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2017 Mar. 20

春の展覧会とイベント

イギリス出身アーティストのライアン・ガンダーは、写真や絵画、オブジェなど、様々なメディアを使用しながら、彼の「思考」を表現する。あくまで日常的な素材に注目しながらも、そこに非現実的な世界観や批判的なユーモアを織り交ぜることで、観るものを彼の物語の世界の中に導く。作品を眺めれば眺めるほど、様々な考えが浮かび上がり、それらが物語となって展開される。

Ryan Gander

4月29日から7月2日までの期間、「ライアン・ガンダー この翼は飛ぶためのものではない」展が大阪の「国立国際美術館」で開催される。

今回の展覧会では、ライアンの代表作と最新作約60点が紹介される。彼の重要な作品を1度に網羅的に観ることのできるこの機会に、新たな時代のアートシーンを担う注目の作家の思考や関心を辿ることができること間違いない。

「あの最高傑作の女性版」2016年
「あの最高傑作の女性版」2016年

「アンバーサンド」2012年 石川コレクション 岡山
「アンバーサンド」2012年 石川コレクション 岡山

「ポートレート・シリーズ」より(参考図版)
「ポートレート・シリーズ」より(参考図版)

「リアリティ・プロデューサー(構造と安定のための演劇的枠組み)」2017年
「リアリティ・プロデューサー(構造と安定のための演劇的枠組み)」2017年

また「国立国際美術館」では、ガンダーの企画による所蔵作品展「ライアン・ガンダーによる所蔵作品展 かつてない素晴らしい物語」も同時開催。作家の手による作品と、作家が集めた作品。この異なる角度から企画された展示を組み合わせることで、より深く作品を楽しむことができるかも知れない。

イアン・ガンダー
イアン・ガンダー「ひゅん、ひゅん、ひゅうん、ひゅっ、ひゅうううん あるいは同時代的行為の発生の現代的表象と、斜線の動的様相についてのテオとピエトによる論争の物質的図解と、映画の100シーンのためのクロマキー合成の試作の3つの間に」2010年

「HERMES/エルメス」は、4月21日から7月2日まで、銀座メゾンエルメス フォーラムで「水の三部作 2 アブラハム・クルズヴィエイガス展」を開催する。

アブラハム・クルズヴィエイガス展

メキシコシティを拠点に活動するアブラハム・クルズヴィエイガスは、ロンドンのテート・モダンでの個展の開催やヴェネチア・ビエンナーレに参加するなど、世界的に評価を受けているアーティスト。

Abraham Cruzvillegas
Abraham Cruzvillegas

彼が手掛けるのは、単体のオブジェから大規模な建築的インスタレーションまで幅広い。それらの作品は、石や段ボール、廃材や鉄屑など、訪れた土地で拾ってきたローカルな素材で構成されている。そんな各地の歴史や、政治、社会を内包する「日常的」な素材は、彼によって「非日常的」に組み合わせれ、配置されることで、全く違った姿で立ち現れてくる。この意味のズレや混沌さに、日常的なモノの見方に慣れている私たちは、ハッとさせられる。

Abraham Cruzvillegas
Abraham Cruzvillegas
Abraham Cruzvillegas

この展覧会は、2017年に3カ所で開催されるアブラハム・クルズヴィエイガスの一連の個展「水の三部作」の第2章。

東京という街で、彼のインスピレーション源となったのは、日本で展開された建築運動「メタボリズム」や、日本とアメリカにルーツを持つ芸術家イサム・ノグチによる家具。それらはメキシコの伝統的な音楽や、農法、水辺の生き物と混ざり合い、私たちが知らない新たな「東京」が物語られる。

Abraham Cruzvillegas

また、4月14日と15日の両日、「東京 アート アンティーク 2017」が東京の京橋・日本橋エリアで開催される。

東京 アート アンティーク 2017

京橋・日本橋エリアは、終戦直後から約150の多岐にわたる専門店が集積する個性豊かなアート密集地として知られている。江戸・東京の歴史が息づくその街で、古美術品、骨董、書画、絵画、工芸など古今の芸術に触れられるアートイベントが「東京 アート アンティーク」。2日間の会期中は、各箇所で企画展、ギャラリートークなどが実施される。

古伊万里食器 数々
古伊万里食器 数々

笹本正明「羽根を抱く」
笹本正明「羽根を抱く」

神木佐知子「SYMBOL」
神木佐知子「SYMBOL」

エリア内、各箇所で行われる企画展はあらゆるジャンルが集う。そして、期間外でも継続して開催されている展覧会も数多い。自分が行きたいものは、事前にチェックをしていくことが望まれる。

