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2017 Sep. 10

スクランブル

近年、オークションなどで超高額で取引されるクラシックカーの話題は様々なニュースで取り上げられる。そんなスゴいクルマたちをテーマにした映画が9月22日より公開される。ヨーロッパ中の高級クラシックカーを専門で盗む世界一の強盗団が主役となる「スクランブル/原題:Overdrive」は、マフィアが所有する62年型フェラーリ「250GTO」を1週間で盗み出すという強奪計画というクルマ好きにはもってこいのエンタテインメント作品。

Overdrive

「アル・カポネが銃撃用に改造したクルマだ」などと、兄のアンドリューは一目でそのクルマの伝説を語る膨大な知識を持つ頭脳派、そして、弟のギャレットはメカニックを担当する高級クラシックカー専門の世界一の兄弟強盗団「フォスターブラザース」。

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彼らにとって、どんな盗みも成功させるのは当たり前。大事なのは、誰も思いつかない「驚愕の手口」で、いかに美しく完璧に盗むかが大きなポイント。今回もオークション会場から搬出された世界に2台の37年型ブガッティを奪うはずだった。しかし、落札したのが残忍なマフィアのモリエールだったために、兄弟は囚われの身に…。

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命が助かる条件は、敵対するマフィアのクレンプが所有する62年型フェラーリ「250GTO」を1週間で盗むこと。

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アンドリューの恋人で一流ハッカーのステファニー、指名手配中の天才スリの美女、そして、火薬を自在に操る爆弾オタクら寄せ集めチームで犯罪史上最大の強奪作戦に挑むはずが、インターポールに追われ、ステファニーを人質に取られ、挙句の果てにはクレンプに計画を知られてしまうことに…。

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しかし、実はピンチさえも兄弟の「計画」だった…!

南仏マルセイユを舞台に「BMW327」「ポルシェ356スピードスター」「アストン・マーティンV8」など往年の名車の疾走シーンはまさには圧巻。

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この作品のプロデュースは、「96時間」や「パリより愛をこめて」の監督として知られ、「トランスポーター」TAXi 4」の撮影も手掛けたピエール・モレル。

ピエール・モレル

6年前、ロスで脚本家のマイケル・ブラントとデレク・ハースに出会い、2人から脚本を受け取ったモレルは、クラシックカーを盗むというアイデアに興奮。シリーズものも数多く製作されているカームービーでは、車はツールとして使われることが主流だが、その脚本では手に入れるべき宝物として描かれているのが斬新と感じた。

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さらに、カーアクションが楽しめるのに、物語は決してカーアクション映画ではなく、幾度かのどんでん返しの果てに、最後は驚きの結末を迎える。映画の構成としては、「ワイルド・スピード」よりも「オーシャンズ」シリーズや「グランド・イリュージョン」シリーズに近いという。つまり、盗みのプロたちの二重三重に入り組んだ計画で、観客を何度も欺く上質のクライム・エンタテインメント作品が完成した。

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モレルは監督を主にTVドラマで活躍しているアントニオ・ネグレを抜擢、そして、セカンドユニットのスタッフを、彼が長年アクション撮影を共にしてきたチームで固めた。フィジカルスタントには、「TAXi」シリーズや「96時間」「トランスポーター」などのフィリップ・ゲガン、また、カースタントには、「RONIN」「ボーン・アイデンティティー」のジャン=クロード・ラニエなど、素晴らしい経歴の持ち主たちが集結し、CG処理は極力抑えられている。

アントニオ・ネグレ

撮影はマルセイユを中心に、アンティーブ、ニース、リビエラの南仏で実施。道路に関しては、モンテカルロなど北で撮ったシーンもある。カメラは最大で10台が同時にまわされ、アイパワーカメラというハイスピードに耐えうるカメラをヘリコプターやトラックに装着し、ドローンでも撮影している。

最も苦労したのは、オープニングシーン。

20トン20メートルのトラックを横転させるのは大仕事で、ほぼ1週間をかけて撮影。さらに、一方通行の渓谷を走るクロージングのカーチェイスも、様々な角度から撮るために、何度も走らなければならなかった。カメラクルーの努力を受け止めて、編集では本編96分の間に3000を超えるカットを使用している。

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冒頭に登場する「ブガッティ」は、ラルフ・ローレンの博物館に所蔵されている本物から、修復のために使われた実際の鋳型を借りてレプリカを2台製作。外観は同じだが機能は運転に耐えられるように、エンジンはローバー製を搭載するなど現代仕様に変更。

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また、フェラーリ「250GTO 」は当時のエンジンや多くの本物同様の部品を使ったリクリエーションモデル。それ以外はすべて、南仏の個人のコレクターが所蔵している実物を借用。ちなみに、オーナーたちは、クルマへの情熱からコツコツと頑張った者もいれば、大金持ちで驚愕のコレクションを誇る者も存在する。

クレンプのガレージにあるフェラーリのうち12台は、なんと45台のフェラーリを所有しているというオーナーから借りたもの。

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兄弟が普段乗っている車は「BMW」。過去の映画でも「BMW」を使用してきたモレルとの信頼関係から、今回の作品でも「M3」「6シリーズ」「グランクーペ」など、「BMW」から多数のクルマが提供された。

