイテムを取り揃える。

また、「GINZA SIX」では、国内外からのユーザー向けの観光案内やチケット発券、外貨両替、免税、手荷物預かり、宅配、こだわりのお土産も扱うコンビニエンスストアなど、便利な機能をワンストップで備えた「ツーリストサービスセンター」を設置。

ツーリストサービスセンター

カフェも併設し、トラベラー同士のコミュニケーションの場としても機能させる。また、三原通りに面して、観光バス乗降所を設置。「銀座の玄関口」となれるような機能を整備することで、銀座エリア全体に貢献する国際的な商業・観光拠点を形成する。

銀座の玄関口

さらに、屋上庭園「GINZA SIX ガーデン」は、銀座最大規模の地域に開かれた約4,000平方メートルの屋上庭園。都会の中で自然を身近に感じられる環境をシンボリックに表現した庭園は、銀座を訪れた人がゆったりと交流する憩いの場となりなり、シーズンに合わせたイベントの実施も予定されている。

銀座の玄関口

商業施設の上階は7層にわたるオフィスフロア。1フロア貸室面積(基準階)は都内最大級の約6,100平方メートル。

オフィスフロア

中央通りを眼下に、1辺100mを超える大型プレートを有した最高のオフィス環境が銀座の中心に実現し、オフィスワーカー約3,000名を新たに創出する。

オフィスフロア

「GINZA SIX」が目指すのは、銀座の誇りと歴史性を引き継ぐ6つ星級の施設であり、「Life At Its Best 最高に満たされた暮らし」をコンセプトに、人生を豊かに充実させてくれる最高に価値のあるモノや体験を提供。世界でここにしかない新たな価値「New Luxury」をプレゼンテーションする。

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