top

2017 Nov. 10

ルドルフ2世の驚異の世界展

12月24日まで「福岡市博物館」で開催中の「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」は、2018年1月6日から3月11日までの期間、会場を移して、渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催される。その後、2018年3月21日から5月27日まで、滋賀の「佐川美術館」に移動し開催される。

神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展

プラハに宮廷を構え、神聖ローマ帝国皇帝として君臨したハプスブルク家のルドルフ2世は稀代のコレクターで、芸術の庇護者として知られている。

ハンス・フォン・アーヘン作のコピー 《ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像》
ハンス・フォン・アーヘン作のコピー 《ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像》

この展覧会では、ジュゼッペ・アルチンボルドを始め、ルドルフ2世が愛好した芸術家を中心に、版画を含む絵画作品約80点と、当時のコレクターズアイテムであった工芸品や天文道具約20数点、天文学や錬金術に関する貴重な資料など、120点余りの作品が展示されている。

プラハでルドルフ2世の宮廷文化が花開いた16世紀末から17世紀初頭は、望遠鏡による天体観測が始まり、ガリレオ・ガリレイが地動説を唱えるなど、人々の宇宙への関心度が高まった時代であった。

作者不詳《航海用アストロラーベ》
作者不詳《航海用アストロラーベ》

展示作品の天体観測用具「航海用アストロラーベ」からも窺えるように、天文学や占星術に関心の高かったルドルフ2世は、デンマークの天文学者ティコ・ ブラーエや、ヨハネス・ケプラーをお抱えの天文学者として雇用するなど、天文学が科学的分野になるにあたり重要な役割を果たした。

作者不詳 《デンマークの天文学者 ティコ・ブラーエの肖像》
作者不詳 《デンマークの天文学者 ティコ・ブラーエの肖像》

有名な「バベルの塔」は、天まで届く塔を建設しようとした人間の高慢さに警鐘を鳴らす主題の作品。神に挑戦する人間への戒めを表現し、宗教改革の時代に流れる不穏な空気感を伝えている。

バベルの塔

ルドルフ2世は、生きた動物を集めた動物園も所有しており、馬の愛好家でもあった。宮廷画家の1人であるルーラント・サーフェリーは、画面いっぱいに沢山の動物たちを描いた。「動物に音楽を奏でるオルフェウス」など、動物の愛らしい魅力溢れる作品を多数残している。

ルーラント・サーフェリー 《動物に音楽を奏でるオルフェウス》
ルーラント・サーフェリー 《動物に音楽を奏でるオルフェウス》

また、ルーラント・サーフェリーの「花束」は、しっとりとした質感でシックに花々を描いた作品。

ルーラント・サーフェリー 《花束》
ルーラント・サーフェリー 《花束》

一方、ヤン・ブリューゲル(父)「陶製の花瓶に生けられた小さな花束」は、生き生きとした躍動感に満ちた花の様子が見て取れる。作家による個性の違いを見比べてみるのも、この展覧会の魅力の1つ。

ヤン・ブリューゲル(父) 《陶製の花瓶に生けられた小さな花束》
ヤン・ブリューゲル(父) 《陶製の花瓶に生けられた小さな花束》

2017年6月に開催された「アルチンボルド展」が記憶に新しい、動物や植物、時には本や日用品を組み合わせて人物像を描き出す寓意画の名手ジュゼッペ・アルチンボルドの作品。彼の描いた「ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像」や、官能的な神話画「パリスの審判」ハンス・フォン・アーヘンなど、ルドルフ2世のもとに集った豪華な宮廷画家たちの作品にも要注目。

ジュゼッペ・アルチンボルド 《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》
ジュゼッペ・アルチンボルド 《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》

ハンス・フォン・アーヘン「パリスの審判」
ハンス・フォン・アーヘン「パリスの審判」

皇帝としてなすべき職務や義務よりもコレクションに関わることの方を好んだルドルフ2世は、ヨーロッパ随一の素晴らしいプライベートミュージアムを作り上げた。

《オウム貝の杯》 1577年
《オウム貝の杯》 1577年

《時計》 1584年
《時計》 1584年

《蓋付き杯》 1600年代
《蓋付き杯》 1600年代

美しいもの、奇妙なもの、怪物じみたものや異国趣味の大の愛好者であった皇帝の魔術的な魅力に満ちた芸術と科学の世界観が堪能できる展覧会である。

Touch the heartstrings | Facebookページも宣伝


 
backnumber
 
<< Back Next >>
backnumber
 
pagetop