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そして、「BMW」愛好者のクラブメンバーから借りた、貴重な30年代のBMW「327」も登場するのでマニアは見逃さないように。

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日本車は1台だけ、ニッサン「マーチ」が登場。今や道路で1番目にするのが日本車なので、目立たないために乗っているという設定という。

兄のアンドリュー役には、「古典的なカリスマ性を持つ今の新しいスターに演じてもらいたい」というネグレ監督の希望で、スコット・イーストウッドを起用。ヴィジュアルはあまりにも父親のクリント・イーストウッドにクリソツで、スターのオーラもそのままだが、親しみやすい内面も滲んでおり、アンドリュー役に適任。スコットは脚本を読んだ時、リメイク流行りの今、オリジナルのアイデアが気に入ったとコメント。

スコット・イーストウッド

スコットの衣装は、スティーヴ・マックィーン主演の「ブリット」へのオマージュで、「オシャレすぎないが、洗練されている」をテーマに、ジーンズとジャケットが選ばれた。また、「栄光のル・マン」でマックィーンがしているのとまったく同じ「タグ・ホイヤー」の時計を使用する。

一方、無鉄砲で生意気な弟のギャレット役には、違う環境で育った異母兄弟だということを際立たせるために、イギリス育ちという設定にして、アメリカ人のスコットに対して、あえてイギリス人の新進俳優のフレディ・ソープを抜擢。

フレディ・ソープ

さらに、彼らに絡む女性たちは、グローバルな時代だから国際的なキャストにしたいと考え、アンドリューの恋人のステファニーには話題の超大作「ブレードランナー 2049」にも出演するキューバ出身のアナ・デ・アルマス

アナ・デ・アルマス

そして、スリのデヴィンにはレニー・ハーリン監督の「ザ・ヘラクレス」のオーディションを受け、ヘラクレスの妻役を獲得して注目されたイギリスとフランスのハーフであるガイア・ワイスを起用した。

ガイア・ワイス

ビッグヒットとなった数々のアクション・エンターテインメントを世に送り出してきたパワフルなスタッフたちが集結、自身のキャリアをさらにワイルドにする作品が誕生。

Overdrive

 
スクランブル 予告編

映画に登場したクラシックカーラインナップ

Austin-Healey 100-6 (1958-59)
Austin-Healey 100-6
オースティン・ヒーレー100は、1950年台に英国で生産されたスポーツカー。モデル名の「100」は最高速度が100マイル超であることに由来する。100-6はその後期型で、2+2シーターのBN4と、2シーターのBN6が存在。劇中に登場する車両は、1958年から59年にかけて生産されたBN6。

ボンネットに設けられたエアスクープや、固定式のフロントウィンドウが外観上の特徴。搭載されるエンジンは2,639ccの直列6気筒と大型。

Jaguar E-Type series1 4.2L (1966)
Jaguar E-Type series1 4.2L
1961年のジュネーヴ・ショーでデビューしたジャガーEタイプは、デザインの美しさが話題となったモデル。もと航空エンジニアだったマルコム・セイヤーによるスタイルはエアロダイナミクスも優れており、最高速度は240km/hに達した。

劇中に登場する車両は初期型「シリーズ1」の2+2。ボディラインに溶け込むようにヘッドライトがガラスカバーで覆われたデザインは極めて美しく、コレクターズアイテムとして人気が高いクルマ。

Jaguar XK120 drophead coupe (1953-54)
Jaguar XK120 drophead coupe
英国のジャガーが、戦後間もない1948年から1954年にかけて生産したスポーツカーがXK120。モデル名に冠された「120」という数字は、このクルマの最高時速120マイル(約193km/h)に由来。当時としては世界最速の市販車だった。

劇中に登場する車両はモデル末期の1953年に登場したドロップヘッドクーペ(DHC)。開放的なオープントップボディに、巻き上げ式ウィンドウとソフトトップが追加され、快適性が大きく向上した。

Aston Martin V8 Volante (1972-89)
Aston Martin V8 Volante
アストン・マーティンが1972年から1989年までの長きにわたって生産したグランドツアラー。「V8」という名は、搭載される5,340cc V8エンジンに由来。

大排気量エンジンがもたらすパワーと、全長4,590mm、全幅1,830mmというダイナミックなスタイル、そして、子牛5頭分のコノリーレザーが使用された豪華なインテリアをもつ贅沢なクルマ。ちなみに、アストン・マーティンはオープントップ仕様車のことを「ヴォランテ」と呼ぶ。

Alfa Romeo 158 (1938-50)
Alfa Romeo 158
イタリアのアルファロメオが1938年に実戦投入した伝説的フォーミュラカー。車名の「158」という数字は、搭載されるエンジンのスペック、排気量「1.5」リッターの直列「8」気筒に由来。1940年まで大いに活躍したが、戦争中はモータースポーツ活動を中断。1946年から再びGPレースに復帰し、無敵の強さを誇った。1950年から開幕したF1世界選手権でも「158」は圧倒的な強さを誇り、1-2フィニッシュを遂げて優勝した。