「丸善」日本橋店では、「新版画の美 没後60年川瀬巴水木版画展」が開催される。郷愁の日本風景を描いた最後の浮世絵師である川瀬巴水の作品の中から厳選された30点余りの初期摺り版画と、在庫僅少となった平成の後摺り版画を展示即売。

川瀬巴水 東京二十景 馬込の月
川瀬巴水 東京二十景 馬込の月

また、京橋の「翠波画廊」では「ギィ・デサップ絵画展」を開催。「現代の印象派」と呼ばれ、世界中で多くのファンを獲得している画家ギィ・デサップの情感溢れる風景画を展示する。

ギィ・デサップ「パリ、ラ・バスティーユ」
ギィ・デサップ「パリ、ラ・バスティーユ」

「SM という猫」という印象的な名前の展覧会は、京橋の「Gallery Seek」で開催。アンディー・ウォーホールの名作「サムという名の猫」にちなんで、SMサイズの猫に限定した約20名の作家による猫作品展。

「SM蟹」田尾憲司
田尾憲司「SM蟹」

門田奈々「Animals」
門田奈々「Animals」

村上ゆたか「狙う猫」
村上ゆたか「狙う猫」

その他、陶芸展では「樂歴代名碗展」や「モノクロ−ムの世界」など幅広い作品に出会うことが出来る。

北大路魯山人「魯卿あん」
北大路魯山人「魯卿あん」

齋藤紫紅洞「芦屋霰真形釜切合風炉」
齋藤紫紅洞「芦屋霰真形釜切合風炉」

三代道入黒茶碗
三代道入黒茶碗

蒔絵漆「百昆虫文様提げ四段重箱」
蒔絵漆「百昆虫文様提げ四段重箱」

美術品のオークションや入札会というと、一般にはなかなか参加できないイメージがあるが、「東京 アート アンティーク」では、より来場者の楽しみ方を増やしたいという思いから、気軽に参加できる入札会を企画。3月中旬より、ホームページで入札作品を閲覧、開催期間中にはさらに作品をじっくり吟味できる。欲しいものが決まったら、あとは入札用紙に落札希望金額を記入して入札箱へ投入し、落札結果を待つだけ。なお、落札金額の一部は慈善団体へ寄付されることになっている。

中尾成「春の村.アウグスブルグ近郊」
中尾成「春の村.アウグスブルグ近郊」

鶴川勝一
鶴川勝一

中村正義「花」
中村正義「花」

小さな専門店や古美術だけでなく、この機会に美術館に行ってみるのもおススメ。現在、「三井記念美術館」では特別展 創建1250年記念「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」、また、「三菱一号館美術館」ではナビ派の芸術を日本で初めて本格的に紹介する展覧会「オルセーのナビ派展:美の預言者たち ささやきとざわめき」が5月21日まで開催されており、「オルセー美術館」が誇るコレクションから油彩約60点・素描10点の合計約70点が一堂に会している。

オルセーのナビ派展:美の預言者たち ささやきとざわめき

ちなみに、ナビ派とは19世紀パリで前衛的な活動を行った若き芸術家グループ。ボナールやヴュイヤール、ドニ、セリュジェ、ヴァロットンを中心とする画家たちは、ゴーガンから影響を受け、自らを「ナビ(預言者)」と呼び、新たな芸術表現を模索した。

ポール・ゴーガン「黄色いキリストのある自画像」
ポール・ゴーガン「黄色いキリストのある自画像」

日常生活をフラットな色の面で表す装飾性、そして、目に見えないものを描く神秘性といった、日常と神秘を併せ持つ革新的な芸術活動がナビ派の特徴で、浮世絵など日本美術からも影響を受けている。

中でも、ランソンセリジエらは夢や祈り、宗教、魔術などをモチーフに取り上げ、ボナールヴュイヤールは室内や公園、子どもなど身近なテーマを描くことを好んだ。一見控えめで洗練されている彼らの作品は、20世紀美術を予兆する革新性を感じさせる。

ポール・ランソン「水浴」
ポール・ランソン「水浴」

ポール・セリュジエ「タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川」
ポール・セリュジエ「タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川」

ピエール・ボナール「庭の女性たち 白い水玉模様の服を着た女性」「庭の女性たち 猫と座る女性」
ピエール・ボナール「庭の女性たち 白い水玉模様の服を着た女性」「庭の女性たち 猫と座る女性」

ピエール・ボナール「庭の女性たち ショルダー・ケープを着た女性」「庭の女性たち 格子柄の服を着た女性」
ピエール・ボナール「庭の女性たち ショルダー・ケープを着た女性」「庭の女性たち 格子柄の服を着た女性」

エドゥアール・ヴュイヤール「八角形の自画像」
エドゥアール・ヴュイヤール「八角形の自画像」

会場は全6章で構成されている。ナビ派が影響を受けたゴーガンやベルナールらの作例を紹介する「ゴーガンの革命」や、ドニやボナールが好んで描いた「庭の女性」をテーマにした絵画が並ぶ「庭の女性たち」、肖像画や自画像を展示する「心のうちの言葉」、そして、夢や非現実、宗教など「目に見えない世界」を描いた作品が登場する「裏側の世界」など。ナビ派の魅力が存分に味わえる良い機会である。

フェリックス・ヴァロットン 「化粧台の前のミシア」
フェリックス・ヴァロットン 「化粧台の前のミシア」

モーリス・ドニ「ミューズたち」
モーリス・ドニ「ミューズたち」

余談ながら、「すみだ水族館」が日本テレビの朝番組ZIP!「朝だよ!貝社員」とコラボ。

朝だよ!貝社員

企画展「ビックリ!貝まつり 〜アイツもコイツも実は貝〜」が5月7日まで開催されている。

ビックリ!貝まつり 〜アイツもコイツも実は貝〜

今回の企画展では、クリオネ、オウム貝、タコ、イカ、ウミウシなど、様々な貝の仲間である軟体動物を集めた、特別展示コーナー「ゆるゆる"貝"説アクアリウム」が設置される。各水槽では「朝だよ!貝社員」のキャラクターたちが"貝"説してくれる映像が流れ、意"貝"と奥が深い貝の生態について楽しみながら学ぶことができる。

ビックリ!貝まつり 〜アイツもコイツも実は貝〜

また、アニメの劇中に登場する「ジップ商事」のミニチュアの中では、仕事を"あっさり"投げ出す「アサリ」や、何でもすぐ"ハマ"るが仕事には"ハマ"らない「ハマグリ」、そして、語尾に"カモ"をつけてあやふやにする「カモ貝」など、キャラクターとしても人気の貝たちが展示されている。

アサリ
アサリ

ハマグリ
ハマグリ

カモ貝
カモ貝

そして、5階「ペンギンカフェ」では、コラボメニューとして、貝殻の形をしたモナカに、キャラクターの絵柄をあしらったクッキーとソフトクリームをサンドしたスイーツ「もな貝社員」を提供。

もな貝社員

さらに同フロアにあるショップではグッズ販売も行っている。

グッズ

なお、同時期には春の特別演出「クラゲと桜」とプロジェクションマッピング「ペンギンピクニック」も開催されているので、合わせて楽しんでみるのもグッドである。

フワフワとクラゲが浮遊する神秘的な世界が春色に変わる期間限定の「クラゲと桜」は、大型のクラゲ水槽に、ゆったりと波打つ春の海をイメージした映像を投影。時折、水中からのアングルにも切り替わりながら、天地を感じさせないピンク色に染まってふわふわと漂うクラゲの不思議な浮遊感が楽しめる。

クラゲと桜
クラゲと桜
クラゲと桜

また、「ペンギンピクニック」は、日本最大級の屋内開放型ペンギンプールに、プロジェクションマッピングを用いて映像を投影するショープログラム。春色に染まったプールで泳ぐペンギンと水槽内に映し出される桜を眺めながら、水中のお花見を堪能。時には、好奇心旺盛なペンギンが、映像の光を追いかける姿も見れるかも…。

ペンギンピクニック
ペンギンピクニック
ペンギンピクニック

5階ペンギンカフェでは「ペンギンピクニック」会期中に特別メニューを提供。オリジナルのペンギン海苔を巻いた焼きおにぎりや魚の形をしたかまぼこなどが入った「ペンギンピクニックBOX」は、水槽に咲く桜とともに。デザートの白玉ぜんざいまでついた、見た目もボリュームも大満足の一品。

ペンギンピクニックBOX 単品750円(税込)、ドリンク付き 850円(税込)
ペンギンピクニックBOX 単品750円(税込)、ドリンク付き 850円(税込)

さらに、「さくらスムージー」「ペンギンさくら和ッフルソフト」など、デザートまで桜とペンギン尽くし。

さくらスムージー 500円(税込)
さくらスムージー 500円(税込)

ペンギンさくら和ッフルソフト 500円(税込)
ペンギンさくら和ッフルソフト 500円(税込)

すみだステージには、ペンギンプールを一望できるリラックススペース「ペンギンハナミテラス」も期間限定で設置されるので、限定メニューはもちろん、ソラマチなどで購入できるお弁当を持ち寄って幻想的な花見を楽しんでみるのも小粋である。

ペンギンハナミテラス

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