Chevrolet Corvette C1 (1954-62)
Chevrolet Corvette C1
1954年に登場したシボレー・コルベットの初期型「C1」。量産車初となる、FRP製ボディを架装したクルマ。発表された当初は、スポーティーなのは外観ばかりで、旧式エンジンを搭載した遅い車だった。

しかし、その後、度重なるマイナーチェンジが行われ、急速にスーパースポーツカーへと成長を遂げていく。スタイリングにも改良が加えられ、1958年にはヘッドライトが丸目2灯から丸目4灯へ、1961年にはテールエンドの造形が変更された。

Shelby Cobra (1962-67)
Shelby Cobra
アメリカを代表する名車の1つとして知られる「コブラ」だが、そのルーツはイギリスのACカーズが生産していた「ACエース」というスポーツカーであった。

「コブラ」の第1号車は、アメリカ人レーサーのキャロル・シェルビーが、「ACエース」にアメリカンV8を搭載する提案をしたことがきっかけとなり1962年に誕生。初期型(MK I)のエンジンは4.7リッターV8だったが、1965年には排気量が7.0リッターにまで拡大された「コブラ427」も登場するなど、大排気量エンジンを搭載したハイパワーな車へと進化を遂げていった。

Ford Mustang (1964-68)
Ford Mustang
フォードのスポーティーカー「マスタング」。劇中に登場する車は1964年から1968年にかけて生産された初代。

初期装備をできるだけ簡素にして価格を抑えつつ、多彩なオプションを用意してカスタマイズの幅を広げる「フルチョイスシステム」の導入により、幅広い層に受け入れられた。ボディタイプはハードトップの他、コンバーチブルも用意され、1965年からはテールにかけてなだらかに傾斜したルーフラインを持つファストバックが登場した。

BMW 327 cabriolet (1937-55)
BMW 327 cabriolet
BMWがスーパースポーツカー「328」を発表した数カ月後、1937年の11月に誕生したラグジュアリークーペ。全長4,500mm、全幅1,600mm、全高1,420mmという堂々たる風格のボディに、流麗なストリームライン・ボディを架装。エンジンは「326」に搭載されていたものをベースとした最高出力50hpの1,971cc直列6気筒ユニットと、「328」に搭載されていた最高出力80hpの1,971cc直列6気筒ユニットが用意された。

BMW 327 cabriolet

「328」と共通のパワートレインが与えられたハイパワーバージョンは、最高速度140km/hをマークした。生産は1941年まで続けられたが、第二次世界大戦の勃発により一時中断。しかし、戦後の1946年から生産は再開され、1951年までに全部で2470台が生産された。

Bugatti Type 57SC Atlantic (1937)
Bugatti Type 57SC Atlantic
世界で最も美しい車の1つと評されることもあるフランスの名車「クーペ・アトランティーク」。ブガッティの創業者エットーレ・ブガッティの息子であり芸術家のジャン・ブガッティが手掛けた優美なスタイリングは、ボディパネルを外部からリベット留めで貼り合わせるという、きわめてユニークな手法で作られている。

Bugatti Type 57SC Atlantic
Bugatti Type 57SC Atlantic

これは、同モデルのプロトタイプが可燃性のマグネシウム合金で作られていたために選択された手法だったが、ボディのつなぎ目がこの上ないアクセントとなっていたため、アルミニウム製ボディの市販バージョンも同じ手法で作られた。わずか数台しか生産されなかったが、そのすべてがいまも大切に保存されている。

Porsche 356 Speedster (1955)
Porsche 356 Speedster
ポルシェ356はポルシェの名を冠した初の市販車であり、現在の911シリーズにも繋がる水平対抗エンジンをRRに搭載。排気量は1,488ccで最高出力は55PSを発揮。最高速度は155km/hだった。劇中に登場する車両はただのコンバーチブルではなく「スピードスター」と呼ばれる特別なモデル。

通常のカブリオレよりもウインドシールドの高さが抑えられたスポーティーなデザインが特徴。ジェームス・ディーンがレースに使用したヒストリーや、356の中でもごく初期に生産されただけにとどまり希少性が高いことから、現在でもクラシックカーオークションにおいてコレクターズアイテムとなっている。前後のバンパーやホイール、エンジン、内装などに製造年の違いがよくわかる。

Ferrari 250 GTO (1962)
Ferrari 250 GTO
フェラーリが開発したGTレーシングカー。GTOの「O」はイタリア語のオモロゲーション(ホモロゲーション=公認)を指す。シャシーは250SWB、エンジンは250TR がベース。エアロダイナミクスは風洞実験によって開発。

Ferrari 250 GTO

ノーズ先端に設けられたフラップは、スプリントレースでは開いて冷却を助け、長距離レースでは閉じて空気抵抗の減少に役立てた。その戦績は、ツーリスト・トロフィーで2勝、そして、トゥール・ド・フランスでも2勝を挙げたほか、当時開催されたほとんどすべての耐久レースでクラス優勝を果たし、1962年、63年、64年のFIA GT 選手権でタイトルを勝ち取った。39台が生産され、そのすべてが現存。50億円を超える価格で取引されたこともある。

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